齢45を過ぎた筆者、地方の取材などへの深夜の長距離ではACCが大活躍である。そういったACCを含めた自動運転の試乗会があり、どれどれと出かけて行った次第。
自動走行システム(SIP-adus)はクルマや道路に関する総務省、経済産業省、国土交通省、警察庁といった国の機関をはじめ、自動車メーカー、大学、モータージャーナリストなど官民一体となって取り組んでいるプログラムの一つ。今回筆者が試乗したメーカーはBMW。
BMWの自動運転技術といえば日本初の条件付きハンズオフを実現したメーカーである。今回は運転席ではなく、助手席での体験を希望した。理由はこういった自動運転技術ってドライバーはなんとなくいろいろな情報がわかったり操作ができたりするけれど、パッセンジャーシートだとクルマの挙動が如実に伝わるので、その辺りを体験してみたかったのだ。試乗車はPHVの530e。530eは5シリーズはセダンのみに設定されたPHVモデル。パワーユニットは2リッター直4ターボ(184PS/300Nm)にモーター(68PS/130Nm)を組み合わせ、システム最高出力252PS、420Nmを誇る。PHVながらもBMWのスポーティなイメージや味付けを損なうことがない。エンジンの回転の前にモーターが十分にトルクを出し、レスポンスの良さと気持ちのいい加速を披露してくれるのだ。
さて、助手席に陣取っていざスタート。高速道路まではさすがPHV、モーターのみの走行で驚異的な静粛性能だった。高速への合流はさすがで、本線に入って早速ACCのスイッチオン! ドライバーはペダル操作から解放される。もちろん、瞬時の対応が必要だけれど。
当たり前だけれど助手席では言われなければクルマが運転しているとは気づかない。ちなみにBMWのADASは3眼カメラとレーダー、高性能プロセッサーの組み合わせで精度と正確性が向上したモノを採用し、これらは5シリーズにはすべて標準装備となっている。
これらがスゴイのだ。トラックはトラックとクルマが認識しているのがメーターからわかる。
しかも隣の車線まで。また前走車に追従するのでACCながらも交通の「流れ」にキチンと乗るあたりはドライバーの感覚に近い。車線変更時にはウィンカー操作に応じて自動で車線変更してくれるステアリング&レーンコントロールも便利だと思う。
横から見ていてもドライバーの注意や非常時の操作は必要だけれども、ステアリングが動く様は近未来的だ。加えて条件が揃えば、ハンズオフ可能でステアリング操作はクルマがやってくれる。
もちろんドライバーの監視下ではあるが。ここまでくるともう自動運転レベル3でもいいのではないかと思ってしまうほど。もちろんドライバーを監視するシステムは想像以上に厳しい。わき見をしようものならば容赦なくクルマが警告してくるけれど。
しかしながらジツは日本は自動運転に関しての法整備や保安基準の作成といった面では世界でもトップクラスという。SIPの努力もあるというが、海外の自動運転のニュースを見たり聞いたりすると日本はまだか、と思いがちだが違うのだ。ホンダのレジェンドが世界初のレベル3の自動運転が可能になったのも日本がダントツに進んでいるからという。試乗したBMWも輸出先によってレーンキープアシストがついていなかったり、全くACCの設定がない国もあるという。最後に「駆け抜ける喜び」をブランドのCFにするBMWは自動運転はいらないのでは? と意地悪な質問をしたところ「渋滞や混雑時はリラックスできるのが一番です。交通量が少なくなったらBMWの魅力を楽しんでいただければ」とのこと。さすがである。
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