家はモノ選びや暮らし方、生き方など人ぞれぞれのライフスタイル観の集合体。モノ・マガジン的に考えれば家はモノである。イマドキのいい感じの暮らし方を探る『みんなの家』。連載2回目は東京タワーのお膝元に佇むマンションの一室で大好きな質感豊かなモノたちに囲まれた日々を愉しむKさんの家をご紹介します。
「無垢材の床やコンクリート打ちっ放しの天井とか、”そのまま”という感じが気に入ったんですよね」とは住まい主のKさん。最近では仕事もリモートワーク中心で、自分にとっての心地よい空間でより長い時間過ごせるようになったことを歓迎している。
Kさんがこの部屋に住みはじめたのは3年ほど前のこと。大人的にいい感じの住まいをECサイトで検索しているうちにREISMが手がけたこの物件に出逢い、ほぼ即決した。
「以前はふつうのワンルームに住んでいましたが、40代に入り年齢と経験も重ねたことだし、そろそろいい部屋に住みたいなと思うようになったんです。それまでは住まいには妥協、というよりはあまり頓着してこなかったけれど、『オシャレな部屋』でweb検索してこの部屋のページを見たら、東京のど真ん中の立地にしては、意外に賃料が手軽で、これなら僕でも住めるなと思ったのがきっかけ。すぐに部屋の内見に行くと、当時はリノベーションしたばかりで、賃貸物件ではあるけれど、気持ち的には自分のモノみたいな感覚で住めるのも良かったんです。いわゆるピカピカのデザイナーマンションではなく、無垢材やコンクリートむき出しの質感が気に入ったんですよね」
少し補足をしておくと、彼が語っていた”オシャレ”とは単にトレンドに敏感ということではなく、自分に似合うモノや欲しているモノを自分でよくわかっているという意味合いが強い。ある意味、モノにこだわる”モノマガ人”といえる。Kさんのライフスタイルのキーワードは質感にあったということだ。
玄関を入るとすぐに壁面全体を使った省スペースの棚に多種多彩な靴が整然とディスプレイされている。身だしなみの基本は足元からというとおり、手入れの行き届いたシューズたちを見る限り、Kさんはオシャレの達人だ。さり気なく鏡に立てかけたハットにもセンスを感じさせる。ランドリースペースなどを備えた細長の廊下を進むとキッチン、その奥には約10畳ほどの縦長の開放的なリビング空間が広がっている。
ここは中古マンションをリノベーションによって再生することで豊かなライフスタイルを提案するREISMの人気シリーズ『Brick』の部屋で、壁一面に敷き詰められたレンガがスタジオを思わせるようなスタイリッシュなリノベーション空間。レンガの色によって住む人のスタイルが映える空間に仕上げているが、Kさん邸の場合は、その重厚な茶色のレンガの風合いが、まさに男の秘密基地的な雰囲気だ。
「レンガというよりは全体の質感が気に入ったんですけどね。3年ほど快適に暮らして、とくに不満はありません。唯一、もう少し広ければもっと良かったけど……」というKさん。全体で28.35㎡と面積だけで考えるとけして広いとはいえないワンルームだが、「なので、あまり背の高いモノは置かないようにしています」というちょっとした工夫で、天井の高さも感じられるゆとりのある奥行き感を生み出している。
「もともとテレビもあまり観ない方なので置いていません。その代わり、映画などを大画面で観たいときはプロジェクターを活用しています」
いまや、スマートフォンやタブレット、PCなどでも豊富な映像コンテンツが視聴できる時代。テレビがなくても生きてはいけるのだ。テーブルの上には急須や缶カラ、その下には使い込まれた表情豊かな将棋盤も。後編では身のまわりのモノたちに質感や味わい深い表情を求めるKさんのライフスタイル観へとアプローチしていきます。
取材協力/REISM http://rent.re-ism.co.jp/