横浜の日産グローバル本社にて記念撮影のヒットスコープ探検隊。右が『ゲットナビ』の川内編集長。左のノーテンキがmono編集長の前田。
「まず最重要案件から伺いますが、車名のイントネーションは?」
「は? ええっと、“サ”クラです」
「というと寅さんの?」
「そうです(笑) 車名については“日本を代表するEVになってほしい”という願いを、日本を象徴する桜で表現したものとなりますが、一緒に思い出を作っていくパートナーになってほしいという想いもあり、人の名前のイントネーションになっています」
ちなみにSAKURAという名前、社内公募によって決められたといいます。従業員からは千件以上の応募が来たとか。
というわけで話題のアイツ、日産SAKURAをヒットスコープ!
川内編集長のヒットスコープ第6回はこちら!
今回の取材車は最上位となるGグレード。価格294万300円ですが、国の補助金*を活用した場合は実質240万円前後となる見込み。さらに自治体によっては追加で補助金を受けられる場合もアリ。
SAKURAは、ヒットスコープという企画タイトルに合致する好調な販売スタートをきっています。
SAKURAの発表は5月20日、発売は6月16日でしたが、8月7日時点には受注2万5000台を突破。この2万5000台という数字の意味するところはなんでしょう? 仮にSAKURAが現在のペース、つまり2万5000台≒2ヶ月半で通年を乗り切ったとすると、12万台/年となります。
これは2021年軽自動車ランキング2位のスズキ・スペーシア、3位のダイハツ・タントを超える、そういうすごい数字です。むろん、希望的観測(笑)ですよ。 最大のチャームポイントは言わずもがな、軽自動車規格のEVであることです。「初の!」と言いたいところですが、初の量産型軽EVは、現在は日産のチームメイトである三菱i-MiEVです。今回のサクラの製造は三菱の水島工場で行われており、三菱からは兄弟車「ekクロスEV」が発売されてますよね。
こちらが三菱ekクロスEV。アーバンなSAKURAに比べアウトドアテイストが強めで、両車の住み分けはうまくできています。
「2022年は日本のEV元年と言われています。2010年にLEAFでEVに参入した日産としては、EV旗艦モデルのARIYA、パイオニアであるLEAFに普及モデルのSAKURAを揃え、いまが正に攻め時なのです!」と、日産自動車SAKURAご担当の近藤啓子さん。鼻息も荒いです。
今回取材対応くださった日産のSAKURA女子ズ。中央右が近藤啓子さん、左が中島有紀さんで、いずれも日産自動車日本マーケティング本部の所属。女子ズのオシ色は、今回の試乗車両である「暁―アカツキーサンライズカッパー×ブラック2トーンです!」とのこと。
家族より車の所有台数が多い、という地域は少なくありません。しかも昨今、人口減少地域ではガソリンスタンドの減少も続いているため、自宅充電できるEVはむしろ地方に高い潜在ニーズがある。したがって軽自動車が電動化されれば、EVの普及がぐっと加速する可能性があります。また、残価設定型クレジットを活用し、総支払い額を抑えれば「○○カスタムRX-Z」みたいなプレミアグレードの軽自動車よりSAKURAの方がオネゴロですらあります。SAKURAはようやく地上に降りた(われわれの身近な)EVと言えるワケです。
クルマの随所に水引モチーフが。写真は充電ソケット。上が普通充電ソケット。下が急速充電ソケットです。
「ディーラーの来店調査では、SAKURAは指名買いが非常に多いようです。ただし、【航続距離(WLTCモード):180㎞】を気にされてデイズやルークスを選んだ方、SAKURAを見に来たけどLEAFに決めた方もいらっしゃいました」(近藤さん) ARIYAやLEAFよりも航続距離が短いのは事実ですが、それは道具の使い分け、工夫の範疇です。人口の多い都
市部のみならず地方でも売れゆき好調のSAKURAですが、積雪地域でやや落ちるのはやはり四輪駆動の設定がないためでしょう。
「SAKURAのコンセプトは、毎日の気分が“きゅん”と上がる軽の電気自動車です。モーター駆動ならではの加速や静けさ、先進性や安全性、デザインなど、今までのガソリンエンジンの軽と違い、乗った瞬間、アクセル踏んだ瞬間にきゅんとなる一台、ということです」(中島さん)
きゅんきゅんしながら運転しているmono前田。楽しいドライブでした。
以下は私がいろいろな自動車に乗って“いない”ということ、つまり自動車雑誌やジャーナリストではなく普通の経験値のドライバーとしての感想と思ってください。
日産本社近くの横浜の坂道も、道路への合流も、追い越し加速もストレスがなく、そうすると運転する心に余裕がうまれることに気付かされました。ワンペダル感覚の「e-Pedal Step」での加速~減速もひとたび慣れれば快適この上なく、もし私がSAKURAオーナーになったら、e-Pedal Stepのまま運転するでしょう。
ハンドル右下のDRIVE MODEスイッチ。Eco/Standard/Sportに切り替えが可能。
たとえクルマが好きでいろいろなハンドルを握ってきたアナタでも、もしもEV初体験であれば「おっ!」と声を出すこと請け合いです。DRIVE MODEをSPORTにした時は体感的にハッキリわかるきびきび感で運転を愉しめました。
その他、CMではさんざん見てきた自動運転支援技術「プロパイロット」も搭載。手放しこそできませんが高速などでは車線を認識しつつ車間距離をキープして追従してくれるので大変楽です。また、「プロパイロットパーキング」を使えば前向き駐車、後ろ向き駐車、縦列駐車がスイッチ一つでできます。目の前でハンドルがくるくる回って車庫入れしてくれるのはまさにアメイジング!
プロパイロットパーキング画面。駐車スペースが決まったらボタンを押し続ければ自動で停めてくれる。ハンドルぐるぐる。手、放してます。
「自宅充電が前提となるので戸建て住まいの方が多いです。また災害時には大容量バッテリーとして4人家族の約1日分の電力を賄うことができ、そういった面から関心を抱かれる方もおられます」(中島さん)
充電ソケットは右後部。通常充電と急速充電ふたつのソケットがあります。家庭用充電設備はおよそ10万円程度で設置できるそう。ちなみに日産の「リチウムイオンバッテリー容量保証」は8年、16万キロバッテリー容量を保証しています。
こちらはSAKURAの内蔵バッテリー。よくぞこんなにフクザツに電池を積んだものです。やっぱり技術の日産ですね。
好調の数字を知れば、「SAKURA」そして「ekクロスEV」がニッポンEVの本格普及を告げるゲームチェンジャーとなることは確実と思えます。しかし同時に、先行する日産・三菱には悪いけれど、われわれユーザーの本音としてはダイハツ、スズキ、ホンダとの軽EV開発競争を期待したいところです。
と、ここまでキーを打って気づきました。冒頭のネタに戻りますが、寅さんの苗字は車でした。つまり桜のフルネームは車桜(くるま・さくら)となります。
車と桜が斯様に縁深い関係だったとは、お釈迦様でもご存じではないでしょう。
思わずサムアップの編集長ズ。笑顔はホンモノです。
ヒットスコープ、次回もお目にかかります。
川内編集長のヒットスコープ第6回はこちら!
【日産SAKURA】
Sグレード価格233万3100円から。
※クリーンエネルギー自動車導入促進補助金を活用した場合の実質購入価格は約178万円(55万円引き。他グレードも)となる見込み。
※補助金には申請期限があります。申請額が予算額に達した場合は受付終了となりますのでご注意ください。
日産自動車/0120-315-232 www.nissan.co.jp