Mud&Run
ランドローバーの正しい使い「道」
やば、足が抜けない!
10インチのヒザ上まであるハンティングブーツでもずっぽり埋まるほどのヌッタヌタの泥道。
その先には腰ほどの深さの巨大な水たまり(というか、もはや池)。
新型ディフェンダーの走行シーンを撮るには最高のコース、シチューエーションだけど、
このぬかるみ、どうすりゃいいのよ!
機材片手に困り果てるカメラマン。
電子制御のモードを「渡河走行」に切り替え、すっかりアドベンチャー気分。
うきうきのドライバー。
新型ディフェンダーと戯れる、泥まみれな1日のはじまり。
世界で唯一の四輪駆動車専門ブランド「LAND ROVER」。
そのオリジンともいえる「ディフェンダー」に新しい選択肢がふたつ加わった。
新たに追加されたディーゼルエンジン「D300」搭載のロングボディ110(ワンテン)とショートボディの「ディフェンダー90(ナインティー)」。
先にリリースされたガソリンエンジン+ロングボディの「110(ワンテン)」をやり過ごしてコッチ待ちしていた、なんてヒトも多いのでは。
今回のテストドライブで2台を乗り比べ後の正直な感想は、
待ってて正解。
●ショートボディの「90(ナインティー)」は、林道(あるいは都心の裏道)で断然有利な小回りの良さが最大の魅力。全長が435mm短くなったことで、最小回転半径は110が6.1mから5.3mに縮小。特に今回のようなタイトな悪路でタイヤ約4つ分も内側に入れる(80cm)とハンドルの切り返しをしなくてもいいわけだから、この差は大きい。
また、全長が短くなったことで(全幅は110と変わらずの1995mm)マッチョだったボディデザインがさらにぎゅっと凝縮。真横からのスタイリングはチョロQのような、デフォルメ感を感じてなんだか可愛らしい。余談ながら、ディフェンダーのチーフデザイナーであるマクガバン氏は「僕が買うなら90のほう」と日本での発表会でコメントしていたっけ。
●もう一方のディーゼルエンジン。日本ではマイルドハイブリッドを搭載した静かでず太いトルクが魅力の6気筒3Lエンジン「D300」を設定。低回転からグイグイくる性格のディーゼルは季節をまたいで走るオフローダーだけでなく、トレーラーを牽引するユーザーにも好都合。しかも昨今のガソリン高騰。ランニングコストが安上がりなディーゼルモデルは、年間1万キロ以上走るユーザーにとって大きなメリット。ちなみに日本ではいまのところ、ディーゼルエンジン搭載車はロングボディの「110」のみの設定だ。
取り回しの良さとデザインで「90」。
オフロード車はトルクでしょ! という向きには「D300」のディーゼル。
その一方、すでに売っている4気筒のガソリンエンジン「P300」の出来がすこぶる良いのが2021年夏におけるディフェンダー選びの悩みどころ。
リアルな話しをすると、「90」は車両本体価格551万円から、という
お値打ち価格。「110」のガソリンモデルが同じく車両本体価格で619万円から。
ディーゼルエンジンを搭載する「110」モデルはガソリンモデルよりいくつかの装備が
標準となっているグレード設定になるため、車両本体価格は754万円から。
とはいえ、エンジンで選んでも、サイズで選んでも新型ディフェンダーには
「ABOVE & BEYOND(さらなる高みへの挑戦、というブランドポリシー)」を具現化した
情熱と最新モードがもれなく標準装備される。
どれを選んでも間違いなし、のクルマだけどどれにしようかと選ぶ楽しさこそクルマ購入におけるオープニング曲のようなもの。
というわけで、待ってて正解。
誰を乗せるか、何を積むのか、どんな道を走るのか。
ディフェンダーとの時間を想像しながら、悩む楽しさ。
これから長く付き合うであろう相棒選びを存分に味わいたい。
●https//www.landrover.co.jp/vehicles/defender/index.html
●movie:Minoru Ito(REGRESS)
動画/REGRESS 写真/安部英明 文/サク★ライダー
協力/LANDROVER JAPAN