レザーソムリエ・マキマキのゆったり革講座episodo 9
『人物フォーカス編:ウィールローブ代表 工藤 類さん』

2022.01.19

みなさんこんにちは。レザーソムリエのマキマキです。今回はモノではなく、モノづくりをしている『人』にフォーカスを当てて、インタビューをしながら、その人やモノを大解析したいと思います。

 記念すべき第一回目は、靴の街浅草にあるシューズメーカーのウィールローブ。その代表である工藤 類さんにお話しを伺いました。

工藤さんはメチャクチャ気さくな方です!

まずは簡単に商品の説明を…靴はグッドイヤーウエルト製法で作られている本格派仕様。革はアメリカホーウィン社、クロムエクセル。ここまで言えば、靴好きならどんな靴か、わかると思いますが、とにかく無骨ながらに洗練されたデザインとオリジナルラストが目を引く逸品です。今回はその靴の説明や、どうしてこの靴が出来上がったのかを、工藤さんの経験を中心に解き明かして行きたいと思います。

 工藤さんは元々、お父様がアメリカの靴や雑貨の輸入をされていた事もあって、幼い頃からアパレル関連に環境を置かれていました。

工藤さん:「黒の紐靴が学校指定だったのですが、それがいやで楽に履けるローファーをオヤジの下駄箱から適当に選んで履いていました。」

というほど、靴にも興味がなかったそうです。

工藤:「今思えばその靴、ALDENの#987 LEISURE HANDSEWN cordovan blackでした(笑)」

と…オールデンって….。そうです、今や(昔も)オールデンといえば靴好きなら一度は履きたい靴ですよ。流石に驚きましたが

工藤:「でも履いていくのが無かったので、その後も親父のオールデンを履いていました。」

羨ましいです…。その後、22歳ぐらいの時に、大手アパレル販売のバイトをしている時に、先輩方から実家が靴関係なら、靴勉強してみたら?と言われて本格的に靴を学びはじめました。工藤さんの転機になった重要な出会いだったそうです。そして、実家の家業を継ぎます。

店内には靴以外も販売しています。

工藤:「親父は日本にはまだ入ってきていない、海外製ブランドの靴を輸入して、卸業をしていました。」

名前は出せないですが、有名ブランド靴を先駆けて輸入してくれていた先駆者がお父様で、この業界に僕も結構いますが知りませんでした。しかし、時の流れで、各ブランドメーカーは直営店など直接販売に踏み出し、卸業が減っていったそうです。そこで、海外靴のノウハウもある我々が自分達で靴を作ろう!!ということになったそうです。

工藤:「ウィールローブという名は元々アメリカでグッドイヤーやモカシンの靴を作っていたブランドなんです。それを2014年から日本生産に切り替え、日本人にあったラストにリブランディングしました。」

 元々アメリカ発ブランドだったんですね。

工藤:「輸入していると、日本人に合わないラスト(形)の靴もたくさんありました。日本人が履きやすいけど、アメリカンな感じを出したかった。」

確かにかっこいいけど、足が痛くては履けませんからね。

工藤:「とにかく自分が履きやすい靴をつくる。これが重要だと思いました。ソール(底)には滑りづらいようにラバーをはり、日本の道路事情にも合わせました。とにかく、デイリーに履いてほしい。ガンガン履いてほしいです。」

クロムエクセルのオイル感がたまらない!!

今回、この言葉が一番ガツンときました。

やはり、靴は履くもの。僕もそうですが、お気に入りの靴は沢山履いてほしいです。靴によっては修理もできるし、傷もいい味になります。履くのが勿体無い!!と思う靴もありますが、皆さんもガシガシ履きましょう。

話を戻します。ウィールローブはアメリカで生まれて、日本で育ったインターナショナルな靴でした。これをなし得ることができたのは、生まれながらに靴に携わってきた工藤さんだからできた事だと思います。ちなみにお休みの日は何をしているのか尋ねると

工藤:「あんまり休みはないですね(笑)。でも子供と遊ぶことは欠かせません。ご時世的に飲みにいくこともできませんが、友人や色々な人と食事をすることも、重要な情報源なので早く行きたいですね。」

そうなんですよね、必要なんです、情報交流。

工藤:「あとは、やはりファッション。服を買うこと。楽しいですよね。ギターでライブすることもあります。」

カッコいいです。

予約制ですが、試し履きできます。

 今回、工藤さんのお話しを通して日本の靴の歴史や履きやすさの追求が我々の足元を支えてくれているんだなーと感じました。

 ちなみに予約制ですが、試し履きをしたり、購入することができる「WHEELROBE Show Room」が浅草にあるので、ぜひチェックしてみてください。

 いかがでしたでしょうか?皮革、靴関連の人物にフォーカスをしたシリーズもどんどんレポートしたいと思います。

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  • 1977年生まれのバリバリ氷河期世代。19歳から靴屋のバイトを初めて、そのまま靴、革にどっぷりハマる。靴メーカーやベルトメーカー、靴の組合など、とにかく革がある場所で革の知識だけでなく、売り方やマーケティングを学ぶ。レザークラフトの作家としても活動中。主な作品はレザーベアー。手縫いをこよなく愛するLEATHER ARTIST。 現在はフリーランスで革関連会社のアドバイザー、革、靴、BAGのライターそしてレザークラフトなどをして、日々革について精進中。

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