マツダの熱意を感じよ! CX-60を試乗!!


見せてもらおう、マツダの新型SUVとやらを

ん? CX-60だと、地球レンポー軍が新しいモビルスーツでも開発したのか!? と一部軍関係者の間で話題になったとか(編集部注:なってません!)。

そのくらい、ブランニューが詰め込まれたマツダの新型モビル……(しつこい)いや、新型ラージ商品群の第一弾となったのがCX-60。ボディサイズも余裕があるので基本的にはフロントエンジン、リアドライブを採用する。そしてFRを採用するのはスポーツカーか高級モデルが多い。

そのマツダが展開していくラージ商品群だが、字のごとくボディサイズも大きなハイソカーと思っても大きな間違いはなく、それらには直列6気筒エンジン、PHEV、48Vのマイルドハイブリッド車をラインナップし、加えて2025年までにEV、PHEV、ハイブリッド車を次々に登場させる予定という。

CX-60はその先鋒になるモデルだ。パワーユニットには2.5リッターの4気筒ガソリン、3.3リッターの直6ディーゼルが用意され、ガソリンにはPHEVが、ディーゼルにはハイブリッドがそれぞれ設定される。

なおディーゼルハイブリッド、PHEVは4WDモデルのみの設定。またディーゼルハイブリッドはEVモードを持たないマイルドハイブリッドシステムだ。試乗車はXDハイブリッドプレミアムスポーツ。

コレはいい! 品のいいインテリア

ドアを開けて乗り込むと、コレはいい! と素直に思えるインテリアが迎えてくれる。シンプルなデザインだけれど、本杢の使用やバックスキン調の生地を多様するなど質感の高さが感じられるモノ。

センターコンソールは大きいし、Qi規格のワイヤレス充電も多くのグレードに標準装備。試乗車のシートはナッパレザーと合成皮革のコンビタイプで、どことなく輸入車を意識したような雰囲気もある。

リアシートも同様でスペースは十分以上。後席用のシートヒーターはディーゼルハイブリッドモデルには全グレードで標準装備だし、前席のシートヒーター、ベンチレーションも同様だ。

筆者が斬新! と感じたのは、自分の身長をディスプレイに入力すると、シートポジションだけでなくステリング位置やドアミラーの角度までクルマが調整してくれる機能(自動ドライビングポジションガイド、XDハイブリッドのプレミアムグレードには標準装備)だ。

ディーゼル界の染之助・染太郎?

エンジンをかけるとディーゼルユニットでもかなり静か。搭載されるエンジンは、燃費や環境性能のバランスを考えて「あえて抑えている」とマツダがいう、254PS/550Nmのスペックを誇る新開発の3.3リッターのディーゼルターボ。

しかも直6! これに16.3PSのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド採用。走り出すと、不快とは違うベクトルのいい音を聞かせてくれる。そして魅力は「いつもより多く回っています」的によく回ること。

ディーゼルエンジンなのに。それがレッドゾーンの5000rpmまで一直線と言っても大げさでなく、気持ちいい回り方なのだ。さすがバランスのいい直列6気筒。

なお直6搭載車はフロントフェンダーにその証も入るあたりは、さすが、マツダ、クルマ好きの心をくすぐってくれる。街乗りはたった200rpmで153Nmを出すモーターアシストのおかげで踏み込まずに加速していける。

踏み込まないからクルマの姿勢がギクシャクしない。同乗者にも優しいし、踏む必要がないので、燃料を多く消費しない。つまり財布にも優しい。草野球界に早めに引退したプロ野球選手がプレーする感じだろうか。つまりは日常域では十分。

組み合わされるミッションは8AT。このATは従来のトルクコンバーターをクラッチに置き換えた新しいシステム。加減速は非常にスムーズだったが、街中でエンジンブレーキを使いたい時など自分でステアリングに設けらえたパドルスイッチでシフトダウンする時は2、3速落とすことになる。

逆に言えばそれくらいシフトアップが気づかないし、低回転で走っても違和感のない走りでもあるのだ。

噂の乗り味は?

さて。CX-60の乗り心地はweb上では賛否両論で、そりゃあもう、与野党一致の安定路線と程遠い感想から部分妥協の予算成立内閣といった感じだ。筆者個人では固めだけれどそれほどでもないと感じた。

チマタで言われている「二度と乗らない!」的な激しくも厳しい乗り心地ほどではなかったことは声を大にしてお伝えしたい。確かにスポーツカー的か高速セッティング向けな味付けだとは感じたが、そこまで、ではなかった。

試乗車の走行距離は4000kmを超えた個体。もしかすると「ド新車」だと厳しく、ナラシが進んでくるといい塩梅になるのかも。そもそもCX-60のサスは専門誌的な話で恐縮だが、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク式。

しかもリアの一部はピロボールを使う非常に凝ったモノ。ピロボール! と聞くとすぐ「腰痛上等!」とか「人生旋回主義!」なサーキットメーンのチューニングカーやレーシングカーが浮かぶかもしれないが、ピロボールのメリットはサスの動きがダイレクトになることが特長のひとつ。

よくサスペンションのアッパーマウントに採用しているイメージ写真があるので、ピロ=固すぎる乗り心地とイメージがついてしまったのかも。

ただ、クネッた道でのハンドリングや高速でのゆるいカーブなどの身のこなしは流石で、このサイズなのに自分の考えた通りに曲がってくれる。まさに人馬一体。マツダの真髄ここに極まれり。

走る音響ルーム

高速道路100km/hで巡航時のエンジン回転は約1500rpm。室内の静粛は非常に高いレベル。こうなると室内で楽しみたいのは音楽だ。マツダはマツダ3から車種設計の段階からスピーカーレイアウトを盛り込むなどこだわりの音響空間を作っている。

今回のCX-60ではさらに進化。具体的にはカウルサイドの鋼板に深く堀りこんだプレスを行い、設置されるサイドウーファーの容量を4.8リッターへ拡大。

ジツはこの効果、低音域のダイナミックレンジを広げるだけでなく、車体の剛性も向上する一石二鳥の加工。加えて試乗車は12スピーカーのボーズサウンドシステムとさらに低音域も魅力のモノ。

新しい技術テンコ盛りのCX-60、なんとエントリーグレードはこのサイズながら300万円を下回る299万2000円からと大バーゲンプライスなのだ。

CX-60
XD-HYBRID Premium Sports


価格547万2500円から
全長×全幅×全高4740×1890×1685(mm)
エンジン3283cc直列6気筒ディーゼルターボ
最高出力254PS/3750rpm
最大トルク550Nm/1500-2400rpm
モーター最高出力12kW
モーター最大トルク153Nm
WLTCモード燃費21.0km/L

マツダ
問マツダコールセンター 0120-386-919

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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