「カールツァイス」と聞いたとき、あなたは何を思い浮かべるだろうか。カメラレンズ、シネマレンズ、顕微鏡に眼鏡レンズ・・・。それらに加え、眼科医療機器や半導体関連機器に至るまで幅広い事業を展開し、精密光学の分野を牽引しているのが、ツァイス・グループだ。
今回は、なかでもツァイスの眼鏡レンズについて話を訊くべく、カールツァイスビジョン ジャパンの本社を訪ねた。
測定機器まですべて自社で開発
ここは、本社のショールーム。広々としたスペースには、同社が誇る最先端の測定機器が揃っている。眼科医療の現場などで培った知見を活かし、レンズだけでなく測定機器まですべてオリジナルで開発しているのも、ツァイスの大きな特徴だ。
ツァイスのレンズといえば、「クリアで鮮明な視界が得られる」と評判なのだが、それを可能にしているのが、ツァイス独自の「i.Scription®(アイスクリプション)テクノロジー」であり、「i.Profiler®plus(アイプロファイラープラス)」という最新鋭の測定器だ。その実力を知るべく、早速測定を受けてみることにした。
昼間だけでなく夜間の度数も測定が可能
まずは、i.Profiler®plusでの測定から。こちらは、個人の目のデータを精密に自動測定できる測定器だ。瞳孔の中心部だけでなく周辺部まで計測することで、目の波面収差データを計測できるのだという。
その結果が、こちらの画像だ。カラフルな等高線のような円が、筆者の瞳孔の波面収差を表したもの。収差は昼間と夜間でも変化すると言われているのだが、i.Profiler®plusは光を調節して瞳孔が大きく開いた状態を作ることで、夜間の見え方も計測することを可能としている。
この数値を見ると昼間と夜間では瞳孔の大きさに2mmの差があり、夜間になると左右共に度数が約0.5上がっていることが明らかに。反対に、乱視の度数は夜間になると下がることがわかった。このように、従来の測定ではわからなかった「見えづらさの原因」を知ることができるのが大きな特徴だ。
実際の処方データはこのi.Profiler®plusでの測定結果と自覚的屈折測定(指標がどこまで見えるかなどを確認する測定)の結果を踏まえ、ツァイス独自のアルゴリズムを使った『ZEISS i.Scription(ツァイス アイスクリプション)』で解析。それにより昼だけでなく夜もしっかりと見え、さらには色覚やコントラストまで改善できる度数を導き出すことができるというわけだ。
しかもこのi.Scriptionでは、従来の0.25D刻みよりも超精密な0.01D刻みという度数の処方データをレンズの設計に反映させられるので、より満足度の高い見え方を実現できる。まさにレンズのオーダーメイドといっても過言ではないだろう。
フレームの傾斜や瞳孔の位置も瞬時に計測
さらに、この精密な処方データとレンズがもつ性能を最大限に生かした眼鏡を作るために欠かせない機器が「ZEISS VISUFIT 1000」だ。
この機器はまだ国内に13台しかないという稀少なもの。半円状になった部分には9台のカメラが設置され、ワンショットで顔のデータを180度撮影・計測して解析。フレームの傾斜や、瞳孔間距離(左右の黒目の距離)、角膜頂点間距離(レンズから角膜までの距離)など、眼鏡をあつらえるために必要なデータを高い精度で測定できる。
以上で、一連の測定は終了。さらに、この撮影データを使い、フレームにカラーレンズを入れた状態をバーチャルに確認できる「See Me(シーミー)」というシステムも。本来であれば実際に仕上がらないと確認が難しかった着用イメージを、画面上で客観的に確認できる。
最後に、今回測定したデータをもとに現在の見え方についての不満や要望なども相談しつつ、レンズを選んでいく。
私は、夜間など暗い所で若干の見えづらさを感じていたこと、また車に乗っているとき(運転はしないが)に、対向車のヘッドライトなどの眩しさを感じることが多かったことから、「ドライブセーフレンズ」に決定した。
歪みのないクリアな視界を実感!
後日、出来上がった眼鏡がこちら。やはり評判通り、とにかく視界がクリアで、物がくっきりと、より立体的見えることに驚く。たとえば料理をしていても、食材の輪郭が際立ち美味しそうに見えるのだ。
そして本題のドライブについても、夜間や雨天など視界が悪いシーンで、その違いに驚いた。筆者が車に乗ったときはかなり強い雨が降り続いていたのだが、道路の白線や遠くの信号がこれまで使用していた眼鏡よりもくっきりと見え、センターライン上の道路鋲がより立体的に見えたのだ。これは、ドライブセーフレンズを愛用する眼鏡店スタッフがその効果を絶賛するのも頷ける。また、暗いなかでも電光掲示によるバスの行先表示などが見やすく快適だったため、運転をしない人も様々なシーンにおいてそのメリットを享受できるだろう。
さらに今回、手元を見るための加入度数をこれまでの眼鏡より+0.25強く入れたのだが、それを感じないほど歪みのない視界を得ることができた。パソコン使用時に試してみると、無色透明のレンズながら特殊コーティングの効果なのか、白い画面の眩しさが和らいでいるようにも感じられた。
ツァイスの最新技術を駆使してあつらえた究極の1本。正直、安くはない買い物だ。とはいえ、毎日使うものであるから投資する価値は十分あると言えよう。とくに、今までの見え方に不満を感じている人は、ぜひトライしてみてほしい。
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『ZEISS PEOPLE』
ツァイスの眼鏡レンズについて、より深く知ることができるWEBサイトが今月ローンチ。ツァイスを愛用する有名人や、取扱店スタッフなどによるリアルな声を知ることができる。
www.people.zeiss.co.jp