日豪防衛協力の象徴であり、西太平洋最大の多国間合同演習「ピッチブラック22」が予定通り終了しました。
同演習はオーストラリアのダーウィン空軍基地を中心として、8月20日から9月8日の間実施されました。主催国であるオーストラリアをはじめ、日本、フランス、ドイツ、インド、韓国など17か国、約100機の航空機及び2500名が参加しました。
日本からはF-2が6機参加しております。
この訓練では、前編でお伝えしたように、日豪空軍間における空中給油訓練がカリキュラムの一つとして実施されました。そのために、今年4月に、空中給油輸送機KC-30Aが来日し、9回に及ぶF-2との空中給油適合性確認試験を実施したわけです。
今後、日本に来る回数も増えるであろうKC-30Aについて解説しましょう。
KC-30Aのベースとなっているのは、エアバスA330-200です。これをMRTT(空中給油・輸送機)へと改造しました。
機首付近にあるタラップを登り機内へと入ってみましょう。
コックピット内は、基本的にA330と変わりません。大きく違うのは、パイロットと背中合わせとなる位置にあるコンソールです。ここが空中給油ステーションとなり、2名の作業員が配置に就きます。モニターを見ながらブームを操作し、燃料補給を受ける戦闘機等へと接続します。このモニターに映し出されている映像は、機体の下部等にあるカメラが撮影しました。より正確に作業を進められるように、3D映像化することも可能です。
長時間勤務となるので、コックピットの近くに二段ベッドがありました。交代で休憩をとります。
旅客機同様に、機内はほとんど座席で埋まっています。前方は、いわゆるビジネスクラスシートです。コンフォータブルで幅広なイスがあります。ただし、一昔前のビジネスクラスシート感は否めませんが、かなりゆったりと出来そうです。その後方は、いわゆるエコノミークラスシートとなります。シートピッチやシート幅は狭いので、前方席と比べると劣ります。座席数は270席あるそうです。
ギャレイもあり、食事を温めたり、飲み物用スタンドなどもしっかりとあります。
機内については、ほとんど我々の知る旅客機と変わりません。
しかし、大きく異なるのが、空中給油機能です。同機は、フライング・ブーム及びプローブ&ドローグという2つの給油機能があり、ほぼすべての航空機に対応できます。
まず、機体の真後ろにフライング・ブームがあります。これはエアバス・ミリタリー社製です。そして翼の真下にコブハム社のプローブ&ドローグ方式給油ポッドを吊り下げます。
今回は、KC-30AとF-2でしたが、今後は、空自のF-15やF-35とも空中給油訓練を行うことになるでしょう。その時が楽しみですね。