特撮コメディ映画『突撃!隣のUFO』がいよいよ公開! 主演・ヨネスケ師匠の相棒を務めるのは、『ウルトラマンジード』で人気の濱田龍臣さん。映画の楽しさが伝わってくるかのようなインタビューをどうぞ!
文/秋田英夫
『突撃!隣のUFO』あらすじ
UFOや宇宙人の目撃情報を調査・研究する民間組織「URL(UFO・RESEARCH・LABORATORY)」の捜査官・滝史郎(ヨネスケ)は、地球に飛来していたUFOを「金のしゃもじ」で発見すると、その中へズケズケと入り込んでいく。その並外れた行動力に、相棒の岡本洋(濱田龍臣)は驚きを隠せない。なぜ滝はこんなにも宇宙人に対して図々しくなれるのか、そこには、UFOにさらわれた妻子を救い出したいという、彼の強い思いがあった。次々と侵略宇宙人を撃退する滝の前に、妻子を奪った桁違いの巨大UFOが出現する――。池袋シネマ・ロサ、ヒューマントラスト渋谷ほか、2月3日全国公開!
公式サイトhttps://totsugeki-ufo.com/
特撮の“小ネタ”満載!
――まずは、河崎実監督からの映画出演依頼が来たときのお気持ちから聞かせてください。
今回のように全力で面白く、真面目にふざける映画というのは、すごく楽しいんだろうなと期待を持ちました。台本を読むと特撮作品に対する愛情に満ちた“小ネタ”があちこちに入っていて、こういう作品に呼んでもらえるなんて……という嬉しさが強かったです。
――かつて濱田さんが主演を務めた『ウルトラマンジード』と同じ特撮作品ではありますが、こちらはかなりコメディ色の強い内容ですね。
新しいことにチャレンジするのが、僕自身好きなんです。いまやっているミュージカル『東京ラブストーリー』も自分の活動の場を広げるための「挑戦」だと思っていますし、他にもいろいろな作品を経験したいと思っていました。
――『突撃!隣のUFO』というタイトルからして、ただものではない感じがします。しかも主演がヨネスケ師匠ということで、最初はどんな思いを抱かれましたか。
ヨネスケ師匠の番組を知っていたので、タイトルを聞いてまずヨネスケさんがUFOに突撃していくんだろうなって直感しました(笑)。その後、UFOというからには、造形物全般や、船内をどうやって表現するのかなと、ワクワクする思いでした。
――河崎監督のことは以前からご存じでしたか?
以前からお名前は存じていました。最初に衣装合わせで中野の「ルナベース」に伺ったとき、監督とお会いして「なるほど、こういう方なのか」と理解しました。少年の心を持ち続けながら大人になったというか、ウルトラマンシリーズへの愛がすごいんです(笑)。
――河崎監督の現場は、一回テストをやった後すぐ本番となり、よほどのことがない限りワンテイクでOKになってしまうなど「早撮り」で有名だと聞いています。これについて戸惑いはありませんでしたか。
『ウルトラマンジード』の坂本浩一監督も撮り方が早い方なんですが、河崎監督は坂本監督より早かった(笑)。カルチャーショックの多い現場でした。一週間の宿泊ロケで蒲郡まで行きましたけど、ちょうど梅雨の時期だったため雨に降られることが多かったです。でも監督は「これくらいなら大丈夫だ! 撮ろう!」って言うんですよね。大丈夫かな~と思いながらも、監督ならなんとかしてくれるだろうなっていう安心感もありました。テスト一回ですぐ本番、というパターンは坂本組で経験済みなので、戸惑うことはありませんでした。僕は常に「監督がOKって言っているならいいか!」と思うタイプの役者ですから(笑)。
「ツッコミを入れる重要なポジションです!」
――ヨネスケ師匠演じる滝をサポートする相棒・岡本洋という役柄について、台本を読まれてどんな思いを抱きましたか。
何を考えているかわからない滝の不可解な行動にふりまわされ、その都度ツッコミを入れる岡本のキャラは面白いと思いました。ストーリーがシリアス方向へ進んでいくタイミングでも、緩衝材のように少しクスッと笑える小ネタを挟んでいく役割でもあり、とても重要なポジションなんです。
――岡本はモノローグ(心の声)で心情を言葉にするシーンが多く、まるで『ウルトラセブン』のモロボシ・ダンを想起させますね。
声のトーンに変化をつけ、口に出して言うセリフとモノローグとの落差を示そうと意識して演じました。
――超常現象やUFOを信じず、報せがあっても最初に「否定」から入る岡本ですが、ときどきウルトラマンシリーズを熱心に観ている人でないと気づかないような特撮ネタをセリフに盛り込んだりしていますね。ああいった少々マニアックなセリフを読むことについてはどうでしょうか。
「バルタン星人が発射する赤い光線~~」「超常現象を信じないTACの山中隊員~~」みたいなセリフですよね。河崎監督はこういうのが好きなんだなって、内心ニヤニヤしていました(笑)。
――ヨネスケ師匠とは、撮影の合間にどんなことを話していましたか。
師匠はずっと「セリフの覚え方、わかんないんだよね」って話していました。落語と芝居って似ているものだと思っていたので、師匠があんなにたいへんそうにしているのを見て驚いたんです。1人で何人もの役を演じ分ける落語と、ひとり1役でいろんな人が集まって作る芝居との違いを痛感しました。
セブンとジードの共演!
――URL所長・国松忠を演じられるのは『ウルトラセブン』モロボシ・ダン役の森次晃嗣さんでした。『ウルトラマンジード』の濱田さんと並んだ画はまさに、新旧ウルトラヒーロー夢の共演という趣ですばらしいですね。森次さんと共演されたときのことを教えてください。
円谷プロさんの企画などで以前にお会いしたことはあるものの、森次さんとお芝居でご一緒するのは初めてのことでした。森次さん、ヨネスケさんと重鎮のお2人に挟まれ、少し怖い気もしましたけど、すごく気さくに接してくださり、よい雰囲気を保っていただきました。森次さんを見てしみじみ思うのは、年齢を経た現在だからこそ出せる存在感、オーラの強さです。URLメンバーが揃っている写真を一目見て、この中のトップはこの人なんだなと思わせる説得力が森次さんにはあり、さすがとしかいえません。森次さんの撮影は1日しかなくて、空き時間でもなかなかお話をするチャンスがなく、残念でした。ヨネスケ師匠と森次さんが仲良くお話をされている様子を、遠巻きに見ていたにとどまりました。
――オンエアで『セブン』を観ていた河崎監督も、森次さんにはリスペクトの精神で接していたのではないでしょうか。
確かに、監督も森次さんにはかなり尊敬の念強めで接していたように見えました。この作品はSFですから、キャトルミューティレーションのように難しい単語がセリフとして出てきます。監督が、これらの用語の詳しい説明を森次さんやヨネスケ師匠にしていたのが印象に残っています。
――愛知県蒲郡市のロケ撮影で濱田さんは、ヨネスケ師匠や服部さんといっしょに大量のカニを召し上がっていましたね。撮影時のお食事がとにかく美味しかったとうかがっています。
めちゃくちゃ美味しかったです! 地元のみなさんがとてもよくしてくださって、河崎監督の人望というか懐の深さまでも感じられて、すてきな現場だなって思いました。ふだんから、カニを食べるときってけっこう贅沢な印象があるじゃないですか。それが今回、撮影として思いっきりカニが食べられるなんて、なんていい仕事だと思いました(笑)。食事シーンの後、次の撮影場所に移動するまで20分以上あるというので、じゃあこの残ったカニいただきましょうって、師匠と一緒にひたすら食べていました(笑)。
宇宙人ザコシ!
――特に印象に残っているシーンを挙げるとすれば、どこですか。
ハリウッドザコシショウさん演じる宇宙人のUFOを観測した岡本が「もし地球人だったとしても、絶対に関わりたくないタイプです!」というシーンですね。実際、あの格好を見るとそう思いましたし、映画の中でもっとも実感のこもった、言いやすいセリフでした(笑)。
――宇宙人の本拠であったり、UFOの内部であったり、合成を使ったカットが多い印象です。こういった合成シーンの撮影は『ウルトラマンジード』で鍛えられていたりしますか?
確かに、ウルトラマンを経験しているので合成が前提の芝居などにも抵抗はないです。大川小百合役の服部有菜さんが河崎監督から「ここにデカいUFOがいるから、逃げてくれよ」と言われて戸惑っていたのを覚えています。
宇宙人やUFOを語る河崎監督の「熱量」!
もっともメジャーなグレイタイプ(左)、「3mの宇宙人」とも呼ばれる「フラットウッズ・モンスター」(右)。宇宙人スターが出演する。
――濱田さんはUFOや超常現象そのものにご興味はありますか。
ウルトラマンシリーズなどのSF作品は大好きですが、リアルの世界でそういうことがあるのかどうかには、ほとんど興味がありません。非現実な出来事はフィクションの中だけでいいと思っています(笑)。でも、河崎監督はずっとUFOの目撃例とか、宇宙人との遭遇体験談とかの話題をかなりの熱量で話す方ですから、そんな監督を見て「面白い世界もあるんだな」と感心することはあります。
――『ウルトラマンジード』のリクは私服姿という設定でしたが、今回は専門チーム「URL」捜査員として、近未来的なユニフォームを着ていました。このユニフォームを着たときのお気持ちを聞かせてください。
防衛チームの制服、ユニフォームには憧れていましたから、いつかは着たかったんです。しかし、まさかここで着るとは……ここだったのか、俺の初隊員服は……という思いですね(笑)。
――宇宙人の注意を引くため、滝が牛、そして岡本が美女に変装するシーンがありました。今回の女装シーンについてのご感想はいかがでしたか。
これまでにも女装をする機会は何度かありました。今回はわりとシンプルな女装でしたが(笑)、ヘアメイクさんの腕前で可愛く仕上げてくれました。隣のヨネスケ師匠は「牛」でしたし、2人ともコスプレ感があって面白いシーンになりました。
――歴代のウルトラマンシリーズで、特に好きな宇宙人がいれば教えてください。
朝倉リク的にはペガッサ星人ペガなんでしょうけど、濱田龍臣としてはレイビーク星人(ウルトラマンティガ第13話「人間採集」登場)ですね。ビジュアルがめちゃくちゃ好きなんです。ときどき僕が出演しているウルトラマンショーに出てくると、内心テンションが爆上がりします。
――『突撃!隣のUFO』はかなり面白い映画に仕上がったと思います。濱田さんの的確なツッコミあっての完成度あってこそですが、もしもまた河崎監督から依頼があれば、河崎映画への出演を引き受けてくださいますか?
もちろん! 自分にとって面白い挑戦で、新しい世界の存在を知ることのできた作品でしたから、機会をいただけたら全身全霊で楽しく面白い役を演じてみたいです。ツッコミ役は好きなんです。今回のように、なんでそうなるんだよ! と強く言ったり、ええ~ッ!?みたいにドン引きしたり、メリハリのある芝居が出来ました。
――最後に、濱田さんのファンの方に向けた『突撃!隣のUFO』のオススメポイントを教えてください。
ヨネスケ師匠がしゃもじを持ってUFOに突撃するという、何がしたいんだ? と頭をひねる摩訶不思議な映画ですけど、いろいろな人たちが集まって、大の大人たちが真面目にふざけきって、全力で楽しんで作った作品です。UFOという遠い存在と、「突撃!隣の晩ごはん」という近い存在が入り混じっているのがもうカオス(混沌)ですが、河崎監督のカラーにみなさん染められて、観たあとはちょっと視野が広がる……ちょっとだけ世界が変わる作品だと思います。ぜひ映画をご覧になって、深淵なるUFOの世界に浸ってほしいです!
濱田龍臣(はまだ・たつおみ)2000年8月27日生まれ。千葉県出身。2006年より芸能活動を行い、NHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)『怪物くん』(2010年)などで注目される。『ウルトラマンジード』(2017年)では主役の朝倉リクを演じ、人気を博した。
秋田英夫(あきた・ひでお) 特撮作品の取材・解説などを書くフリーライターです。濱田龍臣さんはミュージカル『東京ラブストーリー』出演でお忙しい中、取材に応じてくださいました。節々に濱田さんの溢れるウルトラマン愛や特撮愛がうかがえて楽しかったです!