この夏、世界中のアスリートたちが連日熱き戦いを繰り広げた東京オリンピック2020―。
世界中を襲ったコロナの暴威により、今年に延期となり、ギリギリまで開催すら危ぶまれました。無観客開催とはなりましたが、日本はメダルラッシュに沸き、過去最高の27個もの金メダルを獲得しました。お茶の間は大興奮と大感動に包まれました。
そんな中、九州の地で、日本中の飛行機ファンを沸かせる出来事がありました。なんと、築城基地(福岡県)に、航空自衛隊が保有するすべての戦闘機が勢ぞろいしたのです。そして「空自オリンピック」よろしく、こちらも連日熱き訓練を繰り広げました。
築城基地には、第8航空団が司令部を置いています。同部隊には、第6飛行隊、第8飛行隊という2つのF-2戦闘機を有する部隊が編成されています。
ここに、三沢基地(青森県)に所在する第3航空団の第301飛行隊と第302飛行隊に配備された最新鋭のステルス戦闘機F-35Aと、小松基地(石川県)に所在する日本最強のアグレッサー部隊こと飛行教導群のF-15が展開してきました。
今年、F-4EJ/EJ改ファントムⅡが引退した今、これにて、築城基地に現用の空自戦闘機が全機種顔を揃えたことになります。
この珍しい事態に、SNS上は大きな盛り上がりを見せ、基地外周には多くのファンがカメラの砲列を作り、さながら「築城基地航空祭」となりました。
(なお、この時まだ福岡県はコロナ感染予防にかかるまん延防止重点措置実施前でした)
訓練は7月27日から始まりました。開始に先立ち、三沢基地や小松基地から整備員や資機材などを築城基地へと輸送するため、C-1及びC-2輸送機が飛来しました。この新旧輸送機の共演も大きな話題となりました。
そして、朝からF-35やF-15、F-2が飛び立ちました。訓練の詳細は明らかになっていませんが、四国沖で各種訓練を実施したようです。また、同訓練の一環であると思われる対地攻撃訓練AGG(Air to Ground Gunnery)も行われました。通称“ノーフラ”と呼ばれるノーフライトの日もありましたが、概ね予定通り訓練は進んでいったようです。
築城基地には通称“お手振りポイント”と呼ばれる場所があります。外柵沿いではあるのですが、滑走路の末端(エンド)に、一般の人でも近づけます。
パイロットたちは、着陸した後、エプロン地区へと移動する際にここを通ります(ただし風向きによる)。そこで、この場所に詰めかけたファンに対し、手を振り、声援に応えます。訓練の緊張感から放たれたこともあるのでしょう、中にはポーズを決めて、写真撮影に応じてくれます。
天候は概ね良好。というよりも灼熱の日々。日を追うごとに皆真っ黒に日焼けしていきました。そして8月5日、外来機は帰投し、あっさりと終わりを告げました。
このような貴重な機会はそうそうありません。果たして次回はいつになるのでしょうか?