アメリカの軍事力の象徴!空母来日
米海軍はトータル10隻の空母を保有しています。このすべてが「ニミッツ」級という同じ空母です。ネームシップである「ニミッツ」が建造されたのは1968年のお話。そして米海軍の戦力となるべく就役したのは1975年5月3日となります。世界初の原子力空母であり、世界最大級の軍艦となりました。
米海軍横須賀基地は「ニミッツ」級の9番艦である「ロナルド・レーガン」が配備されています。世界中に展開する米軍ですが、空母を外国に配備しているのはここだけです。
2021年5月、「ロナルド・レーガン」は、中東方面へと展開するため、日本を後にしました。空母に限らず、日本を母港としている米海軍艦艇の担当地域は、アジアからインド洋、そして中東地域となります。この展開中に、アフガニスタンからの米軍撤退に乗じて、タリバンが首都カブールを制圧しました。この混乱を受け、「ロナルド・レーガン」空母打撃群と強襲揚陸艦「イオージマ」等は、アラビア海北部にて警戒監視活動を行っています。
そこで、「ロナルド・レーガン」の代わりとして、2021年8月28日16時ごろ、「ニミッツ」級の3番艦として、1982年3月13日に就役した「カール・ビンソン」がやってきました。なかなか年季の入ったベテラン空母です。
南シナ海における中国の動きを牽制するためには、空母の戦力は必要不可欠です。そう考えると、たった1隻とはいえ、空母が抜けた穴は大きく、この間隙をついて中国が行動を移すかもしれません。そこで、「カール・ビンソン」が派遣されました。
これまでも「カール・ビンソン」が来日したことはあります。改めて振り返ってみると、今回の来日は18年ぶりとなります。
生まれ変わった船体とF-35C
実は「カール・ビンソン」はこれまでとは少し違う空母となりました。前述しましたように「ニミッツ」級のほとんどが30年以上を経たベテラン艦となってしまいました。そこで、今後、新しい空母として「ジェラルド・R・フォード」級が建造されていく計画です。すでに1番艦は完成しており、各種試験中です。ですが、すぐに総入れ替えできるわけではありません。
そこで、「ニミッツ」級に大規模な改修を加え、今しばらく使えるようにしていきます。「カール・ビンソン」もその一つで、2018年に行われたドック入りにて、システムやレーダーなどを更新し、能力向上化改修を施しました。これに合わせ、艦載機として、新たにステルス戦闘機F-35Cを搭載しました。
F-35Cは、F-35Aを空母運用型としたバージョンです。今後、米海軍の主力戦闘機となっていくでしょう。F-35Cが日本にやって来るのは今回が初めてのこととなりました。
こうしたこともあり、久しぶりの「カール・ビンソン」入港は、ちょっとした話題となりました。
今、極東アジア地域は、東西冷戦期に匹敵するほど、緊迫しています。そんな状況にある今だからこそ、「カール・ビンソン」の存在は大いに期待されております。その声に応えるかのように、8月31日夕方、出港していきました。必要な補給だけを済ませただけのほんのちょっとの滞在でした。
近々また日本へとやって来ることでしょう。