忙しく働くビジネスパーソンの間で、日々の疲れを癒すための「リトリート」が流行りつつある。中には「癒し」だけに限らず、仕事や生活への新しい刺激を求めてリトリートを行う人もいるそう。癒しと刺激、いいとこどりだ。長野県根羽村にある築130年の古民家「まつや邸」は、癒しと刺激が合わさった新感覚リトリートが体験できる宿だ。どんな宿泊体験が待っているのだろうか。
ユニークな取り組みの宝庫、根羽村。
根羽村は、長野県の南西部最南端にある人口約900人の村。周りは森林に囲まれ、愛知県に流れる一級河川、矢作川の源流地だ。根羽村には、豊かな森と美しい水を守り続けるためのユニークな取り組みの数々がある。
たとえば、道の駅「ネバーランド」の裏山では、酪農家が牛と一緒に暮らしている。牛の放牧によって、環境に配慮しながら山を管理する「山地酪農」を実践しているのだ。
他にもSDGsプロジェクトの一環として、杉材を加工しタオルやマスクを製造する「木の布(ふ)プロジェクト」などの取り組みも行われている。
昔から都市部の交流拠点であった根羽村は、様々なバックグラウンドを持った人々が行き交う。多様な価値観と豊かな自然の恵みが掛け合わり、数々のユニークな取り組みが生まれてきた。今回紹介する「まつや邸」も、その一つだ。
自然体で過ごす時間と、ちょっとした刺激
「まつや邸」は、築約130年の古民家をリノベーションした木造2階建の宿。2018年12月に東京から移住した一般社団法人ねばのもりの代表理事杉山泰彦さんと、有希さん夫妻がつけたコンセプトは「自然体になれる村の宿と場」。
壁を打ち抜いた開放的な空間が、コンセプト通りに、過ごす人の心を開いてくれる。また、時間に縛られず過ごせるように、宿にはテレビはもちろんのこと、時計も設置されていない。日が落ちたら自然と眠り、夜明けと共に目を覚ます。自然のリズムに合わせた暮らしの中で、自分のありのままの姿を取り戻せるのだ。
東京ではスマホを携帯し、数分時間ができればLINEやSNSをチェックする日々を送っていたが、まつや邸で過ごした5日間、ほとんどスマホを見ることがなかった。スマホの充電、こんなに持つものなのか。
さらに「まつや邸」の魅力は、ゆったりとした時間だけではない。村のPRや移住コーディネーターとして働く杉山夫妻に会うため、村のおばあちゃんや消防団の方々、県外の経営者やアーティストなど多くの人が宿に訪れる。
タイミングが合えば、一緒に食卓を囲みながら話すのもいいだろう。著者の滞在中は、飲食店の大将とタイガーストークで盛り上がり、地元の小学校の先生に育児について相談をさせてもらった。予期せぬ出会いがもたらす、ちょっとした刺激がリトリートのアクセントになる。
リトリートはおしゃれ女子だけのものではない!大自然を遊び尽くすアクティビティ
「まつや邸」では、宿泊中に大自然を使った森林アクティビティも体験できる。HPに掲載されいてる内容を一部を紹介する。
子供の頃を思い出す山遊び
前述した酪農家と牛が共に暮らす山には、ジップラインやブランコなど手作り遊具があり、子供の頃のように遊ぶことができる。テントを持ち込めば、牛と一緒にキャンプをすることも可能だという。牛と一晩過ごせば新しい世界が開ける気がする。(山のアクティビティは事前相談が必要)
源流の秘境を目指す沢登りツアー
山の中には、所々に美しい水の流れる沢がある。「水はどこから来るのか?」という冒険心がうずいてきたら、沢を登ってみよう。人が普段立ち入らない秘境を進む体験は、病みつきになる人も多い。
地元の釣り名人と渓流釣り体験
川の楽しみ方は他にもある。村内に流れる川では、地元の名人がガイドしてくれる渓流釣り体験ができる。釣竿もレンタルでき、初心者でも手軽に参加することが可能だ。初夏の頃にはアマゴやイワナが釣れるそう。
「ワデュケーション」で家族でも楽しめるリトリートを
リトリートをしたいと思っても、家庭があることで断念している方も多い。そこで「まつや邸」では、そんな方にぴったりの「ワデュケーション」を企画中だ。
ワデュケーションとは、「ワーケーション」と「エデュケーション(教育)」を合わせた造語。大人が宿で仕事をしている間、子供はインストラクターと一緒に、自然の中で遊べるという家族連れには嬉しい企画。(現在は新型コロナウイルスの影響を受け休止中)
「リトリート」と聞くと、おしゃれ女子のためのものというイメージがあるが、おしゃれじゃなくてもいい。男でもいいんだ。
都会から離れた自然の中で、癒しと刺激を得られる「まつや邸」でのリトリート。体験してみる価値は十分にありそうだ。
[設備]
寝室:3部屋(最大8人まで収容可能)
トイレ洋式1つ、独立シャワー1つ(お風呂希望の方は近くの温泉をご利用ください)
[備品]
○土鍋炊飯器 ○冷蔵庫 ○電子レンジ ○給湯器 ○まな板 ○包丁 ○調味料
○お皿 ○コップ ○箸 ○フライパン ○土鍋 ○ガスコンロ3口 ○コーヒー豆
○コーヒーミル ○コーヒーポット ○ケトル ○紅茶 ○バスタオル ○フェイスタオル
○ドライヤー ○シャンプー ○リンス ○石鹸 ○wi-fi 等
[宿泊費]
村暮らし2泊3日プラン
1名1室 ¥11,000/人
2名1室 ¥8,500/人