【冷凍飯】鬼門だった甲殻類とフォアグラも冷凍OK!東武ホテルレバント東京・シェフズキッチン中編


シェフが調理したフレンチメニューを冷凍保存食としてテイクアウト&デリバリー展開している東武ホテルレバント東京「シェフズキッチン」。昨年末からメニューに加わった「オマールエビとアワビのブイヤベース」(価格3900円)と「フォアグラとウナギのスモーク テリーヌ仕立て」(価格2200円)は、調理を手がける同ホテル最上階にある「スカイツリービュー®︎レストラン簾」のシェフを務める柴谷邦彦さんがこれまで冷凍モノとしては手がけてこなかったいわば禁断のメニューだった。

【冷凍飯】本場フレンチが手軽に自宅で食べられる!東武ホテルレバント東京・シェフズキッチン前編はコチラ

何事も新しいことをするにはそれなりの背景がある。きっかけは昨年に東武百貨店から依頼された外商会員向けのデリバリーオーダーだった。

「2人前で価格10万円程度で提供するというので、それだけの価格をいただくのであれば、いい素材を使わないと美味しいモノはできないと、厳選した伊勢海老をはじめ試作の際にそれなりの予算を使わせていただいたのです。その結果、本当にいいモノは冷凍しても力がある。冷凍することで新しい価値を生み出せる。いい食材を使って冷凍モノをつくることにも価値があるのではないかと、気づきがありましたね」(柴谷さん)

ところでなぜ、甲殻類の冷凍モノがむずかしいのか?

「甲殻類は生きているうちはいいのですが、食用処理する際にすぐに酵素が出て自己消化がはじまってしまうのです。それが理由でこれまで一定の期間保存する冷凍モノとしては手を出してこなかったのですが、今回いろいろと試行錯誤を重ね、調理の段階で甲殻類が生きているうちに100℃のオイルをかけて食用処理すると、表面だけに火が入って黒くなることもなく、自己消化も酵素も働かず、殺菌もされている状態でも中はナマ。その状態で1週間は冷製で使えるコンディションをキープできることがわかったのです。それを使って料理をつくって冷凍すると、お客さまがご自宅で湯煎してアツアツの状態にしたときにちょうどいい火の入り加減になるんですよ。ただ、温める方法を間違うのはNG。まずは一度冷蔵庫での冷蔵状態への事前解凍が必要になります」(柴谷さん)

なるほど、「シェフズキッチン」で提供している冷凍メニューの多くは食べる前に冷蔵庫での一晩解凍が必要だが、そんなところに理由があったというわけだ。厳密には冷凍食品ではなく冷凍保存食に相当し、惣菜の範疇となり賞味期間も1ヶ月程度と通常の冷凍食品よりは短いが、そんなところにも柴谷さんらしいバックグラウンドが垣間見える。

「このホテルに入る前は閉店することになった吾妻橋のトライアールというレストランの軒先きを借りてパンとお惣菜の小さな店をやっていたんです。ソーセージやハム、テリーヌも自家製でつくっていました。『シェフズキッチン』の取り組みを経験して、個人的にも冷凍モノの今後の可能性には大いに期待しています。ホテルのレストランのメニューとして提供されているものが、ご自宅で気軽に食べられるというのはこれまでなかったコトですよね。レストランの煮込みベースの料理を好きなときに解凍して食べられる。しかも、全部いっぺんに食べる必要もない。新しい食の楽しみ方が広がっていくのではないでしょうか」(柴谷さん)

そんな柴谷さんの個人的なオススメメニューは意外にも「牛肉とマッシュポテトのミートグラタン」(価格1100円)。

「これはアッシュパルマンティエというフランスの家庭料理をベースにしたもので、下に煮込んだミンチ肉が入っていて上にじゃがいも。それをオーブンで焼いたものですが、ご自宅で気軽に楽しめるフレンチがあったらいいなと昔から思っていたんです。息子が学生のときに学校の先生を保護者がおもてなしする会があって、そこで出したら大好評だった思い出があります」

手づくりにこだわりあたたかい人間味にもあふれる柴谷さんだが、実は「シェフズキッチン」の背景には彼を見出したもうひとりのキーマンがいる。後編に続く。


東武ホテルレバント東京

東京都墨田区錦糸1-2-2
TEL:03-5611-5511
https://www.tobuhotel.co.jp/levant/


  • 80’sをこよなく愛するグラサン男。モノづくりやライフスタイルに強いこだわりを持つ人々の熱血応援サポーター。みなさんの熱いハートと想いを写真と文でほどよくゆるくお届けします!

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