アルファロメオ創立111周年
ジャの道は蛇? Vol.3
ジュリア 2.0 ターボ ヴェローチェ


 私事で恐縮だが、アルファロメオのステアリングを握ると顔がにやけるらしい。これは結構いろんなところで「何かいいことあったの?」と聞かれるので事実っぽい。自分ではまったくそんなつもりはないのだが(むしろ仕事に追われている時の方がいい)、にやけるようだ。

 今回乗り出したのは2016年にデビューしたアルファロメオの4ドアセダン、ジュリア ヴェローチェ。

スポーティモデルらしいショートデッキのプロポーションにまずは軽くニヤけると思う。そして乗り込んだら2回目のニヤけだ。伝統的な2眼デザインのメーター、ステアリングに設定されたエンジン始動ボタン。使いやすい使いにくいではなく一つの演出なのだ。

フロントシートはスポーツタイプのレザー。

もちろん、セダンであるからして後席のスペースは必要十分。

 往年の方程式のように妹のジュリエッタが先にデビューして姉のジュリアが登場。最初のジュリアは1962年から1977年にかけて生産されていたので約40年ぶりの復活になる。しかもデビュー時の話題はアルファ75以来のFRセダンの復活というファンにはコーフンせずにいられようか! あ、こんな表現している時点で筆者も若干コーフン気味である。

 さて。そのジュリア、グレード体系が整理され、FRのガソリンモデルのみに。それはスタンダードモデルのスプリント、ホットモデルのヴェローチェの2種。もちろん最強のクアドリフォリオはジュリアのイメージリーダーとして健在。主力モデルになるスプリント、ヴェローチェ共にエンジンは2リッターの直4ターボ。試乗車のヴェローチェは同じエンジン型式ながらもスプリントのそれよりもハイスペック仕様だ。馬力で80PS、トルクで70Nm、スプリントのそれを上回る。

実際に走り出すと、イタリアのスポーツモデルは回転を上げて走らなければ意味がないといわれた時代もあったけれど現代はまったくもって扱いやすいし、十分楽しい。楽しさの一つはクイックレスポンスのステアリングだ。

自分の意に沿った動きをしてくれる。これぞスポーツセダンと表現せずなんと言おう。そしてもう一つはアルファロメの魂でもあるエンジンのフィーリングと音。ヴェローチェにはハーマンカードン製のプレミアムオーディオシステムが標準で装備される(お得ポイント)がその音を楽しむより一人ならアルファサウンドを楽しみたい。この2点もニヤける要素だと思う。

 一方、家族やゲストを乗せて走るときは2000rpmも回せばプレミアムDセグメントのセダンらしいもう一つのエレガントな面を見せてくれる。まず踏まなくて加速する。なんせ最大トルクが2250rpmで得られるから。それでも幕府ご禁制のシロモノに手を出したい向きはMTモードでパドルシフトを街中でも駆使することもおすすめ。この方が低速域でシフトのアップダウンでクルマがギクシャクすることが少なくできるはず。この自分が操っている感でまたニヤける。それでいてゲストはそれに気づかない。これぞ背徳の楽しみ。それにしても2リッターターボで400Nmの最大トルクを出せるなんてスゴイ時代になったモノだ。400Nmクラスのトルクは一昔前なら大排気量エンジンの専売特許だったのに。この使い分け、ジギルとハイドの2つの顔を自分の好みで。

 てな具合でアルファロメオのステアリングを握るとニヤける、らしい。ジュリアの魅力はまだまだある。ライバルにあと一歩といわれても先進の安全装備も充実しているし、意外に燃費もいいし、前後50:50の重量配分も本気だし……。今やマニアだけのモノではないのだ、アルファロメオって。

アルファロメオ ジュリア 2.0ターボ ヴェローチェ


価格:598万円〜
全長×全幅×全高:4655×1865×1435(mm)
エンジン:1995cc直列4気筒ターボ
最高出力:280PS/5250rpm
最大トルク:400Nm/2250rpm
WLTCモード:12.1km/L

アルファロメオ
https://www.alfaromeo-jp.com/
Alfa Contact ☎︎0120-779-159

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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