冬でも楽しいクルマ!
マツダ 「ロードスターSレザーパッケージ」 試乗レビュー!


 ロードスターは偉大である。走行性能、価格、実用性どれをとっても高い次元でバランスされ、コスパまで素晴らしい。どこをとっても美味しい走る金太郎飴なのだ。また初代モデルは世界中のメーカーに衝撃を与え、メルセデスベンツ・SLKやポルシェ・ボクスターなど似たベクトルのクルマを発売させた逸話があるほど。クルマ百戦錬磨である専門誌の編集部員やヒョーロン家のセンセーもスポーツカー特集があるとメーンは別のクルマなのにロードスターのステアリングを取り合うくらい。

 さて、ロードスターである。オープンカーのベストシーズンは春と秋だと思ってらっしゃる方も多い。もちろん異論どころかご説もっとも。しかしながらジツは冬こそオススメのシーズンである。花粉症と過度に貧しい症候群(過貧症)を患っている筆者は、春秋の柔らかい暖かさを感じられる爽快な季節にオープンで走ることにココロから楽しめない身体ゆえ、余計に冬がいい。と若干のヒガミもある。それに寒い時期でも服装やシートヒーター(一部のモデルに標準装備)を駆使すればそこは走る露天風呂となる。

 今回乗り出したのはSレザーパッケージに設定されたホワイトセレクション。これはレザーシート、ダッシュボードのアンダー部分、ドアの一部などに白いアクセントを用いたモノ。シートは柔らかさとしなやかさに定評のあるナッパレザーと違いのわかるオトナ向けなモデル。

参考までに2015年にデビューした現行モデルは4代目に当たる。エンジンはロードスター史上最も排気量の少ない1.5リッターの直4をノーズに収める。

 試乗車のロードスターに追加されたディープブルークリスタルマイカのボディカラーとホワイトの内装、決まりすぎるくらい似合っている。一般論だが白い内装をメーンにすると安っぽく見えたり、白だけが主張して野暮ったく見えるのだけれど、このクルマはどうだろう。背伸び感もなく当たり前のように着こなすファッションモデルのようでもある。それでいて前後のフェンダーは筋肉質なアスリート。

オープンカーの見せるためのインテリアが質素でなく華美でなく、それでいて見せるモノを持っている。谷間を強調したドレスを着た藤原紀香のようか(編集部注:よくわかりません!!! そして若干古いです、たぶん……)。

 「東京には空がない」というのは智恵子抄の一節だがクルマの屋根を開けるとそこにはまぎれもない空が広がっている。そのソフトトップはフロント部分のロックを外して開くだけ。ロック解除に合わせてサイドウィンドウが少し下がる。開いたら、リアのロックがカチっとなればフルオープンの出来上がり。慣れれば電動よりも早く開閉できるはず。オープンで街中から山へ移動開始。1.5リッターエンジンはとても使いやすい。試乗車は6MTだったが、約30km/hでなんと5速に入るし、50km/hに満たない速度でも6速に入る。そしてそれはそのまま巡行が可能だし、都心ならばそのまま踏んでゆっくり加速しても交通の流れを乱すこともなかった。 これでいかに使いやすいかお判りいただけるのではないか。巡航中、6速50km/hで1500rpmくらい。これがレッドゾーンの7000rpmまでヒューンと回ってしまうのだ。2000rpm以下なんてツマラナイと思われがちだが意外にもそんなことはない。交通量が多く回せない環境でもロードスターは楽しい。ドライブの必需品の一つ、オーディもいい。試乗車にはボーズ製のサウンドシステムが標準装備。それはヘッドレストにスピーカーを内蔵するオープンカー向けのモノ。

また取り外せるカップホルダーは収納が少ないと指摘されるクルマにあって非常に工夫されたアイテム。

助手席側は取り付ける位置を自分で選択できる。

快適なクルージングからクネッた山道へ。そこは世の専門誌の数だけ表現された人馬一体のフィーリングが乗り手を待っている。ステアリングはダイレクト感であふれているし、拳一つ動かせばクイックにノーズが反応する。クイックだけどシャープでない、このちょうど良さがロードスターの魅力だと思う。クルマからのインフォメーションがわかりやすいのだ。メカニズムもしかり。

前輪の軸よりもエンジンが後方に置かれる完全なフロントミッドシップはドライバーの意思とクルマの挙動がぴったりと一致させてくれる。乗り手が使いたいエンジンの領域を自分で選択できるMT、ヒール&トゥのやりやすいペダル配置といいロードスターはやはりMTありきで開発されたクルマなのだ。

MTならばアクセルとブレーキの踏み違いもない。万が一間違えてもエンストするだけ。乾いたエグゾーストノートばかりが楽しみでない。エンジン回転を抑えて走れば、開け放たれた屋根からは鳥の声や木々を抜ける風の音、木漏れ日の明かり、太陽を写す水面(みなも)が光る川などを感じられる。この自然を感じながらのドライブこそ最大の魅力。

そして間もなく新型がデビューするというロードスター、現行モデルは一部を除いて注文を中止している。この型が欲しくなったらすぐに販売店にゴー! 

ロードスターS LeatherPackage White Selection

全長×全幅×全高3915×1735×1235(mm)
エンジン1496cc直列4気筒
最高出力132PS/7000rpm
最大トルク152Nm/4500
WLTCモード燃費16.8km/L
価格320万9800円から

マツダ
https://www.mazda.co.jp/
問 マツダコールセンター 0120-386-919

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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