国内のみならず海外でも高い評価を得ているアイウェアブランド『YUICHI TOYAMA.』。このたびブランド設立5周年を記念したモデルが、3月18日に200本限定で発売される。現時点での集大成ともいえる同作について、『YUICHI TOYAMA.』のデザイナーである外山雄一氏に話を訊いた。
掛け心地の良さと、素材的な価値を備えたものを
ブランド5周年の節目に発表されたのは、繊細ながら重厚感も漂うラウンドフレーム。まるで2本のロープでフレーム全体を構成したかのようなデザインは、ブランドを代表する「ダブルダッチシリーズ」を踏襲。パーツはいずれもミニマルに仕上げられ、通常の30倍という厚みで施された24金メッキの質感が、最大限生かされた佇いとなっている。
「じつはこのダブルダッチの構造を作ったときから、いつかはこの構造を金無垢でやりたいという想いがあったんです」
デザイナーの外山氏はそう語る。
「レギュラーコレクションである『YUICHI TOYAMA.』に加え、2021年から鯖江の最高峰の技術を駆使したプレステージラインの『YUICHI TOYAMA:5』、そしてより掛けやすく日常的なデザインの『YUICHI TOYAMA/D』を始めたことで、これまでのレギュラーコレクションでやりたいことが、より明確に提示できるようになった感覚がありました。そんなとき、前身の『USH』からリブランディングしてそろそろ5年になるし、会社名はアトリエサンク(※サンクはフランス語で5の意)だし、クリエイションのモットーとして掲げている“5ルーティーン(見る、考える、描く、作る、壊す)”も含め、5という数字はブランドにとって重要な数字だなと改めて思ったんです。ならば、このタイミングで自分がやりたかったことを形にしようと」
そこから、日常的な使いやすさや掛け心地などを踏まえて試行錯誤を重ねた結果、チタンをベースにゴールドの厚メッキを施すという案に着地した。
「掛け心地を最大限良くしたうえで、なおかつ素材的価値を持たせる方法はないかと考えた結果が、24金の厚メッキでした。これなら日常使いしやすく、なおかつメッキに通常の30倍の厚みがあるため質感の美しさが長く続く、つまり不変的な価値を持たせることができます。もともとダブルダッチは、“いかに細い線で日本のロウ付け技術の高さを具現化するか”がコンセプト。だから金の質感を備えつつ、さらに細くて軽くて掛け心地も良いのであれば、それって一見シンプルでありながら、すごくうちのブランドらしいなと思ったんです」
“10年使っても色褪せないデザイン”にすべく、フロントのシェイプはラウンドに。少し縦長にアレンジされたシェイプが特徴的ながら顔馴染みはじつに良く、外山氏の手腕が感じられる。
さらにゴールドの華やかで品のある艶が、表情に風格を添える。眼鏡産地・鯖江の技術を最大限に生かした作りと、普遍的なデザイン、そして不変の輝きと。もはや工芸品ともいえる仕上がりだ。
白漆のウッドケースやヌメ革のトレーも付属
このフレームには、無垢材から削り出したウッドケース、セーム革のクリーニングクロス、ヌメ革のトレーといった天然素材を使ったアイテムが付属する。なかでも白漆で表面加工を施したウッドケースの、ナチュラルで趣きのある風合いが一段と目をひく。
「付属品にはすべて天然素材を使いました。どれも“素材が持っている色をどう光らせるか”ということにこだわって、ケースには木目の美しさを生かせる白漆を採用しました。使い込むほどに経年変化が楽しめるんですが、これってじつは今回のフレームの“不変性”とは真逆の概念なんですよね。ゴールドの艶やかな質感が長く楽しめる眼鏡と、日々使い続けていくほどに経年変化するケースやトレイと、その対比を10年楽しめる。そうした眼鏡のある生活って、気持ちが豊かになるなって」
1日の終わりに外した眼鏡をトレーに置くたびに、自分と眼鏡の過ごした月日を感じられる。そんな、購入した後の日常にまで付加価値を与えてくれるパッケージングもまた同ブランドならではのアプローチだ。
じつはブランド設立5年の節目は、外山氏がアイウェアのデザインに携わり始めて30年という節目でもある。今回のモデルに「YUICHI」と自身の名を冠していることからも、今作が外山氏のキャリアにおいて特別なものであることが窺えよう。アイウェアデザイナーとしての経験と自信、そして鯖江の最高峰の技術と叡智が融合したこの1本。掛ける人にとっても、特別な存在となってくれること間違いなしだ。
【商品詳細】
U-1“YUICHI”
価格16万5000円(3月18日発売予定)
※世界限定200本
問い合わせ先:アトリエサンク 03-6407-0990
https://yuichitoyama.com/