寒い時期の自転車キャンプには冬用の暖かい寝袋が必要不可欠だ。けれどもテントの床に直接置いてしまうと、ロフトが潰れてぺったんこ。寝袋の保温力をキープするため凸凹のマットも用意したい。軽量でコンパクトになることとフカフカ寝心地は相反するため、選択が難しいが、両方を兼ね備えた夢のインフレータブルマットがある。今回は、クライミットのスタティックVの偏愛ぷりを語りたい。
私は、KLYMIT(クライミット )のStatic V(スタティックブイ)を愛している。
なぜこれほどまでに惚れ込んだのか?
この時期「山下さん、冬のキャンプは寒くないですか?」そうアイロニカルに尋ねてくる人が多い。まして、山岳部のキャンプ場となると標高があるので、積雪や地面凍結も当たり前。そうなったら何が楽しいかすら分からないといった人もいるかもしれない。しかしながら、日進月歩で技術革新が行われているアウトドアウェア、キャンプギアがあれば(国内なら)難なく防寒でき、焚き火なんぞあるものならば、周りを温めてくれるだけでなく、人々の心も融解させるため、寒い地域でキャンプするのも案外乙なもの。木々が真っ白になる樹氷や、しんしんと雪が降る中で食べる熱々のお鍋など、真冬だけしか出会えないシチュエーションも山だけに山ほどある。
また、虫がキライな人や、ここ最近のキャンプブームでなかなか予約が取れなくて辟易していた人は、この冬の時期こそ狙い打ちすべきなのかもしれない。
かくいう私は、じつは冬の自転車キャンプが超がつくほどの最上級、宇宙級にキライだった。暑苦しいくらいの日照りによる太陽のパワーを求め、薄着でいられる気軽さ、荷物も軽量にできることも相まって、夏キャンプのほうが圧倒的に好きだ。だが、最近は冬キャンプの良さも理解できるようになった。それは寝袋の進化とこのマット(スリーピングパッドともいう)の存在が大きいと言っても過言ではない。
クライミットはアメリカのユタ州にあるソルトレイクシティのメーカー。世界的なアウトドアギア&ウエアの展示会でもあるアウトドアリテーラーショー、通称ORショーウィンターの本拠地だった場所だ。緑豊かな山々に囲まれているため、アウトドアスポーツが盛んで、冬はスキーやスノーボードの聖地として世界的にも有名である。大型アウトドアショップや老舗の個人店まで点在しており、自転車屋さんも多く、アウトドアマン&ウーマンが集う隠れ家的なカフェもあり、モルモン教徒が多く住む宗教都市という背景もある。そのため、ダウンタウン近辺には、キリスト教会も多く、碁盤の目のように整った街並みは、いい意味でアメリカらしくなく、ヨーロッパのような綺麗ささえある。
そのような恵まれた環境にあるクライミットが扱う空気を膨らませて使うインフレータブルマットは、人体工学に基づいたユニークなデザインで、独自構造の製品が多い。通常のアウトドアブランドは壊れないものや軽くて持ち運びやすいものを追求していくが、後発であるためその限りではない。人間の体はそもそも立体的なので、体圧が分散されるような形を探し、大学と共同研究したボディマッピング技術を採用。その結果、穴が開いた超軽量なイナーシャXやオゾンといった個性豊かなデザインに行き着いた。しかしながら、エクストリームな旅だけでなく、ビギナー向けの製品作りも続けていて、オートキャンプなどで家族と寝られるよう連結させるマットや空気で膨らませて川に浮かべるボートなども開発してきた。「犬も寝ていいんだよ。」というジョークもつけ加えておきたい。
そんなクライミット製品の1つでもあるスタティックVは、大のお気に入り。熟睡できるマットと豪語しよう。特徴は、V字型の空気室。私は、かなり筋肉質で凹凸のある身体をしているので非常に助かっている。背中からお尻まですっぽり包まれているような感覚はまるでハンモックさながら。クローズドセルタイプにはない感覚に驚いた。仮に横向きになったときもV字型なら寝心地がほぼ変わらない。また、サイドの部分が高くて大きい気室になっているので、寝返りを打ったときも外側に飛び出しにくい。クライミットはイナーシャXのように寝袋の中に入れるタイプもあるが、こちらは寝返りで暴れまくる人向けと言えるだろう。
また、幅が狭すぎず、広すぎず。上の画像はパーゴワークスのニンジャタープをオープンにして、ナンガのミニマリスム180の下に使用した場合だが、この通りバッチリ決まる。夏はマットレスが無くても寒くないので、空気を少し抜いて、柔らかめに。冬場は、地面からの冷気を遮断するために空気をパンパンに入れるのがコツ。きちんとV字の凸凹に隙間ができるため、寝袋にも空気の層ができ、保温性が高まる。前述の通り、どんな極寒に耐えうる寝袋であっても、床に直接置くと地面から寒さが伝ってくる。このスタティックVがあれば、寝袋のロフトをつぶさず、体温を逃さない。
アメリカのアバラチアントレイル、コンチネンタルデバイド、PCTなどのロングディスタンスのスルーハイカーは何ヶ月間もトレイルを歩くため、ウルトラライト要素のある軽量でコンパクトなキャンピングギアを好むが、このスタティックVやイナーシャXなどはかなり人気らしい。こちらのリーコンはミリタリーカラーのサンドベージュなので日本人好みだ。ついつい派手になりがちなキャンプサイトもスタイリッシュにコーディネートできていい。
今まで銀ロールマットを使っていて、キャンプの時は地面の凹凸が気になって寝られないという人には最適だ。また、寝袋を最新の良いモノにしたのにも関わらず、寒さが辛い、もっとフカフカの寝心地を求めている、それでいて荷物はコンパクトにしたいというワガママな縦走登山愛好家や自転車キャンパーにもうってつけというわけである。
Klymitt スタティックV リーコン
価格 9900円
品番:20011
サイズ:使用時/約183×58.4×6.4cm 収納時/約7.62×20.3cm
重量:約530g
付属品 : 収納袋、修理キット
カラー:サンドベージュ
ホームページ: https://highmount-store.jp/shopdetail/000000001360/ct478/page1/order/
お問い合わせ:ハイマウント お問い合わせフォーム
https://highmount.jp/contact/
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