フランスのクルマが人気のようです。例えばプジョー。それは同ブランドの広報者でさえ「こんなに売れたの?」と驚くほどだといいます。うーむ。その昔、といっても2010年くらいまではフランス車=マニアのためのクルマというイメージが定着気味で、その濃度の濃い順にシトロエン、ルノー、プジョーと一部では言われていたらしい。特にシトロエンの世界にはまってしまうと抜け出せないとも。国境なきブランド化しつつあるライバル車に対してフランスのクルマは個性を持った存在なわけです。
そして、まだ発売されていなかったり、日本導入が未定だったりするのですが楽しそうなクルマが続々登場しています。買えないのか! というお叱りはご容赦いただいて、注目のクルマをご紹介!
まずはプジョー。大変失礼な表現で恐縮ですが、フラ車にあって一番まとも、いや普通、いや理性的なクルマのブランドと言われています。んー、30年先のデザインをそのまま採用してしまったシトロエンSMやFFのハッチバックを無理やりミッドシップにしてしまった5ターボのルノーからすると確かに濃度は薄いかもしれません(編集部注:プジョーのハッチバックをミッドシップにした205T16があります)。そんなプジョーの4ドアクーペが新たに誕生です。
4ドアファストバックモデルの408は若干車高の高いクロスオーバースタイルのクルマ。サイズは全長4687mm×1848mm×1478mmと3008よりも少し全長が長いボディになります。ジツは408、結構気合いの入ったモデルで、6台のカメラと9台のレーダーを持ちフラ車がライバルメーカーに遅れをとっていた最新のドライバーアシストシステムが搭載されているのです。このシステムは定速走行中、先行車に追いついても、追い越しし、再び同じレーンに戻る自動レーンチェンジの機能も盛り込まれています。プジョーらしいしなやかなサスペンションと組み合わされれば、さすがの長距離ツアラーでしょうか。パワーユニットはプラグインハイブリッドとガソリンエンジンが用意され、前者のシステム合計出力は225PSと180PSの2種、後者は1.2リッターターボの130PS。これはボディサイズながら自動車税が安く済むのも魅力かも知れません。あー、そこの方、さすがケチなフランス人とかいわないように。あくまでもケチではなくシックですから。
そしてシトロエンからは、2CVをオマージュしたMPVのベルランゴが登場です。その名も「ベルランゴ 2CV フルゴネット」。
このモデルはかの偉大なる大衆車、2CVのビジネスモデルの現代版になります。ベルランゴ2CVフルゴネットは生粋のフランス車ではなくイタリアのコーチビルダー、カゼラーニとの共同製作ですが、カゼラーニは2018年にシトロエンの商用車ジャンパーやリレイ用にタイプHバン(いわゆるHトラック)風になるボディキットの製作もしています。なおベルランゴ2CVフルゴネットは来年より生産されるので続報を期待したいモノです。
そしてドンジリに控えしは、と歌舞伎の「白浪五人男」の弁天小僧風になりましたが、ルノーのコンセプトカー、R5 TURBO 3E(以下3E)です。
ルノーはクラシックなモデルをEVとして復活させるマスタープランを展開し、同コンセプトモデルはサンクターボ、サンクターボ2をオマージュしたEVになります。サンクターボ系は40代以上の皆様には刺さりまくるクルマのひとつではないでしょうか。
普通のコンパクトFFハッチバック、5(以下サンク)をベースにラリーで勝つために作ったモデル。
FFモデルのホットバージョン、サンク•アルピーヌのターボモデルでさえ110PS、エントリーモデルのサンクLは36PS。いかにこのサンクターボが尖っていたか。そのイメージをそのまま具現化したのが3Eなのです。その車名からもサンクターボ2から続く数字、3をあてがい、電動を意味するEが与えられているのです。若人にはeスポーツのモデルがそのまま登場! という感じでしょうか。全長はウィング込みで4006mm、全幅2020mm、全高1320mm。ボディはカーボン製。重量は車体が980kg、バッテリーが520kg。最も重い重量物でもあるバッテリーはフロアのセンターにレイアウトされ、低重心化を実現しています。
このリチウムバッテリーは42kWhの性能と発表され、詳しい性能は未発表ですが、筆者の勝手な想像ですと、フィアット500eのバッテリー容量も42kWhで最大航続距離が約335km、500eよりも大きなボディ、ツインモーター(500eはシングルモーターで118PSということを考えると200km前後の航続距離かもしれません。3Eはあくまでもコンセプトカーですが、長距離の後続を目玉にするのではなく、やはり楽しく「走る」ことに重点を置いたクルマのようです。ちなみに通常の(?)5EV(2024年発売予定)の航続距離は約400kmといわれています。
さて3Eですが、注目はそのメカニズムです。2つのモーターを搭載しながらも4WDではなく、なんと後輪駆動といいます。モーターの出力は約380ps、トルク700Nm、0-100km/hは3.5秒。最高速は200km/h。どちらかというと最高速は「あえて」その速度に抑えている感がします。そしてメーカーがピュアドリフターと謳うだけあり、クルマの運転を楽しめるクルマに仕上がっているようです。ユニークなのはピンク、ブルー、イエローのLEDストリップがドリフトすると点滅する仕掛けになっているといい、80年代、90年代のビデオゲーム的雰囲気を出すといいます。余談ですが、4(以下キャトル)のEVもコンセプトモデルですが発表間近という噂もあります。
キャトルはフジテレビ系で1997年に放映していたドラマ、「ビーチボーイズ」で桜井広海役の反町隆史が乗っていたクルマとして有名になり、放映開始後キャトルの中古車価格がどえりゃあ高騰したこともありました。
来年はフランス車に注目ですゾ!
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