★今回おすすめのお酒
「ザ ファーキン カリラ2010 ファーキンアイラ マルサラ」をストレートで
カリラ蒸溜所のやわらかなアイラの原酒が、カスタムカスクによるマルサラワインの風味と相まって、時間経過と共に優しく甘い香りを楽しむことができます。 今回はリカーズハセガワ本店にてテイスティングしました。
この連載の「気になるウイスキー情報」では、最近私が気になっているウイスキー(ブランドや商品)について紹介します。世界的なウイスキーブームで、今までにないスタイルでウイスキーが世界中で誕生しています。皆様もぜひ味わってみてください。
■ザファーキンウイスキー誕生秘話
今回ご紹介するのは、ウイスキー業界のレジェンド2人の経験をもとに造られたウイスキー「ザ ファーキン ウイスキー」です。東京駅八重洲地下街にある正規輸入代理店のリカーズハセガワで、大澤社長にもお話を伺いました。
実は、このウイスキー誕生のきっかけには東京が深く関わっています。
「ザ ファーキン ウイスキー」は ウイスキー業界に長く携わってきた2人、マイク コリングス氏とロビン トチェック氏が2014年東京で久しぶりに会って、意気投合したことから誕生したのです。
まずは2人をご紹介しましょう。
・マイク コリンズ氏は、 ディアジオ社に30年間勤務し、クラシックモルト・シリーズ、レア・モルト・シリーズ、ジョニーウォーカー ブルー・ラベル、グリーン・ラベルなど数々の有名なシリーズジョニーウォーカー ブルーラベル、などのブランドを生み出した実績があります。引退後は、長年の理想のウイスキーを販売するためにスペンサーコリングス社を創設しました。
・ロビン トチェック氏は、インディペンデントボトラー「ブラックアダー・インターナショナル社」の社長。ロウ・カスクやブラックスネークシリーズなどを発売している事でお馴染みです。ドリンクスインターナショナル社の記者だった彼は、世界中で読まれている「ザ・モルトウイスキーファイル」の著者でもあり、1995年にブラックアダー・インターナショナル社の事業を開始。実は親日家でもあり日本酒も大好きなんだそう。
そんな2人が東京で話したのは、ウイスキー業界の事でした。「最近のウイスキー業界はとても真面目、もっと遊び心が必要。新しいアプローチでモルトウイスキーを楽しむ時が来た!」という意見が合致した2人は、「伝統にとらわれず、モルトウイスキーをたのしもう」というコンセプトで新しいウイスキーを造り始めました。そして誕生したザ ファーキン ウイスキーは2018年にファーストボトリングされました。
★「ファーキン」とは?
ウイスキーの熟成可能と思われる最小サイズの樽(41リットル)が、「ファーキン (Firkin)」と呼ばれています。この小さいサイズの樽を使用し、色々なウイスキーと様々な樽を組み合わせて熟成させることで、彼らが最良と思うウイスキーを造りたいという思いから、ブランド名にこの名前が付けられました。
しかし、実際には小さい樽をウイスキーの熟成に使うには色々な課題があり、ファーキン樽でのウイスキーの熟成はまだ実現していません。しかし、ウイスキーに関する知識も経験も遊び心も豊富な2人ですので、今後の展開が楽しみですね。
■特徴① 特別な熟成樽「ファーキンカスタムカスク」とは?
ファーキンのウイスキーには、大きな特徴が2つあります。
1つ目は、ウイスキーの熟成に使われている、ファーキンのためだけに作られた オリジナルの樽「ファーキン・・・カスタムカスク」です。
この樽は、フレンチオークとアメリカンオークという2種類の樽材を組み合わせて作られます。その樽に、様々なフォーティーファイド ワイン(※1)を満たしてシーズニング(※2)しています。熟成樽にこだわる2人ならではのスペシャルな樽なのです。
※1:フォーティーファイド ワイン(酒精強化ワイン)とは、醸造過程でアルコール(酒精)を添加することでアルコール度数を高めたワイン。世界四大酒精強化ワインと呼ばれているのは、スペインのシェリー、ポルトガルのポート、マディラ、イタリアのマルサラです。
※2:シーズニングとは、調味料や味付けという意味。ウイスキー樽のシーズニングという場合、樽にシェリー酒などを一定期間入れておくことを指しています。入れたお酒を払い出してウイスキーを熟成する樽として使用します。
■特徴②「ソウルメイトペアリング」とは?
特徴の2つ目は、様々な蒸溜所で造られた原酒を見極め、その原酒の良い点を伸ばす「ファーキン カスタムカスク」を厳選し、仕上げの熟成を行っていることです。
この組み合わせを「ソウルメイトペアリング」と呼んでいます。これこそがファーキンの真骨頂なのです。
ザ ファーキン ウイスキーは、全てシングルカスク(1つの樽から造られたウイスキー)です。だからこそ、1つ1つ異なる原酒の特徴を分析し、どんなカスクで仕上げの熟成を行えばさらに良い(楽しい)ウイスキーになるか、という事こそが最も重要です。
それはまさに「ソウルメイト」を探すようにワクワクする事なのでしょう。
こうしてペアリングされた原酒は、マイク氏が6ヶ月ごとに各樽をテイスティングし子供の成長を見守るようにチェックしているそうです。
■「ザファーキンウイスキー」の4つのスタイル
ファーキンには4つのシリーズがあり、それぞれのスタイルには飲むシーンなどのイメージが設定されています。これも2人の遊び心やウイスキーを楽しく飲もう、というコンセプトを表しています。
様々な蒸溜所の原酒と、ファーキン カスタムカスクの組み合わせによって造られたウイスキーの中から愉しむスタイルに合ったウイスキーが選ばれます。
★Firkin 49
原酒を使用しているタリバーディン蒸溜所とマイク氏が誕生した1949年からとっています。
★Firkin Ten
リッチで活気のあるイメージ。疲れを癒やしたい時に。
★Firkin Rare
ジューシーで豊かな味わい。
★Firkin Islay
焚き火のようにスモーキーなイメージ。
各シリーズの詳しいイメージは、ザ ファーキン ウイスキーのイメージ動画(https://youtu.be/YcvPq8wvjeI)や、本国サイト(英語)https://firkinwhisky.com/で紹介されていますので、ぜひご覧ください。
■ザファーキンウイスキーの愉しみ方
私がおすすめするザ ファーキン ウイスキー選び方、愉しみ方のポイントは2つです。
- 1つ目は、原酒の蒸溜所から選ぶ方法です。ファーキンのウイスキーには、・・・全ての商品に原酒の蒸溜所名が明記されています。ご自身が好きな蒸溜所や、興味のある蒸溜所を見つけてみましょう。蒸溜所から発売されているオフィシャルボトルと飲み比べてみるのもいいかもしれません。
※ボトラーズウイスキーと呼ばれる商品には、蒸溜所が書かれていないものも多いですがファーキンはそれが明確なので楽しみ方が広がります。 - 2つ目の愉しみ方は、樽の種類から選ぶ方法です。ファーキンウイスキーには、・・・仕上げの熟成に使われたファーキンカスタムカスクの種類もラベルに明記されています。様々なフォーティファイド・ワインでシーズニングされた樽が使われています。「シェリー樽熟成のウイスキーが好き」「マルサラワインが好き」など、好みのワインの種類を選ぶ基準にしてみるのも良いでしょう。
ちなみにラベルには、蒸溜年のみ記載されていて熟成年数が分からなかったので、大澤社長に質問した所、10年前後の熟成のウイスキーが多いとのことでした。
ファーキンウイスキーは全てシングルカスク(1つの樽のみの原酒から造られたウイスキー)ですので
楽しみながら選んで、世界に1つの出会いを楽しみましょう。
ザ ファーキン ウイスキー日本の正規輸入代理店
リカーズハセガワ本店
住所:〒104-0028 東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街 中4号 八重洲地下1番通り
電話:03-3271-8747
リカーズハセガワサイトオンラインショップ
( https://www.liquors-hasegawa.com/ )からも購入できます。
■参考サイト
・ザ ファーキン ウイスキーについて(リカーズハセガワサイト) https://liquors-hasegawa.jp/firkin/
・ザ ファーキン ウイスキーのイメージ動画
・ザ ファーキン ウイスキー本国サイト(英語) https://firkinwhisky.com/