特撮ばんざい!第3回:奇跡の開催!『Xボンバー博覧会2022』よみがえる特撮人形劇と限定グッズのすべて‼


©2002ダイナミック企画・エノキフイルム

本誌9ー16号で速報をお伝えした「Xボンバー博覧会2022」。
いよいよ開催が迫る中、話題の特撮イベントの続報と、展示とグッズ製作に魂を燃やす“中の人”の熱い座談会をお届けしよう!
Just Now!

本誌9ー16号(9月2日発売)記事。放送42年目に博覧会開催!

●Xボンバーとは何か?!

『Xボンバー』は、1980年10月4日から1981年3月28日まで、フジテレビ系にて放映された。じんプロダクションの企画に、原作・キャラクターデザインとして永井豪氏が参加。さらに映像制作を担当するコスモプロダクションの三上睦男氏により、ひさびさの特撮人形劇として誕生した。

物語の舞台は西暦2999年。第三次星間戦争が終結し、宇宙には平和が戻ったかに見えた。だが、全宇宙の支配を企むゲルマ魔王の先遣艦隊が銀河系に侵入。防衛軍のジェネラル黒田総司令は、ついに巨大戦艦Xボンバーに出撃命令を下す。

超宇宙マシーンⅩボンバー。全長259メートルの巨大戦艦。

特撮人形劇という手法は、『スターウォーズ』並の壮大なスケール感を描くため、予算等さまざまな要因を考慮して選ばれた。人形のスケールに合わせて、全体のプロップ(造形物)も小さく造ることができるのがメリットだったが、三上氏とスタッフは、細部まで精巧に造られたプロップでこれに応え、見応えある映像を生み出した。

リアルなプロポーションの人形たちは、永井氏のデザインを見事に立体化。中でもヒロイン、ラミアの美しさは大きな話題となり、多くのファンを生んだ。

品田冬樹氏がレストアした人形。銀河シロ―、ラミア。今回のイベントで美しさを間近に見られる。

現在放映中の『ウルトラマンデッカー』など「ニュージェネレーションシリーズ」で造形を担当する品田冬樹氏もそのひとりだった。氏は、当時撮影に使われた人形の一部が保管されていることを知り、ラミアを手始めにその復元作業に着手。同時にプロップの復元も手がけ、Xボンバー等、現存していないものは新たに造り直した。

ファンの一念ともいえるこの地道な作業は10数年に及んだが、このたびついに完了。品田氏が甦らせた人形、プロップたちが今秋、ついに初お目見えすることが決定した。

10月9日(土)から東京は秋葉原のアキバCOギャラリーでギャラリーで開催される「-Xボンバー博覧会 2022- “きみはXボンバーを知っているか?”」は、スーパーマリオラマ『Xボンバー』の初の回顧展である。

あの人形、プロップたちを直に見ることのできるまたとないチャンス。かつて心ときめかせたファンも、新たに興味を持ったファンも、ぜひ会場に駆けつけていただきたい。

この開催は奇跡だ!

<本誌9ー16号「monoの大捜査線」より 文/井上雄史(TARKUS)>

イベントで展示されるⅩボンバー。
巨大ロボット・ビッグ・ダイエックスのプロップもイベントに出現。ブレインダー、ジャンボデー、レッグスターがダイエックス・ジャンクションして完成する。

●入魂の新作グッズを語る!

プロップ展示に加えて見逃せないのが、「Xボンバー博覧会」に合わせて、製作された限定グッズの数々だ。

今回はそのグッズを製作に携わった品田冬樹(造形、キュレーション、図録執筆)、小林義仁(キュレーション、ディレクション)、五十嵐浩司(図録編集)の三氏へインタビューを慣行。グッズに纏わる熱い思いを伺った。

▲小林義仁氏、品田冬樹氏。

●ポストカードは品田冬樹さんの写真セレクション

ポストカードセットは全3セットで15枚。各セットから一枚ずつをお見せしよう。
各セット2750円(税込)。 ※ブラインドではありません。

銀河シロ―。本作の主人公で、巨大戦艦Xボンバー設計者である銀河三郎博士の息子。
ラミア。謎の美少女で、宇宙の運命の鍵を握る正体が判明していく。
ブラディ・マリー。外宇宙から侵攻するゲルマ帝国の太陽系方面先遣隊司令官。冷徹にして非情。

小林 まずはポストカードから紹介します。5枚×3種類です。写真は全て品田さんがセレクトしたものです。大判で写真を見られる機会が少ない作品でもありますから、ブロマイドとしても貴重ではないでしょうか。

品田 カスター大尉の改造シーンもあります。珍しい写真なので選びました。

五十嵐 ブラディ・マリーからのお便りが届くことを想像すると、背筋がゾクゾクしますよ(笑)

●入場特典カードはランダムで3種類

▲入場者特典のカード。全3種はランダムだ。

小林 入場特典カードの方はブラインドになっていまして、入場するたびに1枚お渡しいたします。ですので、3枚コンプがご希望の場合は何度かいらしてもらえると……たいへん嬉しいです!!

五十嵐 3種類のカードを作ると聞いたので、ビッグ・ダイエックスを偏愛する私は勝手にブレインダー、ジャンボデー、レッグスターを想像していました(笑)。

品田 放送当時もメンコや雑誌の付録カードが存在したので、こうしたカードがオマケになるのは嬉しいですね。

●アクリルスタンドでキャラもメカも揃えられる!!

▲アクリルスタンドAセット。5500円(税込)。
▲アクリルスタンドBセット。5500円(税込)。

五十嵐 アクリルスタンドは2種類に分かれていますね。Xボンバー、ビッグ・ダイエックスと銀河シロー、ボンゴ・ヘラクレス、ビッグマン・リーがAセット、Bセットはラミア2タイプ、ブラディ・マリー、人気ゲストのキリー、そしてキララとPPアダムスキーも入っています。

小林 ラミアとキララは切り離せませんから(笑)。

五十嵐 写真の加工は小林さんがけっこう時間をかけて行ったそうですね。

小林 苦労しました(笑)。

五十嵐 キララの触覚やブラディ・マリーの頭のギザギザとか造形が結構丁寧なんですよ。

小林 そこはこだわって作らせていただいております!!

品田 特撮もののアクリルスタンドって、結構新鮮な気がしますよ。

●昭和の名イラストレーター梶田達二氏のイラストがプリントされたTシャツ!!

▲TシャツA。7700円(税込)。M~3XLサイズまでが用意されている。使用例はすべてMサイズだ。
▲TシャツB。7700円(税込)。
▲TシャツC。7700円(税込)。

小林 個人的に押したいのはTシャツですね。これは一番欲しいものだったので、気合いを入れて作りました。アオシマの合体マシンシリーズや特撮ジャンルでも大活躍された、梶田達二先生のイラストを使うのは品田さんのオーダーです。そこを膨らませて、イラストの上に音楽アルバム「組曲Xボンバー」の裏ジャケに使われたロゴをインサートしました。さらに背中にはパイロットフィルム版のタイトルロゴをさりげなく、と。

色はブラックと宇宙を思わせるネイビーの2種類を選びました。印刷はシルクスクリーンを使って、1980年代感を強調しつつ綺麗に仕上げています。

五十嵐 Tシャツのもう一種類はビッグ・ダイエックスのアップですね。

小林 わりと難産でした。みなさんで理由は想像してみてくださいね(笑)。

●品田さんが「すべてをやりきった」博覧会図録!!

▲図録の書影。本博覧会で展示されるすべての人形やメカの写真が収録されている。8800円(税込)。

品田 博覧会図録のカバーには、総監督の三上陸男さんが『Xボンバー』のために描いたムーン・ベースのマットアートを複写して使用しています。

小林 A4サイズで200P、8800円、オールカラーです。単独書籍が1980年代以来存在しない『Xボンバー』の魅力を後世に残すべく全力で作りました。

五十嵐 図録用に撮り下ろした写真は、すべて品田さんが横で指示を行いながら撮影したものなんです。品田さんの解説は全キャラ、メカだけでなく、小物にも付いていますよ。

品田 人形とメカの写真だけでなく、ヒルマモデルクラフトで製作されたビッグ・ダイエックスのメイキング写真も今回の目玉になっています。ヒルマモデルクラフトは、1956年の東宝特撮映画『空の大怪獣ラドン』などレジェンド級のクラシックに登場する戦闘機や宇宙船、『ウルトラマン』『シルバー仮面』『スーパーロボット マッハバロン』のメカやスーパー戦隊シリーズの合体人形などを作ってきた会社なんですよ。

五十嵐 ビッグ・ダイエックスは東映『スパイダーマン』のレオパルドンの変形するタイプを作ったヒルマモデルクラフト製だったんですね。それらに加えて、コスモプロダクションのテレビ製作時のメイキング写真集、品田さんのレストアドキュメント集も掲載しています。珍品として、原作者の永井豪先生が『Xボンバー』の制作前に、NASAへ見学に行った時の写真もダイナミック企画さんに提供いただきました。総監督の三上陸男さん、全話の脚本を手掛けられた藤川桂介さんも同行していて、こちらも貴重な記録です。

小林 当時、 NASA に行ったというだけでとんでもない話ですよね。スペースシャトルが打ち上げられる前ですし、SF作品にかける意気込みと説得力が伝わります。

小林氏も品田氏も、長年のXボンバー愛が炸裂して話は尽きない。

品田 永井豪先生と美術監督の高橋章さんの描いたデザイン画も現存するものは載せています。人形製作用の図面も見つかったので掲載しました。

五十嵐 ショウワノートの文具用に描かれた梶田達二さんのイラスト集もありまして、現存しているイラストをトリミングなしで見ることができます。

五十嵐 あとはインタビューですね。まずは品田さんとMAX渡辺さんの対談があり、「なぜ『Xボンバー博覧会2022』が生まれたのか」が明かされます。

品田 最後は三上陸男さんと川崎龍治さんの対談で締めています。三上陸男さんは大映や東映で長年美術を担当されていて、『Xボンバー』では総監督を務められていました。川崎龍治さんもやはり初代『仮面ライダー』の撮影を担当し、『Xボンバー』では本編すべてを撮影しておられます。今回は若狭新一さんのご協力も得て、お二人にお集まりいただきました。まさしく考えうる限りのことを全部やりきった気持ちです。

小林 今回マックスファクトリーとしては、商品を売るということに特化せず、『Xボンバー』という幻の作品の魅力を伝えていくという文化的な意義でこの博覧会を開催します。この座談会をお読みになっている方、次の企画に繋げるためにもぜひ秋葉原のアキバCOギャラリーにおいでください。


品田冬樹
(FUYUKI SHINADA)

造形、キュレーション、図録執筆を担当した本博覧会の中心人物。42年前に『Xボンバー』と出会ったことが、造形の世界に入るきっかけとなった。現在は円谷プロダクションLSSに所属し、怪獣造形の第一人者として活躍中。

小林義仁
(YOSHIHITO KOBAYASHI)

キュレーション、ディレクションを担当。マックスファクトリー社長室 社長作例制作班のスタッフとして、Xボンバー博覧会の全体を取り仕切っている。自ら造形に携わる原型師、フィニッシャーでもある。音楽にも造詣が深い。

五十嵐浩司
(KOJI IGARASHI)

図録編集を担当。株式会社タルカス代表。アニメ、特撮、ホビー方面の出版事業に携わる。9月27日発売の「フィギュア王」では『Xボンバー』の50ページ特集の構成、執筆を担当する。

取材/太田祥暉
(TARKUS)
(MASAKI OHTA)

株式会社タルカス所属。Xボンバー博覧会図録では三上陸男氏と川崎龍治氏の対談、品田冬樹氏とMAX渡辺氏の対談を執筆している。

取材協力:『フィギュア王』編集部

フィギュア王の『Xボンバー』特集は9月27日発売!!

『-Xボンバー博覧会 2022- “きみはXボンバーを知っているか?”』
10月8日(土)~16日(日)まで、東京・アキバCOギャラリーにて開催
主催/マックスファクトリー
入場料/前売券1500円、当日券2000円
詳しくは https://event.goodsmile.info/event/event-6486/ まで


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