特撮ばんざい!第1回:町おこし特撮『超伝合体ゴッドヒコザ』を語る!


河崎実監督は『遊星王子2021』『タヌキ社長』『電エースQ』と
怒涛の新作ラッシュが止まらない!来年は『突撃!隣のUFO』も!

磯原が演じる役柄は、超宇宙科学研究所UISASの新人研究員・音無優里亜。地味な「メガネ女子」であり、ふだんは口数が少ないが、自分の得意分野(日本史)を語り出すと早口になる「オタク」属性を持ち合わせている。まずは、磯原と河崎監督との出会いから聞いてみよう。

「映画のメインキャストに選ばれるのは初めてで、とても嬉しかったです。河崎監督のことは知らなかったのですが、周りの方たちから『河崎作品の世界に入るんだね~』なんて声かけてもらったりして、その知名度に驚きました。初めて監督にお会いしたときの印象は、陽気な監督だなって(笑)。初対面の私にも気さくに話しかけてくださり『磯原くんはさ、メガネキャラにしようと思うんだ』と、撮影の前からそれぞれのキャラクターが出来上がっている感じでした」

超宇宙科学研究所UISASのキャストは愛知出身という共通点が。

優里亜を演じるにあたって、磯原はそれまで長かった髪をショートにしてメガネをかけるなど、大胆なイメチェンを行っている。優里亜の役作りはどのようにしていたのだろう。

「ずっとショートカットにしたいなと思っていて、今回いい機会なので監督に『髪を短くしていいですか?』とうかがったら『大丈夫だよ!』と言っていただけました。また、メガネをかけるとグッとマジメっぽくなりますよね(笑)。優里亜を演じるにあたっては、最初の人見知りっぽいオタク女子から、後半では感情を大きく爆発させる場面がありますから、前半と後半のギャップをうまく見せたいと意識しました」

磯原と同様、大久保忠雄役・八神蓮、馬場貴穂役・沙羅、一心芳樹役・南翔太、徳川博士役・佐野光洋といった主要キャストがみな愛知県出身という、郷土愛に満ちたキャスティングなのも非常に興味深い。磯原に共演者の印象を尋ねてみた。

「八神さんはちょっと“天然”な役柄なんですけど、ふだんからご本人も天然キャラで(笑)、そしてどんなときでも回りを見ることのできる、気配りの人でした。沙羅さんは綾瀬はるかさんのモノマネで人気ある方で、カメラが回っているところでも、回っていないところでもモノマネをされていて、現場をいつも明るくしてくださるムードメーカー。南さんは以前に怪獣もの(ウルトラギャラクシー大怪獣バトル)や河崎監督の作品(電エースハウス)に出演されていて、経験豊富なのでずいぶん助けていただきました。河崎監督は何度も撮り直しをするのではなく、一回テストをやったらすぐ本番で、よほどの失敗がない限りOKになってしまうんです。自分的に今ので大丈夫かなと思っていてもOKになるので不安だったんですけど、南さんが『ちゃんと一回一回やっていれば大丈夫!』って励ましてくださいました。ずっとバスで移動しながら、空き時間では4人がずっとおしゃべりしていて、とても和気あいあいとした空気でした」

徳川博士役の佐野光洋は、今年で放送50周年を迎えた円谷プロの特撮ドラマ『ウルトラマンA(エース)』(1972年)で、超獣攻撃隊TACの吉村隊員を演じて人気を博した。本作でも、ウルトラマンシリーズをこよなく愛する河崎監督による、『ウルトラマンA』のパロディ的シーンが随所にちりばめられている。そもそも、ゴッドヒコザは忠雄と貴穂が大久保彦左衛門の思念が入ったコケシを手に取り「合体変身」して活躍するヒーロー。このルーツは、北斗隊員と南隊員がウルトラタッチで合体変身する『ウルトラマンA』にあるのだ。

「佐野さんともよくお話をしていて、楽しかったですよ。とても話題豊富で、いくつもの豆知識を披露してくださったり、私のお芝居がうまく行かなかったなと思ったとき『反省はしてもいいけど後悔にならないよう、前向きに捉えていたほうがいいよ』なんて深い言葉をいただいたり、さすがはベテランの方だなあと感心していました。『ウルトラマンA』のことは知らなかったのですが、佐野さんは河崎監督に『台本にはないけど、ここで“脱出!(吉村隊員の名セリフ)”って言ってもいいですか』なんておっしゃるんですよ。監督もよくご存じで『それで行きましょう』ってなりますし、現場の遊び心が心地よかったです」

幸田町では、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に取り組む研究機関へのサポートを行っており、劇中にはこれを反映させたキャラクターが登場する。現在すでに各地で幅広く活動している「分身ロボット」をモチーフとした「いけちゃん」である。そのほか、有志による万全の協力体制が敷かれ、エキストラ出演や地元の名産品紹介など、幸田町の魅力を広く世間に伝えようとする強い意志が感じられる。

「いけちゃんは物語の中でも重要なポジションにいるキャラクター。私たちと会話をするときには、両手をバタバタと動かして、かわいいんですよ(笑)。劇中のいけちゃんの元になった本物の分身ロボットともお会いしたことがあります。基本はコメディ映画なんですけど、難病支援といった大事なことにも触れているので、注目してほしいですね。幸田町の方たちとはお芝居でご一緒するシーンはありませんでしたが、みなさんとても協力的で、親切にしてくださって嬉しかったです。現場では、たくさん美味しいものをいただきました。特に印象的だったのは、幸田町名産の『筆柿(ふでがき)』です。キッチンカーで来てくださったラーメンも美味しくて、みんなでモリモリ食べていました。ロケ弁も美味しかったなあ(笑)。町の方々がとても優しくおもてなししてくださったのが、一番の思い出になりました」

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