偏愛モノ図鑑も連載スタートしてから51記事目。ということで、モノマガジン本誌(4月16日号)でも野球特集していたこともあり、元MLBプレーヤー、球界きっての野球探求者であるイチロー選手について書きたいと思う。となると、ヒトが対象だと思いがちだが、ファングッズを掘り下げると、偏愛モノに通ずる。遡ること2016年のマイアミで購入したお土産Tシャツまで、イチロー選手ファンアパレルと本についてつらつらと書きたい。
私は、イチロー選手のグッズを愛している。
なぜこれほどまでに惚れ込んだのか?
イチロー選手を愛しているという書き出しだと、弓子夫人に申し訳ないので、グッズを愛しているとした。そのほうがモノマガジンらしいとも言えるかもしれない。まずはトップバッター、否、トップ画像でも着ているマジェスティック社のパーカーだ。
マジェスティックは、2005年から2019年までMLB(メジャーリーグベースボール)のゲーム用ユニフォームのオフィシャルサプライヤーだったブランドだ。ちなみに、1992年から2004年までは、僕より上の世代ならよくご存知だろうアメリカンスポーツウエア、ラッセル社のものだった。2020年から現在を経て、10年間はもともとアンダーアーマーになる予定だったが、業績不振からナイキが契約を勝ち取った。2022年の今年もMLB30球団すべての試合用ユニフォームにはナイキのスウッシュマークが入っているのが分かるだろう。なお、これは2029年までの契約の予定。前述のマジェスティックはアメリカのペンシルベニア州発だが、2009年にはマジェスティックジャパンができ、大手ファッションECサイトではファッションアイテムも展開されている。NPB(日本プロ野球)でも、楽天イーグルスを皮切りに、2016年からヤクルトスワローズ、福岡ソフトバンクホークス、西武ライオンズへユニフォームを供給、2017年から2019年までは千葉ロッテマリーンズにもユニフォームを出していた。(現在はミズノ製。)
写真で着ているモデルは、2019年のイチロー選手が引退のときに発売されたパーカー。日本凱旋の東京ドームでのオープニングゲーム(開幕戦)を迎えたアスレチック戦。(MLBは何年かに一度、日本開催をしている)運良く、チケットを手に入れ、この試合を観戦していた。試合の開始までイチロー選手が引退することは知らされておらず、2016年のアメリカ自転車旅のときに寄ったマイアミ以来の生のイチロー選手の一挙手一投足に興奮していた。
ところが、試合の途中に球場全体がざわつきはじめ、スマホのネットニュースを見ると「イチロー選手引退」の2文字が!久しぶりにライトに立つ(マイアミのときはセンターだった)マリナーズのユニフォーム姿が最後になってしまうとは。全身が熱くなるのを感じ、いつか来るであろう日が今日になってしまったことを寂しく思いながらも、目の奥の奥にこの映像を残しておこうと必死になってまぶたを開こうとした。一生忘れないように。
私が手に入れたパーカーはまさにそのときに作られた予期せぬ引退記念パーカーだ。おそらく、マジェスティックジャパンが企画したものだったろうと思うが、写真のように美しいフォロースウィングのプリントはいつ見てもいい!春夏でも着られる薄めの素材のため、これからの季節でも大活躍だ。当時のメールの注文履歴を見返してみると6900円だった。飾る用にもう一つ買っておけば良かった。
自分は11歳の小学校5年生の時から少年野球チームに入って野球人生をスタートさせた。中学校はそこそこ強いチームだったので、レギュラーを取るのも苦労したが、区ではベスト3までいった。周りのメンバーに恵まれただけで、私はそれほど野球が上手かったわけではなかったので、高校は野球が強くない都立高校を志望。きちんと受験勉強をして、希望通りのところに合格。
たしかその当時、中学校の校長先生が受験のための面接の練習を受けてくださった。そのときに「尊敬する人はイチロー選手です」と話したことを、今でも覚えている。
話はそれたが、もう一つ宝物になっているのが、こちらのマジェスティック製のユニフォームだ。クラシックに見えるが比較的新しく、限定デザインのもの。生成りボディに青いフォントのマーク。本来のシアトル・マリナーズのユニフォームのカラーリングとは異なる珍しいタイプ。選手着用モデルはアメリカ製である場合が多いが、こちらはホンデュラス製。つまり、レプリカユニフォームだ。文字はプリントではなく、チドリ縫い。ここ最近、日本のレプリカユニフォームはプリントになっているものが多いが、昔ながらの、ちゃんと縫い付けてあるほうが立体的に見えて個人的には好みだ。
さらにもう一つ。こちらは、マイアミマーリンズ時代のTシャツ。こちらもマジェスティック製。マーリンズスタジアムの中にあるマーリンズショップで購入。カタカナでマイアミと書いてあり、背中にもまた「イチロー」のカタカナの文字。日本では当たり前のカタカナも海の向こうで突然現れるとビックリする。アメリカ人にとってカタカナはCOOLに見えるらしい。現地でも何人か着ている人を見かけた。
こちらは昨年2021年の10月に発売された「イチロー実録」という本。ちょうど11月頃に、草野球の試合中に仲間と交錯してしまい、顎の骨を骨折し、意識を失って救急搬送。気付いたらお医者さんの前に居て、口を開けると血が溢れ出ていた。そのまま2日後に手術。そして、まさかの1ヶ月の入院。その時にモデル友達のRENくん(インディゴ所属)がこちらをお見舞いに持ってきてくれたのだ。「さすが僕が欲しい本をわかってくれている!」と感動したものだ。
この場を持って御礼を言いたい。本当にありがとう!
内容はイチロー選手が2001年にアメリカに渡ってから、2019年の3月21日の引退までの話。プロローグにはこうある。「自分で決めたことを継続する。常識を疑う。成功体験をぶっ壊してまで、自らの感性を大切にする。信念を貫く。」
コロナ禍の大変な世の中だからこそ、イチロー選手の考え方は、仕事にも生き方にも活かせるヒントがいっぱい詰まっていると思う。
他のアパレルは新品では買えないので、この本はぜひ買ってもらいたい。
商品名 イチロー実録2001-2019 小西慶三著(文芸春秋)
価格1540円(税込)
ホームページ:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163914480
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