グリーンスローモビリティって何?
2015年に採択されたパリ協定に基づき、21世紀後半には温室効果ガス排出の実質ゼロが国際的枠組みとして目指されている。
国土交通省は、「環境・経済・社会の統合的向上」の考え方に基づき、高齢化が進む地域での地域内交通の確保、観光資源となるような新たな観光モビリティの展開など、地域が抱える様々な交通の課題の解決と、地域での低炭素型モビリティの普及を同時に進められる「グリーンスローモビリティ」を推進している。
グリーンスローモビリティは、時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービスだ。その車両も含めた総称で、全国で119自治体の実証実験の実績がある(R4.3.31時点)。
そこで、伊勢神宮ゆかりの街、斎宮を走る「グリーンスローモビリティ牛車もうぐる」に乗ってみた!!
平安時代の面影が残る明和町斎宮
近鉄名古屋から特急を乗継ぎ約1時間30分、斎宮がある。伊勢街道が走り、伊勢神宮迄15キロの三重県多気郡明和町斎宮。
駅を中心に137haが国指定の史跡になっており、また日本遺産にも指定されている特別な場所だ。その歴史は古く、最初の斎王(さいおう)は天武天皇(670年頃)の娘・大来皇女(おおくのひめみ)で、制度が途絶える後醍醐天皇の時代(1330年頃)まで約660年間続いたとされる。
「いつきのみや」とも呼ばれ、斎王の宮殿と斎宮寮(さいくうりょう)という役所があった場所。斎王は、天皇に代わって伊勢神宮に仕えるため、天皇の代替りごとに皇族女性の中から選ばれて、都から伊勢に派遣されていた。
これが『牛車 もうぐる』が走る斎王の宮だ!!
牛車 もうぐるに乗って1352年前にタイムリープ!?
斎宮駅を中心とした広大な史跡において、現在、歩いて巡るツアーや自転車で巡るツアーが主。そこに電動牛車もうぐるを実証導入することにより観光客の利便性の高い周遊手段と、新しい斎宮の楽しみ方を明和観光商社は検討・模索している。
この広さを制覇するにはもうぐるが最適だ。適度な揺れに、ゆっくりと流れるのどかな風景。令和の牛車は現代のスピードではないのだ。
これがグリーンスローモビリティ『牛車 もうぐる』だ!
令和のSDGsな牛車は排出物ゼロだっ!!
運転操作はいたってシンプル。足元のアクセル・ブレーキペダル、機械式手引パーキングブレーキ、前進後進の電源スイッチ、ヘッドライト、ワイパー、ウィンカーのみ装備。
ブレーキ作動はブレーキペダルを踏まなくても、アクセルペダルを戻せばトルクが絞られブレーキ(エンジンブレーキ)となる。※緊急停止の場合はブレーキペダルを踏みこむ。
ただし、普通免許はマストだ。現代の牛を扱うには資格が必要なのだ!!
舗装されていない畑の中も、段差を気にすることなく走行が可能だ。さすがダブルウィッシュボーンサスペンション。
ゴルフ場を走るカートのイメージだが、大人4人が乗車してもモーターの力強いトルクで問題なく史跡内を、ゆっくり時速20キロ未満で走り抜ける。どこを走っても目立つその車両は、観光客から声をかけられ「乗ってみたい」といったオーダーが多い。
牛車もうぐるはそのスピードと容姿から、どこを走っていても、出合う人たちを笑顔にする、もうひとつの役割があることに気づいた。新しいコミュニケーションツールでもあるのだ!!
取材当日、筆者が着ていたオレンジ色のベストが完全にドライバーに見間違えられ、観光客から質問攻めにあう。取材後は運転を(主催者側許可を取り)することとなった。
実は首都圏でも走っているグリーンスローモビリティ
1日の働きを終え充電。一般家庭の電源から充電し次の日に備える。
フル充電で60~80キロを走り切る(乗車人数、発進・停止状況により変わる)グリーンスローモビリティ。地球に優しい乗り物が時代を変えていくと実証実験、また実際に乗車体験することにより理解したのだ!!
実は、首都圏でもひそかに走っている!!
【牛車もうぐる SPEC】
モデル: | LSV-4 |
全長×全幅×全高: | 3160×1220×1970(mm) |
車重: | 680㎏ |
燃料: | 電気 |
バッテリー: | 8V 170Ah 6 PCS |
モーター: | 直流48V 4Kw |
コントローラー: | カーティス製 |
充電器: | 48V 18A AC85からAC270V |
充電式: | オンボード(車載) |
バッテリー: | 鉛バッテリー |
アクセラレータ: | インダクタンスタイプ 0-5v |
サスペンション(前/後): | ダブルウィッシュボーン/リーフ |
ステアリング: | ラック&ピニオン |
ブレーキ: | 油圧ドラムブレーキ |
パーキングブレーキ: | 機械式手引ブレーキ |
運転資格: | 普通免許 |
一般社団法人 明和観光商社
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