菊池雅之のミリタリーレポート
空自の主力戦闘機F-35の近況報告!!

続々と新たな機体が製造され、配備が進んでいくF-35A。究極のステルス化を目指した機体デザインが特長的。

航空自衛隊の主力戦闘機となるべく、続々と配備が進むF-35AライトニングⅡ。

現在は、第3航空団隷下部隊である第301飛行隊及び第302飛行隊の2個飛行隊がF-35部隊として存在し、三沢基地(青森県)に部隊を置いています。

これまでは主として錬成訓練を行ってきましたが、2023年に入り、いよいよスクランブルこと、対領空侵犯措置につくことになりました。

ここ数年中国空軍機が、ほぼ毎日のように日本周辺の空域で、示威行為を行っており、その都度、空自は戦闘機を飛ばし、領空内へと入らないように警告しています。この対応を行ってきたのが、F-2やF-15戦闘機だったわけですが、このラインナップの中に、今年からF-35が加わりました。

三沢基地は日米共同使用基地となっている。着陸するF-35Aのバックには離陸準備中の米空軍F-16の姿がある。

ここで、空自のF-35の配備の流れを振り返ってみましょう。

F-4ファントムⅡの代わりにF-35が配備されることが決まりました。

配備に先駆けて、2017年12月18日、三沢基地に「臨時F-35A飛行隊」が発足しました。

翌2018年1月26日、国産2号機が「臨時F-35A飛行隊」に配備されました。

実は国産1号機は、最終点検をアメリカで受ける必要があったため、渡米しなければならず、2号機が最初に部隊に配備された形となりました。

引き続き、2018年5月28日、米国産4機+国産1号機が、三沢基地へやって来ました。さらに国内生産分のF-35Aも続々と配備されていきます。

2019年3月26日、これまでF-4EJ/EJ改ファントムを運用していた第302飛行隊が、正式にF-35A飛行隊へ生まれ変わり、「臨時F-35A飛行隊」と統合しました。翌2020年12月15日、第301飛行隊もF-35A飛行隊となりました。

さて今後もどんどんとF-35が増えていきます。それに伴い新たにF-35A部隊も誕生する見込みです。

現時点でのF-35A飛行隊である第301及び第302飛行隊が所在する。垂直尾翼にオジロワシマークを描いているのは第302飛行隊。

三沢基地に次いで、F-35Aが配備されるのは小松基地となる模様です。

すでに同基地にてF-35の離着陸試験等を行い、運用手順の確認、騒音調査、それに基づく住民説明等を行っているのがその理由です。

同基地には、F-15J/DJを配備する第6航空団隷下の第303飛行隊及び第306飛行隊が所在しています。

同部隊に配備されている近代化改修が出来ない古いタイプのF-15を退役させ、その代わりにF-35Aを配備していく流れとなりそうです。

近代化改修が可能な機体については、他のF-15配備部隊へと回していきます。それに伴い、古いF-15を随時退役させていくことができます。

こうして古いタイプの機体を押し出していく考えです。最終的には、すべてのF-15を退役させ、F-35Aとなります。

着陸を目前にしたF-35A。垂直尾翼にカエルを描いているのは第301飛行隊。

さらに、海上自衛隊の護衛艦「いずも」型(「いずも」「かが」)を空母化改修し、短距離離陸・垂直着陸が可能なF-35Bを運用する考えがあります。すでに、2隻は改修作業中です。

F-35Bに関するパイロットや整備員の教育も米本土にて開始されました。

護衛艦「いずも」では、2021年9月8、9日に、米海兵隊のF-35Bを使った発着艦及びデッキオペレーション試験が行われています。準備は着々と進んでいる状況です。

なお、主としてマスコミでは、「いずも」型は“空母”となる、という書き方がされていますが、実際の運用は、米海軍の強襲揚陸艦に近い形となるようです。島嶼防衛における水陸両用戦の対地攻撃支援並びに沿岸警戒にF-35Bを使っていく考えです。

このF-35Bについては、今のところ新田原基地に配置される可能性が濃厚です。

新たな部隊を新編するのか、既存の戦闘機部隊を改編するのか、まだまだ不確定な要素が多いのですが、その答えはあと数年後に明らかとなります。

冬の厳しい三沢基地で訓練に励むF-35A。
  • 軍事フォトジャーナリスト.。1975年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。講談社フライデー編集部専属カメラマンを経て軍事フォトジャーナリストとなる。主として自衛隊をはじめとして各国軍を取材。また最近では危機管理をテーマに警察や海保、消防等の取材もこなす。夕刊フジ「最新国防ファイル」(産経新聞社)、EX大衆「自衛隊最前線レポート」(双葉社)等、新聞や雑誌に連載を持つなど数多くの記事を執筆。そのほか、「ビートたけしのTVタックル」「週刊安全保障」「国際政治ch」等、TV・ラジオ・ネット放送・イベントへの出演も行う。アニメ「東京マグニチュード8.0」「エヴァンゲリオン」等監修も行う。写真集「陸自男子」(コスミック出版)、著書「なぜ自衛隊だけが人を救えるのか」(潮書房光人新社)「試練と感動の遠洋航海」(かや書房) 「がんばれ女性自衛官」 (イカロス出版)、カレンダー「真・陸海空自衛隊」、他出版物も多数手がける。YouTubeにて「KIKU CHANNEL」を開設し、軍事情報を発信中
  • https://twitter.com/kimatype75

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