【モノ・マガジンTV】
オトナの工場見学
第8回:日本最古の靴クリームメーカー、谷口化学工業所を訪ねる


「モノマガジンTV」連動 レザーソムリエ西牧の工場見学ツアー!!

 こんにちは。今日は「YouTube・モノマガジンTV 靴の工場見学#08 ライオン靴クリーム本舗」です。WEB版では文字起こしの解説や裏話など、読んでも楽しい「レザーソムリエ西牧のじっくり動画解説と裏話を今回もお送りいたします。

 ライオン靴クリーム本舗でお馴染みの谷口化学工業所は、墨田区のスカイツリー近くにあります。なんと創業112年と100年企業です!!今回、アテンドしていただいたのは5代目社長、谷口さんです。筋肉がすごいので動画をみてください!!

 早速、靴クリームの製造工程を見ていきましょう。靴クリームの原料は大きく分けて4つで構成されているとのこと。蝋、水、油脂、有機溶剤で構成されているのですが、ライオン靴クリームでは有機溶剤の匂いを抑え、香料を混ぜているそうです。この原料を火にかけながら混ぜます。

 そして液体の状態で、瓶に注いでいきます。なんとこの工程、全て手作業です。職人さんが3度に分けて注いでいきます。なぜかは動画をチェックしてみてください。

 ここでちょっと原料を見学させていただきました。画像はシアバター。シアバターと聞くと、お肌に良いイメージですが、革も肌と一緒です。人間に良いものは革にも良いんですね。そのほかに、蜜蝋や牛脂など様々な原料を用途に合わせて調合していきます。

 クリームは瓶だけでなく、チューブ型もあります。僕はずっと歯磨き粉もそうなんですが、どうやってチューブ入れるのかが不思議だったんですが、後ろから入れて止めてるなんて!! ずーっと見ていられる作業でした。

 瓶詰めしたクリームを検品して、シールを貼っていきます。この作業、全て手作業です。瓶の底と蓋のシールがずれないように貼っていきます。僕みたいな雑な人間は気にしないのですが、谷口社長は「きちっとした仕上げを心がけている」と言われていました・・・。さすが100年企業。

 画像は「秤」です。この形の秤は中々見なくなりましたが、現役で使用しているとのこと。重たいものを図るので電子よりも使い勝手が良いそうです。昔から変わらないものってやっぱりいいですね。

 ライオン靴クリーム本舗では自然から作ったシリーズとして、エゾシカのオイルを使った革製品全般に使えるケア用品も販売しています。この商品はレザーソムリエの記事でも書いていますので、ぜひ見てくださいね。

 そしてこちらは軍用ブーツ専用の靴クリームです。なんといっても大容量が目を惹きます。元自衛隊の方に聞いた話だと、靴は常にピカピカにしろ!!と言われていたそうです・・・。靴好きには天国じゃないですか!!

 今回一番驚いたのが、なんと谷口さんは靴クリームだけでなく、その容器やノウハウを活かした塗料を開発しているのです。その名も「クロマニョンペイント」。実はすでにモノ・マガジン本誌でも取り上げさせてもらっています。さらに同じ靴業界の中田靴木型製作所さんとコラボレーションした「バランスペイント」も好評発売中です。靴を形成する際に必要不可欠な木型というものがあります。その際に出る廃材を利用した知育玩具を2社が開発しました。クロマニョンペイントで木材に色を塗り、積み木のように積み上げて遊ぶことができます。実はこの中田靴木型製作所さんも、撮影させていただいておりますので、次回期待してください!!

 ということで、靴クリームの工場見学はいかがだったでしょうか? 日本最古の靴クリームメーカーと言われるだけあって、誠実なモノ作りと新しい開発が素敵な企業だなぁ・・・と感じました。
WEBマガジンでは、工場見学ツアーなど動画配信したものをレザーソムリエ西牧が記事にしてお送りしています。裏話など動画では配信できない情報も提供していきたいと思います。ではまた読んでくださいね!!

西牧正晴(masaharu nishimaki)

1977年生まれのバリバリの氷河期世代。19歳から靴屋のバイトを初めて、そのまま靴、革にどっぷりハマる。靴メーカーやベルトメーカー、靴の組合など、とにかく革がある場所で革の知識だけでなく、売り方やマーケティングを学ぶ。レザークラフトの作家としても活動中。

現在はフリーランスで革、靴、バッグのライター・フォトグラファー、皮革アドバイザーなどをして、日々革について精進中。

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