特撮ばんざい!第13回:ヨネスケが宇宙人の食卓に不法侵入!映画『突撃!隣のUFO』スペシャル3 「師匠はイヤな顔一つせずやってくれました」河崎実監督インタビュー


ヨネスケ師匠が金のスペースしゃもじを手に、ご家庭の晩ごはんではなく「宇宙人の食卓」にお邪魔する前代未聞の特撮コメディ映画『突撃!隣のUFO』が2月3日に公開! 河崎監督に映画の見どころを聞いてきました!

写真/熊谷義久 文/秋田英夫

『突撃!隣のUFO』あらすじ
UFOや宇宙人の目撃情報を調査・研究する民間組織「URL(UFO・RESEARCH・LABORATORY)」の捜査官・滝史郎(ヨネスケ)は、地球に飛来していたUFOを「金のしゃもじ」で発見すると、その中へズケズケと入り込んでいく。その並外れた行動力に、相棒の岡本洋(濱田龍臣)は驚きを隠せない。なぜ滝はこんなにも宇宙人に対して図々しくなれるのか、そこには、UFOにさらわれた妻子を救い出したいという、彼の強い思いがあった。次々と侵略宇宙人を撃退する滝の前に、妻子を奪った桁違いの巨大UFOが出現する――。
池袋シネマ・ロサ、ヒューマントラスト渋谷ほか、2月3日全国公開! 

公式サイトhttps://totsugeki-ufo.com/

『モノ・マガジン』本誌2月2日号記事。

「映画はキャスティングが命だからね」

『隣のUFO』は念願のUFO映画! 自信たっぷりの河崎実監督。

――「突撃!隣の晩ごはん」で有名なヨネスケ師匠が、地球に飛来したUFOの食卓に突撃するという、ちょっと常人では考えつかないような今回の映画のアイデアは、どんなところから出てきたのでしょうか。

昔からUFOや宇宙人の目撃情報が世界各地にあって、そういうのが大好きなものですから、いつかはUFOの映画を作りたかったんです。俺の作品ではいつも突拍子もない宇宙人が地球に攻めてくるけど、今度はリアルなUFO・超常現象ジャンルがやりたかった。ネタはたくさんあるんです。オクラホマのジミー少年失踪事件とか、日本だと70年代に起きた小型UFO騒動=「介良(けら)事件」とかね。これらを合わせて、どんなストーリーにするかから考えたわけ。怪獣映画の傑作『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)にも空飛ぶ円盤(今でいうUFO)の愛好会「宇宙円盤クラブ」が出てくるし、俺たちの大好きな円谷英二特技監督も、ウルトラシリーズの脚本家の金城哲夫も、宇宙人に興味を持っていた。知識層の中にはUFOや超常現象が好きな人が多いんだよね。

――アイデアが先にできて、そのあとヨネスケ師匠に出演をオファーされたわけなんですね。

映画はキャスティングが命だからね。他人の家にいきなり入っていく「隣の晩ごはん」がここ数年のコロナ禍でやりにくくなったから、ヨネスケ師匠がUFOの中に突撃するという、アイデアだけでも笑えるでしょ(笑)。

「最初はおじさんバディものの構想だったんです」

――師匠が主演をOKしてくださったのもすごいことですね。

最初の企画タイトルはね、『突撃!隣のUFO探訪』だったんです。ヨネスケ師匠と「たてもの探訪」の渡辺篤史さんがバディを組んで、UFOに突入していくと、師匠がズケズケと失礼なことを言って宇宙人が怒るんです。そうしたら渡辺篤史さんが「このUFO、建てつけがいいですねえ~」とホメて宇宙人のご機嫌を取るという(笑)。『あぶない刑事』を思わせるおじさんバディものの構想だったんですが、残念ながら実現しませんでした。でもヨネスケ師匠が出演を引き受けてくださったので、形になったんです。師匠には感謝しています。

「とんでもないバカ映画だけどいいですか?」

――滝史郎の相棒として行動を共にする岡本役に『ウルトラマンジード』の濱田龍臣さんを起用されたいきさつを教えてください。

師匠の相棒にイケメンをキャスティングしようと思って、濱田くんに声をかけてみたら、出てくれるというので驚きましたよ。一応、「とんでもないバカ映画だけどいいですか?」と聞いたけど「いい」っていうから(笑)。濱田くんは芝居も達者なんだけど、撮影場所の移動とかでスタッフを手伝って、自分から道具を運んだりする。そういう、さりげない心配りができる男で、みんなから愛されていたね。宿泊ロケでは、スタッフと毎晩楽しく飲んでいたそうです。

「森次晃嗣さんはスケジュールが一日だけ!」

憧れのモロボシダン・森次晃嗣さん。

――URLの国松所長役で、『ウルトラセブン』の森次晃嗣さんが渋い存在感を発揮されたのもすばらしかったです。

相変わらず重厚な芝居で、よかったよね。でもスケジュールが1日だけ、しかも5時間ほどで終わらなければならなかったので、撮影はたいへんだったなあ。

「アメリカで体験した出来事、あれは本当ですからね」

衝撃の完全ガチUFO体験が明らかに! いしだ壱成さんと河崎監督。

――UFO研究家の矢追純一さんや『月刊ムー』編集長・三上丈晴さん、そして過去に河崎監督と一緒にアメリカ「エリア51」でUFOを目撃したという俳優のいしだ壱成さんが出てくるドキュメンタリーパートが映画の節々に入るのが、非常にショッキングでした。

いしだ壱成さん、石田純一さん、俺がアメリカで体験した出来事、あれは本当ですからね。そして『地球防衛少女イコちゃん3 大江戸大作戦』(1990年)以来ひさびさに俺の作品に出てくださった矢追さんのコメントが凄かった。どんなことを話したのか、詳しいところは映画を観て確かめてほしいんですけど、『木曜スペシャル』のUFO特番が、どうしてあんなにヘンな内容で面白かったのかがわかるような発言がありますから、楽しみにしてほしいです。

「宇宙人はタイアップを意識しました」

――撮影は『超伝合体ゴッドヒコザ』に続いて愛知県幸田町、そして海産物を名物とする蒲郡市で行なわれたそうですが、当地の環境はいかがでしたか。

『ゴッドヒコザ』と同じく、地元の方たちがとても丁重にもてなしてくださり、すばらしかったですね。幸田町名産の「筆柿」と「3mの宇宙人」をモチーフにしたフデガキ星人や、蒲郡名産・タカアシガニをモチーフにしたカニ星人を作り、タイアップを意識しました。あと、UFOの内部として、蒲郡にある鉱物・化石・貝のテーマパーク「竹島ファンタジー館」で撮影をさせてもらった。ものすごく不思議な雰囲気が出せたと思います。

――ヨネスケ師匠はカニが大好物とお話されていましたが、それで蒲郡ロケでは滝や岡本たちが大量にカニ料理を食べる演出になったのでしょうか。

テレビを観ていて、ヨネスケ師匠がカニ大好きだって知ってたからね(笑)。それで滝の設定も「報酬は、毎日カニを食えるだけあればいい。何ならカニの現物支給でいい」ってことになったんです。師匠には顔じゅうをカニミソだらけにしてもらったり、芝居でいろいろと失礼なお願いをしましたが、なんでもイヤな顔ひとつせずやってくださるのがとてもありがたかったです。

「ほりさんは天才だからさ」

――途中、一般の民家に例によって突撃したヨネスケ師匠が、住民から三遊亭小遊三師匠や自転車で全国回っている人(火野正平さん)に間違えられたり、師匠自ら「BTSのメンバーです」とボケたり、コミカルなやりとりが冴えわたっていますね。

(火野正平と間違われて)女の数では負けてません! とか張り合ったりしてね(笑)。ああいうところ、脚本のほりのぶゆきさんの味わいがすごく出ています。ほりさんは天才だからさ(笑)。

――『三大怪獣グルメ』のコミカライズや『怪獣人生』など“特撮魂”を心に宿したギャグ漫画家のほり先生と河崎監督の脚本だけあって、ギャグシーンのキレがすごいですね。

ほりさんは、以前アニメ『怪獣酒場カンパーイ!』の監督を俺がやったとき、脚本を書いてもらったけど、ギャグがあまりにも凄すぎて円谷プロに受け入れられなかった。まあ地上波アニメだったから仕方ないんだけど、今回はほりさんの味を存分に出してもらおうと声をかけたんです。ほりさんの漫画ではキャラクターが過剰にセリフを喋るじゃないですか。その役割は濱田くん演じる岡本に担ってもらいました。

「UFO大好き、超常現象大好きな人たちに楽しんでもらいたいですね!」

謎の宇宙人⁉ ハリウッドザコシショウさん!

――最後に監督が『突撃!隣のUFO』にかける意気込みをお願いします。

本格的な「UFO遭遇ジャンル」をモチーフにした映画を作ったのは初めてで、俺の新境地だと思っています。基本はギャグ満載のバカ映画なんですけど、ちっぽけな地球の人間と広大な宇宙からやってくるUFOとの「関係」についてなど、核心をつくような部分もありますので、UFO大好き、超常現象大好きな人たちに楽しんでもらいたいですね!


河崎実(かわさき・みのる)
映画監督。東京都出身。『地球防衛少女イコちゃん』(1987年)で商業作品デビュー後、『いかレスラー』(2004年)『日本以外全部沈没』(2006年)『ヅラ刑事』(2006年)など、一貫して特撮コメディ作品を作り続ける「バカ映画の巨匠」。


ヒロインの小百合役はAKB48の服部有菜さん。
ヨネスケ師匠演じる滝が、ズケズケとUFOに突撃する際に必須のスーパーデバイス「金のしゃもじ」。
グレイタイプ宇宙人も、ヨネスケ師匠に突撃されてしまう。

【特報!発売決定!】
『突撃!隣のUFO』タイアップゲーム!

世界的に有名なカードゲーム「UNO」を、UFOと宇宙人ネタ満載でアレンジした「UFO(ウフォ)」。これを映画『突撃!隣のUFO』とコラボしたスペシャル缶で、バカバカしさが大気圏を突き抜けた珍品が発売されたぞ! 映画とともに楽しもう!

【品名】
カードゲームUFO(ウフォ)
『突撃!隣のUFO』のコラボ缶セット

価格2500円(税込)
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【サイバーダイン公式サイト】
http://www.cyberdyne.co.jp/ufo


秋田英夫(あきた・ひでお)
特撮作品の取材・解説などを書くフリーライターです。東京都国立博物館「150年後の国宝展」では、河崎監督が少年時代に作り続けたウルトラシリーズ怪獣スクラップが展示されました。監督の特撮・怪獣・宇宙人への思いはまさに国宝級といえるでしょう!


【公開情報】
映画『突撃!隣のUFO』は、池袋シネマ・ロサ、ヒューマントラスト渋谷ほか、2月3日全国公開! 

■最新情報・予告編・劇場情報!公式サイト https://totsugeki-ufo.com/

主役コンビのインタビューも見てね!
『突撃!隣のUFO』スペシャル

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