10月6日に発表されたカシオの「人間工学電卓 JE-12D/DE-12D」は、わざわざリアルな説明会を開催し、しかもその発表会の地である東京有楽町の「b8ta Tokyo – Yurakucho」でタッチ&トライ・イベントまで実施するという力の入れようです。
キーマンはおふたり。企画(つまり言い出しっぺ)が電卓ビジネス畑一筋の木村加奈子さん。そしてデザイナーの岡駿佑さんです。
木村さんは言います。
「2018年4月に電卓の可能性を探求するプロジェクトがスタートしました。みなさんもご存じのように現在の電卓の完成度は高いものがありますが、まだ良くできる箇所、気づけていない点があるのではないか? という視点からのリサーチを開始したわけです」。
カシオ計算機の電卓開発の先輩たち、あるいは現役の電卓ヘビーユーザーに対する長期のヒアリングを通じて見えてきたテーマは、人が電卓に合わせるのではなく、電卓が人に合わせる“ことでした。
「機能は高く充実したもの、長時間の使用に耐える耐久性は絶対条件としつつ、打ちやすさ、使いやすさという部分に着目して、人間工学視点を取り入れて開発を進めました」と木村さん。
そこで見えてきたキーワードが「傾き」でした。
傾きとはつまり、電卓の上に配置される手の自然なフォルム、キーを打つ指先の動きなどを検討した結果得られた、3°という右への傾斜です。これは9°まで1°刻みでテストして辿り着いたゴールデンナンバーでした。
電卓は利き手に関わらず、多くの人が右手で打ちます。またキーを打つ指は人差し指、中指、薬指を中心として3~5本を使う方が多といいます。その右手を電卓に乗せた時、手のひらは右側にやや傾むことがおわかりでしょう。そして調査を重ねて気づかされたのは、手のひらは右に傾いても指先が打つキーは垂直に押し下げられていることでした。(下図)
「そこで考案したのが『人間工学階段キー』です。試作機でのユーザー調査では83%の方から“従来品より打ちやすい”とのコメントを頂戴しほっとしています」とデザイナーの岡さん。
「天地からナナメに見ていただくとキーが階段状に並んでいることがお判りいただけると思います。背面の波紋デザインは片手打ち時や、持ち運ぶ時の指かかりとなる機能としてのデザインとなっています。またこの製品は海外への展開もありますので、キーの中でも「税込」「税抜」「日数/時間」の3ツだけは印刷文字として輸出先向けにそれぞれ変更します。そのほかは多色成型ボタンとして、使い込んでも数字・記号が消えないようにしています」。
木村さんは、
「業務用電卓といえばシルバーヘアラインやグレー系が主流ですが、今回はそれと同等の機能をもちつつも、人に寄り添うというテーマに合わせ、ホワイトとブラックというナチュラルなカラーとしました。もちろん反響次第ではカラー展開も考えたいと思います。」
電卓の使用シーンは確かに落ち着いているものの、同時に、底堅い需要もあるのでしょう。80年代のバブル期には多くの日本企業もCI(コーポレート・アイデンティティ)の確立に注力してロゴや社名を変更しましたが、カシオは1957年の創業以来、カシオ計算機株式会社です。となれば、計算機・電卓の地平を切り開くのはやっぱりカシオ計算機でなくてはならないのです。 2021年1月~12月国内電卓販売台数ナンバーワンを誇るカシオ計算機のスーパールーキーの登場です。
その右傾きのデンタクを、有楽町の「b8ta Tokyo – Yurakucho」で、タッチ&トライしてみませんか。開催は10月31日(月)まで。
JR、地下鉄「有楽町駅」からすぐの有楽町電機ビル1階で、ぜひこの人間工学電卓をお試し下さい。
人間工学電卓スペシャルサイト https://www.casio.com/jp/basic-calculators/ergonomics/
b8ta Tokyo – Yurakucho https://b8ta.jp/pages/shoplist