Sonos(ソノス)というオーディオメーカーをご存知だろうか。2002年に4人の技術者・実業家が創業した新進気鋭のアメリカ企業で、音響・音楽のプロフェッショナルたちを虜にし、その最新鋭の技術を搭載することから“オーディオ界のApple”とまで言われている。
今年にブランド初となるポータブルタイプのスピーカーを発表。実際に使い、その魅力を探る。
■音のプロフェッショナルを虜にする Sonos
Sonosの新作スピーカーは、業界人を唸らせる高品質のサウンドが手軽にどこでも聴けるように開発されたポータブルタイプ。
サイズは168×62×60mmで、重量は430g。両手に載るほどの大きさで、片手でも持ち運びやすい。
一般的なポータブルスピーカーは四角柱のボックス型が多いが、Sonosのスピーカーは三角錐。この中にスピーカーやCPU、メモリー、バッテリーなどを搭載していると考えれば、スゴい! のひと言に尽きる。
スピーカーの操作は横に配置されたボタンで行うことができ、再生/一時停止、ボリューム、マイクボタンがある。再生/一時停止ボタンを2回押すと曲をスキップでき、3回押すと前の曲に戻る。また、マイクボタンを押してランプが消えるとミュートになり、長押しすると音声アシスタントによる操作が可能になる。
ボタンの配置を見たときに「向きが違うのでは?」と思った人もいるだろう。これは間違いではなく、じつは縦に置いても使えるように考えられている。そこにシリコン素材が付いているため、立てた状態でも問題なく使える。
ホテルやキャンプなど、置き場所が限られているところで縦で使えるのは嬉しい。ちなみに、頑丈な素材とそれを挟むように装備したシリコンにより、防水防塵性能はIP67をマーク。アウトドアで急な雨に打たれても壊れにくい構造を実現している。
裏面には安定性を上げるゴム足のほか、電源ボタンと充電ポートを配置。充電はUSB-Cタイプで、付属の電源コードを使うと2時間ほどで満充電になる。また、1回の充電で最大10時間も再生できる。
さらに、別売りのQi認定ワイヤレス充電器を使えば、ポートに入れなくてもワイヤレスで充電ができる。
■実際にSonos Roamで音楽を聴いてみた
Sonosのスピーカーの魅力は3つある。ひとつ目は、なんと言っても音質のクオリティの高さ。メッシュのカバーの奥にハニカム構造の中盤素材を挟み、さらにその奥にはクラスHデジタルアンプが2つ搭載されている。
それに加えて中音域と低音域をカバーするミッドウーファーと、高音域を受け持つツイーターもそれぞれ内蔵。つまり、低い音から高い音まで網羅しているのだ。
実際に聞いてみると、ボーカルのクリアな音はもちろん、ギターの弦の擦れ音もはっきり聞こえ、何よりベースの重低音も明確に聴こえた。筆者は倍以上の金額のするスピーカーを持っているが、それに引けを取らないクオリティにただただ驚いた。
2つ目の魅力は、Trueplayという独自機能。これは、場所やコンテンツに合わせて機器が自動的にその環境にあったチューニングを行うもので、手動でしなくても最適なサウンドにしてくれる。
例えば、アウトドアなら広がりのある優しい音になり、室内ならクリアで忠実性の高い音になる。これは個人差があるが、筆者は場所を変えて聞いてみたらたしかに音が変わったように感じた。
最後の3つ目は、前述したSONOS独自のアプリ。これはiOSでもAndroidでもダウンロードできるため、誰でも使える。
この中で、接続したスピーカーのサウンドを自分好みに調節できるEQ機能や、2台接続するとさらに臨場感のあるペアサウンド設定、さらに、AirPlay 2によるApple製品からの操作やAmazon Alexaによる音声アシスタント操作など、より便利にカスタムができる。
個人的にスゴいと感じたのは標準搭載のSonos Radio。この中には世界中のオンラインラジオ番組を聞くことができ、ジャンルも様々。これは、インターネットを使ったプラットフォームビジネスを創業時から意識して進めてきた同社だからできるサービスだろう。
■Sonosが業界人を魅了する理由は初期サンプルから始まっている
ところで、Sonosのスピーカーが業界人ウケいい理由はどこにあるのか。それは、製品を作る最初の段階にある。
同社には音楽プロデューサーからミュージシャン、作曲家など音楽のプロフェッショナルが属するサウンドボードを持っている。製品の初期テストで、このサウンドボードの人たちに聴いてもらい、細部にわたるフィードバックを受け取っている。
一般的なスピーカーは、メーカー独自のサウンドを貫くか、ネットサイトの口コミなどからフィードバックを受けて改善する。近年のスピーカーにはCPUが組み込まれており、バージョンを変えることで多少の音質や性能を向上させることはできるが、ハード面は変えることができない。
つまり、製品を出した後では難しい微調整を、Sonosは出す前の段階で本腰を入れて微調整している。もちろん同社の製品もソフトウェアのアップデートはできるので、機能などはWi-Fiを経由して最新の状態にできる。プロのフィードバックと初期段階での細かい微調整、これがSonos製品のスゴいと言われる所以だ。
■Sonos Roamは屋内外ともに高音質な音を聴きたい人におすすめ
アマチュアではあるが音楽にはこだわりが強い筆者は、過去に何台ものポータブルスピーカーを聴いてきたが、Sonos Roamの音のクオロティの高さは脱帽ものだった。特に重低音が明瞭で、クラシックとジャズを聴くとライブ感あふれるサウンドに鳥肌が立つほどだ。音にこだわりがある人は、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
Sonos Roam
サイズ: | 168×62×60mm |
重量: | 430g |
IP規格: | IP67 |
バッテリー: | 18Whリチウムイオン電池 |
動作温度: | 5~35度 |