アウディのコンパクトSUVにEVが登場!
Q4 e-tronに試乗!


アウディのEV、e-tronシリーズにニューフェイスが登場。

その名はQ4 e-tron。

デザインはSUVクーペスタイルとスポーツバックの2種。

スポーツバックの基本的なデザインはQ4 e-tronと同じモノだが、ファストバックスタイルと大きなリアスポイラーがその特長。

コンパクトSUVと謳われるが、全長4590mm、全幅1865mm、全高1615mmは日本で取り回ししやすい最大限のサイズと思う。

SUVのQシリーズのデザインアイデンティティでもある、八角形のシングルフレームグリルを採用するが、内燃機関を載せていないので、空気を入れる必要がなく、Q4 e-tronのそれは格子模様のあるパネルになっている。

ちなみに、このグリルの中は禁断の聖域というわけではない。じゃあ、フロントの荷物スペースか、と思いきや、バッテリーのインバーターユニットが収まっているのだ。

さて。試乗車はスポーツバックのSライン。前後フェンダーのシルエットが滑らかながらもその存在感があり、カッコイイ。

筆者のような、なんとなくいいオトナが乗るとスマートでおしゃれに見えるのかもしれぬ(編集部注:言うだけはタダですから)。ちなみにタイヤは通常モデルが19インチ、Sラインが20インチサイズになる。

昼間でも点灯するデイタイムライトが装備されているのだが、このライト、そんじょそこらの昼間から光ってるぜ! 系なモノとは一線を画すシロモノ。光らせる部分を4種類の中から任意に選択できる量販車初のアイテムなのだ。

室内に身を置くと、かなり攻めたデザインのインパネが迎えてくれる。

まさにQ4 e-tronの「進化をカタチにする」コンセプトそのままやん! 的でカッコイイ。ダッシュボードの形状やメーターしかり。囲まれるコクピット感と開放感と近未来感が同居していると申しましょうか。

突飛な未来感でないところがステキ。メーターは10.25インチサイズ。もちろんアウディのお家芸的なバーチャルコクピット。センターのMMIタッチディスプレイは11.6インチ。

ステアリングはアウディ初採用の天地がフラットなデザインのモノ。うーん、レーシーである。

またシフト周りは浮かんで見えるフローティングコンソール。

その下部は2つのUSBとスマホを固定するホルダーもある小物置きになっていて、このホルダーは意外に使いやすかった。

駐車場から一般道へ出ると、段差の衝撃が少ない。ドイツ車のコンパクトモデル(SUV)だから、もう少し硬いと想像していたのだが、かなり柔らかく感じる。

重量物を床下にまとめて、ホイールベースが長く、サスのストロークを長くとれるからなのか、詳しい話は専門誌に譲るけれど、コンパクトサイズのドイツ車、と考えるなら相当に乗り心地がいい。

加速時もEVっぽくドッカーン! にならないのも内燃機関から乗り換えても違和感は少ないはず。パワフルなエンジンを載せた加速に近く、「モーターのトルク炸裂」とか「同乗者絶叫の加速一直線」とかにはならない。

もちろん鋭い加速なのだけれども。モーターはひとつでリアに搭載。スペックは150kWの最高出力と310Nmの最大トルクを発生し、0-100km/hは8.5秒。一充電での走行可能距離は576km。

Q4 e-tronはなんとアウディブランドとしてはレアな後輪駆動になる。本国にはツインモーターのAWD、いわゆるクワトロがあるのでいずれは日本に入ってくるのかもしれない。

ブレーキは硬めのフィーリング。踏んだ分だけ減速する。ステアリングに設置されたパドルで回生ブレーキの強弱を3段階に調整することもできる。

パドルを駆使すれば、チマタでいうところの「ワンペダル」で操作が可能だが完全に停止するときはブレーキを踏む必要がある。

取り回しはすこぶる楽だ。こんな角度でまがれるの? と躊躇するような路地の迷宮も楽勝で抜けられる。

ただ、慣れが必要と強く感じたのは上下フラットスタイルのステアリングで、何度も回すような場面は違和感があった。車庫入れ時も同様。


しかしながら、コクピットとハンドルの形状がベストマッチでカッコイイから許す、という雰囲気になると思われる。少しくらい慣れが必要なモノこそ愛着がわくというではないか。

コンパクトSUVとメーカーが謳うから、後席スペースは狭くてもショーガナイと思って、陣取ったらこれが広いのなんの。

調べてみたらなんと、後席スペースはアウディSUVのフラッグシップ、Q7に近いのだ。おまけに後席用エアコンは受注生産のエントリーモデル以外は標準装備。加えてUSB完備。

気になる充電時間は100km走るのに必要な電気は充電器の出力が90kWならば、なんと9分。50kWになると16分。

アウディ発表の資料によれば日本の自宅以外の充電事情は2022年現在で99%が49kW以下で24時間365日営業になると驚異的に場所も少なくなる、という。

なんだやはりEVは微妙だな、というなかれ。アウディはVWやポルシェとタッグを組んで正規ディーラーに50kWから90kW、150kWの充電ネットワークを強化している。

しかもディーラーの協力のもとでゴルフ場やリゾート施設にもそれを拡充すると発表したのだ。アウディの本格EV戦略車Q4 e-tronは599万円から。

Q4 40 e-tron S line


価格 689万円から
全長×全幅×全高 4590×1865×1615(mm)
モーター最高出力 150kW(約204PS)
モーター最大トルク 310Nm
一充電走行距離 576km

アウディ https://www.audi.co.jp/jp/web/ja.html
問 アウディコミュニケーションセンター 0120-598106

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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