【冷凍飯】2022年はストック食から即食性の高い個食へ!
ローソンの冷凍食品が熱い!前編

2022.01.17

日本では100年もの歴史を持つ冷凍食品。これまで生産量では常に業務用が家庭用を上回っていたが、ついに2020年に家庭用が逆転した。その背景にあるニューノーマルなライフスタイルへの変化や冷凍技術の向上など、2022年の食のキーワードになる冷凍食の進化と可能性を探る新連載『冷凍飯』。第1回はコンビニ界で冷凍食品にエンジンを入れるローソンの取り組みを全2話で渾身レポートします。

最近の朝食はもっぱらローソンのパン。個人的な話で恐縮だが、パン好きかつ健康志向の強い小生にとってローソンの低糖質パンは痒いところに手が届くようでありがたい。ロングセラーの「ブランパン2個入〜乳酸菌入〜」(価格120円)は、1個あたりの糖質2.2gに加え、栄養素がたっぷり摂れる優秀な小生の相棒だが、店内にいつもと違う商品が並んでいたので気になって選んでみた。ブランのクロワッサン(価格248円)だ。

ほかにブランのイングリッシュマフィン(価格278円)もあったが、そういえば通常のパンコーナーでは見かけなかったような……? 実はこれ、レンジでチンして食べるパスタやピザなどとともに並ぶ冷凍食品なのだ。

先日、ローソンから商品改革の一環として冷凍食品のメニュー拡大が発表された。数年前からはじまりニューノーマルなライフスタイルで加速した冷凍食品の進化に、従来の印象をはるかに上回るクオリティと、それもコンビニで買えるの? と驚くお客さんが続出しているらしい。そうと知れば、深く掘ってみたくなるのがわれわれモノマガ人の性分。さっそくローソンの冷凍食品開発担当者にお話をうかがってきた。

「現在では冷凍食品の売場拡大に向けて、全国約5000店舗の改装も進めており、冷凍食品のアイテム数も以前の約60品から約110品へと約2倍に増やしています」とはローソン商品本部デリカ・FF部の島津裕介さん。

前述のとおり、冷凍食品市場では2020年に家庭用冷凍食品の国内生産量が業務用を追い抜いたが、最近では、家庭での冷凍室の要量不足から食材の保存スペースを確保するために冷凍庫だけを家庭に追加する“セカンド冷凍庫”という新しいカテゴリが生まれている。家庭に冷凍食品をストックするいわゆる従来型のニーズの一方で、もうひとつの新たな需要も生まれていた。

「ニューノーマルなライフスタイルへの変化で正しい便利さを問われた気がしたのです。リモートワークでも意外に忙しいとか。そこで、買ってすぐに食べるという“即食”のニーズがあることがわかりました。スーパーではファミリー向けとして冷凍食品は3〜4人前の商品が多いと思いますが、ローソンでは”個食”に力を入れます。容器ごと温めてそのままお皿がわりになるとか、コンビニらしい便利さを追求しています」(島津さん)

1月11日から全国展開されている「濃厚鶏白湯らぁ麺」(価格399円)。袋から取り出し容器ごとレンジの中へ入れ、できあがったら容器をそのままお皿として使って食べることができる、即食を考慮した新商品だ。

ローソンには、容器がそのままお皿になる商品を多く取り揃えている。容器左端にある点線のついたあけ口はトップシールと呼ばれ、点線まであけ口を剥がすことで容器ごと温められる。さらに容器にトレーを使用することで、温めたあとそのままお皿として使えるというわけだ。

味だけではない、ニーズに合わせた細かい工夫に関心したところで、島津さん個人的に思い入れの深い商品はなんですか? 年間何十種類もの商品を一人で担当する島津さんは頭を悩ませながらも、「……、チャーハンですかね」。

「5種具材の香味炒飯」(価格138円)は、もともと冷凍食品の中でも人気メニューだったが、昨年11月にリニューアルしている。

「冷凍食品に関する調査を実施したところ、お客さまの声から“ネギ”が重要だと感じたのです。もともとお米の炒め方やチャーシューなどにこだわった自信作でしたが、白ネギだけだったところに青ネギを加えて色味を出し、さらにネギの食感も改良しました。開発期間中は、いやというほどチャーハンを食べまくりましたね(笑)」(島津さん)

最高傑作といっても過言ではないくらいの自信作に仕上がったとその顔が物語っている。開発の参考に耳を傾けるのはお客さんだけではなく身近なところでも。

「自分の子どもに食べさせたりもしますよ。全部食べるのかとか、美味しそうに食べてくれるのかなと、子どもの素直な反応も参考にしています」と、パパとしての一面も垣間見せてくれた島津さんだったが、小生の個人的なイチオシもこの炒飯だ。味も申し分ないが、レンジで温めた後、パッケージの真ん中あたりをハサミでカットし、袋を立たせてそのままほおばることができる。忙しいときの昼の即食にもってこいなのだ。

従来のストック型から”即食性の高い個食”としての冷凍食品へ。これは、”れ〜と〜飯”をすぐ食べるようになったというライフスタイルの変化でもある。ではなぜここまでコンビニの冷凍食品が選ばれるようになったのか。それは単純に美味しいから。消費者が選ぶ理由は詰まるところいつだってシンプルなものだ。しかし、シンプルに選ばれるためには、細やかなさまざまな工夫とそれを可能にする高度な技術が必要。

「すべては技術があってこそ。われわれは、専門メーカーさんのその技術を活用させていただくことではじめてお客さまにお届けしたいモノを商品として具現化できます。年明けからスタートしたお刺身と牛ユッケ風、そして馬刺しはまさにその好例です」(島津さん)

え、今なんと? “コンビニ”のローソンからそれも“冷凍食品”で、お刺身に牛ユッケ風、馬刺しが登場……? 後編に続く。

  • いま日本のいろいろなカテゴリで生まれている新しいコト・モノ・ヒトに興味津々なフリーライター。趣味はハミガキ。プライベートでは最近わが家に迎え入れたデグー(♀)に癒され中。

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