mono:そろそろジョニー物語最終章に突入ですが、「世界のカバン博物館」の館長になられたということで、ACE創業者・新川柳作氏とのエピソードなども伺えれば。
ジョニー:ウチの創業者は人誑しだと思いますね、個人的には。もの凄い厳しい人でしたけどね。例えば僕がね……。
mono:それ、記事に書いちゃっていいんですか?
ジョニー:書いちゃダメ(笑)!
mono:いい話なのに……。
ジョニー:代わりにACEという会社としての話をするとね、ウチは提案を頭から否定しない会社なんですよ。僕が若い頃、いいアイデアが浮かんで社長のところに話に行くと、「ここにプレゼンに来るってことはそれなりの覚悟で来ているんだよね、だったらいいよ。その代わり自分で責任取れよ。別に否定はしない」と。これは、やるならちゃんとやれよという叱咤激励なんですよ。総じてウチの会社は反応がいいですよね。社長が「やるぞ!」と采配振った瞬間からのスピード感はムチャクチャ速い。今の社長※はよく『不易流行』と言う言葉を使いますが、大切な部分で残さなければならないものは残すが、新しいこと、できること、いいことはどんどん採り入れていこうという意味。それは実践していかなきゃね、というのは常に思っています。
※エース代表取締役社長の森下宏明氏
mono:それは「世界のカバン博物館」での展開もですか?
ジョニー:博物館ではこれまでにアカデミックなこともたくさんやっていますし、もちろん、それは続けていくけど、僕が館長になったということは、他に求められているのは何だろうと考えた時に、一番はエンターテインメント性だと思ったんですよね。お子さんから大人までたくさんの人に来ていただいて楽しんでもらえるとか、博物館に来ていただいたことによってACEってこんな会社なんだと感じてもらって、ウチのファンになってもらいたいし。そのためにどうすべきかと考えたら、学校さんとコラボして作品を展示するのもアリだけど、例えば最近一番盛り上がったアニメとカバンを繋げてみるとかね。実際にできるできないは別にして、そういう試みをやっていくと、今まで博物館に来ていただけていなかった人たちにも来ていただけるんじゃないかと思うんです。きっかけはコジツケでもいいんですよ。
mono:「世界のカバン博物館」の展示物でとくに見ておくべきモノは何ですか?
ジョニー:いろいろあるけれど、ワニ革のキャビントランクとか。クロコダイル12匹を使った最高級船旅用トランクで、この博物館の展示用にウチがカスタムオーダーした稀少品。あとはシマウマ革のボストンバッグや、かの西園寺公望さんのキャビントランク、長嶋茂雄さんや山下泰裕さんなどスポーツ選手が使っていた移動用バッグ&スーツケースもあるしね。もちろん、ACEの昔のナイロンバッグも。博物館の1つ上の階には新川柳作記念館もあって、創業者が大切にしていた”ことばとの出会い”も楽しめますし結構、見どころはたくさんありますよ。
mono:今回、あらためてお話を伺って、ACEさんは”ことば”を大切にしている会社だなと感じました。最後にジョニーさんの一番好きな”ことば”を教えてください。
ジョニー:「世の中はこその二文字のつけどころ 治るもこそ 乱るるもこそ」。これ、”こそ”のことばをほかに置き換えると”感謝”なんですよ。(モノマガweb担当編集の)O川さんがいるからこそ、今日の取材ができた、とかね。常に”こそ”の気持ちを持って仕事をしなかったらダメなんです。”こそ”のことばを”のに”に変えると、「ここまでやったのに」になるでしょ。だから”のに”ってことばを使っているうちはまだまだ青い。”こそ”ということばを使えるようにならないとね。全ては”感謝”です。常に自分ひとりで仕事ができているわけではありません。周りにサポートしてくださる方がいるから仕事ができている。常に周りに感謝の気持ちを持つ。だから”こそ”の精神です。 完
profile
ジョニー
難波 敏史
1965年福岡県北九州市生まれ。’88年エース入社。営業部を経てマーケティング部にて広報PRの責任者として躍動。現在、マーケティング本部マーケティング部次長。今年4月から東京・駒形にある企業内博物館「世界のカバン博物館」の3代目館長も務める。
世界のカバン博物館/新川柳作記念館
東京都台東区駒形1-8-10(エース東京店内)
TEL 03-3847-5680
開館時間 10:00-16:30
休館日 日・祝・年末年始および不定休あり
入館料 無料
※5月31日まで臨時休館。6月1日~6月末まで金・土を臨時休館。