第7師団祭と言えば、目玉となるのが訓練展示です。これでもかと機甲師団の名に恥じぬ戦車をはじめとした自走砲や装甲車などの装軌車が行進してきましたが、そうした装備がどのように戦うかを分かりやすく見せてくれます。
シナリオは敵の着上陸に対し、第7師団が総力を挙げて戦い抜いていくシンプルなものです。まずは作戦地域への移動として、第11普通科連隊が展開するところから始まりました。トレーラーに乗せられていたのは73式装甲車と96式自走120㎜迫撃砲でした。前回(②)でお伝えした通り、第11普通科連隊ならではのレア装備です(73式装甲車はまだ他の部隊にも若干残っています)。
敵部隊は侵攻の手をゆるめません。戦車を主力とした部隊を前進させてきます。これに対し、こちら側も戦車で戦います。まずは10式戦車が、射撃をして、敵部隊を停滞させます。そこへ、敵の規模や配置を偵察するため、87式偵察警戒車を中心とした第7偵察隊の登場です。今や陸自の主力は装輪車となっており、この装備も現在見直されています。
敵の情報を傍受し、遮断・妨害するために第1電子隊が電子戦システムNEWSを展開させます。こちらは第7師団隷下部隊ではなく、北部方面隊直轄部隊です。現在、防衛省は、宇宙・サイバー・電磁波も新たに守るべき新領域としています。そこで、今後続々と電子戦部隊が新編されていく計画です。しかしながら、この第1電子隊は、それよりもずっと昔、1960年に前身となる臨時特別通信隊が新編されました。1968年に通信評定隊へと改編され、1981年に現在の部隊となりました。
立て続けにレンジャー部隊が進出します。こうして前線へと展開していく防御部隊を火力支援するため、第7特科連隊の99式自走155㎜りゅう弾砲が火を噴きます。
これ以降、機甲師団は、打撃力と機動力を存分に発揮して戦うことになります。
敵が、ドローンを使った偵察や攻撃を仕掛けてきました。これに対し、87式自走高射機関砲が射撃をして撃墜します。まさに、ウクライナ侵攻等で繰り広げられている新しい戦い方の一端も見せてくれました。
駐屯地記念行事における訓練展示では、射撃を行ったとしても空包射撃となります。しかし、ここでは、訓練弾とはいえ、ちょっとした飛びものがあります。それが、第7施設大隊の92式地雷原処理車です。これは、敵の仕掛けた地雷源まで爆薬を飛ばして、落下後誘爆処理する、施設科が誇る攻めの装備です。まず、73式牽引車上に搭載された発射装置から、青いロケット弾が轟音と共に飛び出します。そして空中で、ロケットの中からワイヤーで数珠つなぎにされた26個の爆薬が引き出され、広がりながら落下していきます。もちろん訓練展示でありますから、実際に爆発はしませんが、なかなか貴重なシーンを見ることが出来ます。
こうして防御側はどんどんと敵を追い詰めていきます。最後は10式戦車、90式戦車、そして89式装甲戦闘車が敵の目前へと迫ります。89式装甲戦闘車から、普通科隊員も下車展開し、敵兵を制圧していきます。こうして状況終了。すべての訓練が終了しました。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、中止が続き、3年ぶりとなった、第7師団祭は、こうして終了しました。