2023年の幕開けと共に、陸海空自衛隊の各部隊において、年頭祝賀行事が行われました。仕事始めの儀式であり、厳かに実施する部隊もあれば、早速年頭訓練として大規模に行う部隊など様々です。そうそう、最近では年頭祝賀行事に合わせて、新成人を祝う部隊も多いようです。
1月17日、木更津駐屯地(千葉県木更津市)に所在する第1ヘリコプター団により、「年頭編隊飛行訓練」が実施されました。この部隊では、1年間の飛行安全を祈願し、隊員の絆を深める目的で毎年行われています。第1ヘリコプター団の指揮官である団長・廣瀬敏彦陸将補以下900名が参加しました。
そして第1ヘリ団に米軍ヘリも加え、東京湾上を編隊飛行しました。その途中で、陸上総隊司令官・前田忠男陸将並びに在日米陸軍司令官・ヴァウル少将が乗ったヘリも合流し、上空から編隊飛行訓練を視察しました。
第1ヘリコプター団は、陸上総隊直轄部隊であり、陸自最大の航空輸送力を誇ります。“第1”と冠していますが、第2以降は存在しない唯一無二の部隊です。
陸自は、5つある方面隊、そして15個ある師団・旅団に、必ずヘリコプターを主とした飛行隊を編成しています。これらは、それぞれの防衛警備区、いわゆる管轄区内の輸送や対地攻撃支援などを担当しています。
一方で、第1ヘリ団は、陸上総隊直轄部隊のひとつであるため、陸自全体の作戦を支援する必要があり、管轄区は日本全域です。いや、国際緊急援助活動等、海外で発生した災害などにも数々出動しているので、管轄区は地球上すべてといっても大げさではないかもしれません。
日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増し、陸自は大改編を断行中です。その中で、第1ヘリ団は、随時増強されている状況です。そして、まもなく新しい部隊として完成しようとしています。
そこで、今回は、「年頭編隊飛行訓練」を通じて、今一度第1ヘリ団について解説していきましょう。
第1ヘリ団は、以下の部隊で編成されています。
●第1輸送ヘリコプター群
●輸送航空隊
●特別輸送ヘリコプター隊
●連絡偵察飛行隊
●第102飛行隊
●第1ヘリコプター野整備隊
いずれも特徴ある部隊ばかりです。
第1ヘリ団の中核となっているのが「第1輸送ヘリコプター群」です。この部隊は、群本部及び本部付隊と、第103、第104、第105、第106の番号を冠した4つの飛行隊で編成されています。いずれも運用しているのは、双発の大型輸送ヘリCH-47J/JAチヌークです。
しかしJ型はもう数機しかなく、機体に燃料タンクを増設し、GPSや気象レーダーを追加するといった改造を加えたJA型がほとんどです。最大で55名の人員が搭乗可能です。その機内には人の代わりに車両や資機材を搭載することもできます。
また、機外には、火砲や車両等の重量物を吊り下げることもできます。JA型の航続距離は約1000㎞と、ヘリとしては非常に長い距離を飛べます。とにかく輸送能力が高いヘリなのです。
これまでも多くの訓練や災害派遣に参加してきました。特に東日本大震災では、福島第1原発を冷却するため、パイロットやクルーらは被ばくする恐れもある中、上空からの決死の放水作業を行いました。
チヌークは、丸みを帯びたフォルムが愛くるしいとファンが多い機体でもあります。
※後編へ続く