菊池雅之のミリタリーレポート
1年ぶりの公式演技
ブルーインパルス飛ぶ!
チューリップの上に描いたサクラに大感動!!

会場を「デルタ・ダーティーローパス」で飛び抜ける6機のブルーインパルス。

 陸海空自衛隊は、新型コロナウイルス感染症拡大を防止するため、これまでのように航空祭や一般公開イベントなどが出来ない状況が続いています。
 そんな中、空自のアクロバットチーム「ブルーインパルス」が、久しぶりにデモフライトを行うことになりました。
  それが、富山県砺波市にある砺波チューリップ公園にて、4月22日から5月5日まで開催される「2021となみチューリップフェア」の開会式でした。4月22日11時より、開会式が開始され、12時頃より、会場上空で飛行展示を行うという流れです。
 このイベントは、地元ではとても有名でして、今回でなんと“70回目”という節目を迎えました。医療従事者への感謝の意味も込め、空自も「チューリップフェア」に協力することになり、ブルーインパルスを飛ばすこととなったのです。
公の場でブルーインパルスが演技を披露するのは1年ぶりとなります。さらに富山県では初の演技ということも重なり、地元の方々も大きな期待を寄せていました。
 今回はこの大遠征を追いました。

本番前日の4月21日、小松基地へと到着したブルーインパルス。
外柵で到着を見守るファンへのサービスも忘れないブルーのパイロット。
予行にて、チューリップ畑上空で巨大な「サクラ」を描く。

 本番を控え、前日となる4月21日9時ごろ、ブルーインパルスは小松基地(石川県)へとやってきました。基地外周には多くのファンが待ち構え、そんな中、予備機を含めた7機が到着しました。
 そして同日14時ごろより、会場上空で予行演習を行いました。地元では、この予行フライトの実施についても知らされていたようで、多くの人が集まりました。
 ちなみに、1番機、3番機、6番機のパイロットは、これが初の公式戦となります。

入場すると、まずはプリンセスチューリップの皆さんがお出迎え。実に華々しい!

 迎えた本番当日。やはり会場内はすごい人です。入場の際には、検温、消毒がしっかりと行われ、会場内各所にはソーシャルディスタンスが保てるように誘導マーキングがしてありました。
 余談ですが、「ホタルイカソフト」なるものを発見しました。さすが富山県!と驚きました。見た目は、プラモデルを作る時に使うパテのような、もったりとした濃い灰色をしており、なかなか口にするには勇気がいります。しかし、食べてみると、塩気がまさに“良い塩梅”!後味にほんのりとホタルイカの風味がする感じで、なかなか癖になる味でした。

見つけました!富山名物ホタルイカを使った「ホタルイカソフト」!?
見た目はとってもグロテスク…(写真手前の灰色のソフト)。もうプラモ用パテを盛ったビジュアル。でも、これが不思議と美味しかったです!
園内には300種類300万本の色鮮やかなチューリップが咲き乱れる。

 12時を回るころ、いよいよブルーインパルスが会場へと進入してきました。まずは「デルタ・ダーティーローパス」です。6機がタイトな編隊飛行をし、白い煙をひきながら上空を飛びぬけていきます。
そして「リーダーズ・ベネフィット・ローパス」「デルタ360度ターン」「フェニックスローパス」が披露されていきます。子供たちが夢中で空を見上げて、飛び跳ねている姿は実にほほえましいものでした。そして、「サクラ」へ。チューリップの上に大きな桜の花びらが描かれました。続いて「キューピット」。いわゆる“インスタ映え”課目です。しかしながら、あまりにも大きく描いていくものですから、携帯のカメラでは、なかなか1枚に収まらないほど壮大です。続いて、「ソロ720度ターン(8の字)」、そして「サンライズ」で締めました。全部で8課目。見事にやり遂げました。 

本番の「サクラ」。ちょっと雲が多くて、予行の方が綺麗だったかも…。

 みんなが一緒に大空を見上げ、歓声を上げるのは実に良いものです。なかなか出口の見えないコロナ禍、うつ向きがちだった毎日から少しでも解放された気分を味わうことが出来ました。
 今年もすでに、多くの自衛隊関連行事や式典の中止が決まっています。それでも待ちます。また青空に大きなサクラが咲くことを!

1年ぶりの公式の場での演技となったブルーインパルス。コロナ禍に負けず、頑張って!

  • 軍事フォトジャーナリスト.。1975年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。講談社フライデー編集部専属カメラマンを経て軍事フォトジャーナリストとなる。主として自衛隊をはじめとして各国軍を取材。また最近では危機管理をテーマに警察や海保、消防等の取材もこなす。夕刊フジ「最新国防ファイル」(産経新聞社)、EX大衆「自衛隊最前線レポート」(双葉社)等、新聞や雑誌に連載を持つなど数多くの記事を執筆。そのほか、「ビートたけしのTVタックル」「週刊安全保障」「国際政治ch」等、TV・ラジオ・ネット放送・イベントへの出演も行う。アニメ「東京マグニチュード8.0」「エヴァンゲリオン」等監修も行う。写真集「陸自男子」(コスミック出版)、著書「なぜ自衛隊だけが人を救えるのか」(潮書房光人新社)「試練と感動の遠洋航海」(かや書房) 「がんばれ女性自衛官」 (イカロス出版)、カレンダー「真・陸海空自衛隊」、他出版物も多数手がける。YouTubeにて「KIKU CHANNEL」を開設し、軍事情報を発信中
  • https://twitter.com/kimatype75

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