大阪に本社を構えるAPIX INTL(以下アピックス)。「こんな商品あったらいいね!」を時代に合わせ、製品開発・販売する総合電機メーカーだ。今回は、手軽に低温調理が楽しめるアピックスの「MAISTERシリーズ」、新作『SLOW MAISTER(以下スローマイスター)ALC-750』。本体・蓋・電源コードだけのシンプル構造。サイズは、本体幅206×奥行172×高さ160mm・重さ(約)990g・コード長約1.5m、出力は控えめの550W。じっくり時間をかけて食材を美味しくする低温調理器だ!!
以前レポートしたゆで卵専用茹で器、『Egg Meiste(エッグマイスター)』(写真左奥)をパワーアップ。食材を完全に包み込むサイズに改良、料理レパートリーが広がったぞ。
低温調理とは!? タンパク質の変成だった……
世界で最初に「肉」の低温調理を提唱した料理人は、1996年にミシュランガイドで三ツ星を獲得したフランスのアラン・パッサール(パリの3ツ星レストラン『アルページュ』のオーナーシェフ)氏だ。フランス料理は、高度な肉の火入れ技術が要求される。肉の火入れ技術についてだけでも専門書が多数存在する世界だ。
低温調理を理解するには、肉のタンパク質を知ることがポイント!!
肉にはミオシン・アクチン・コラーゲンという3種類のタンパク質が含まれている。このタンパク質を低温でじっくり調理することにより変成※させるのだ。ミシオンは50℃以上で変成。アクチンは66℃以上で変成。そしてコラーゲンは68℃以上で変成(ゼラチン化)する。ローストビーフの中心部がピンク色なのは、アクチンが変成せず、ミオシンだけが変成するから柔らかい肉に仕上がる!!
コラーゲンは、60℃以上でゆっくり変成を始める。60~66℃の間でゆっくり長時間調理すればミオシンを変成させずにコラーゲンだけを変成(ゼラチン化)させる事が出来る。
難しいタンパク質の変成を、短時間で、調理温度を自動でコントロールしてくれる、便利なキッチン家電が「低温調理器」なのだ!!
王道の「ローストビーフ」もカンタン!
牛のもも肉ブロック(約200g)を、塩コショウで下ごしらえし100℃の耐熱調理袋に入れ、後は本体にデフォルトされている「ローストビーフ」プリセットボタンを押せば完了!! 調理所要時間90分。ほったらかしていても調理が終わればピピっと本体が知らせてくれるので安心だ。
フライパンにオリーブ油を引き全体的に軽く焼目を入れるのがポイント!!
肉の粗熱をとったら耐熱袋にいれ、中の空気を抜き真空に近い状態に!!あとは本体に入れ、蓋を閉めるだけだ。
旨味が凝縮されたローストビーフの完成。3タンパク質が完全に変成されている。お店で出されるプロの料理人が作るそれと同じぐらいのクオリティだ。ジューシーな肉本来の味が楽しめるぞ!!
体に優しいサラダチキンも!
鶏胸肉(皮無し200g)を、ローストビーフと同じく、塩コショウで下ごしらえ。あとは、耐熱調理袋に入れ空気を抜きそのまま本体にデフォルトされている「サラダチキン」プリセットボタンを押せば完了!!調理所要時間は80分。
スーパーやコンビニでよく見かけるそれとは違い、無添加・無着色、オリジナルサラダチキンの完成だ!!
鶏肉に満遍なく熱を通すために、肉同士を重ね合わせないのが重要だ。
食材全体が湯の中に浸らせるのがポイント。これにより全体に熱が通る。
サラダチキンは鶏肉の旨味がギュッと凝縮されている。肉の中心はふっくらジューシー。サラダの具材だけではなく、麺類などにのせてもマッチする。鶏本来の旨味が楽しめる!!
デフォルトプリセット以外、手動設定も出来る!!
スローマイスターは、温度1℃単位(40℃~95℃)、時間は5分単位(1分~300分)と細かく設定できるから、様々な食材を低温調理、ボイル、保温することができるぞ。
番外編① レトルト食品温めてみた!!
設定温度:95℃ 時間:10分
餡が美味しい中華丼。湯煎は100℃まで上がってしまうが、スローマイスターはMAX95℃。95℃だから餡で口の中を火傷することはない。具材にもしっかり熱が通るのだ。
番外編② 上燗やってみた!!
設定温度:45℃ 時間:20分
電気酒燗器にもなるスローマイスター。今回は上燗45℃に手動設定。ゆっくりじわじわと温めるのでちょうどいい上燗になる。ただ、若干時間がかかるので、早く口にしたい人には不向きだ。
スローマイスターALC-750
品名: | コンパクト低温調理器 スローマイスター |
品番: | ALC-750 |
本体サイズ: | (約)幅 206×奥行 172×高さ 160mm |
本体質量: | (約)990g |
消費電力: | 550W |
電源コード長さ: | (約)1.5m |
価格: | オープン価格(参考価格12,980円税込) |
発売日: | 2023年6月末予定 |
注)低温調理(肉類・魚類他生もの)は調理の時間・温度・食材の密封、完成品の保存期間等守らなくてならない。どんなにレア好きでも、メーカー推奨の使い方厳守だ!!
株式会社アピックスインターナショナル
商品開発部 商品開発 兼 広報担当
佐藤 元紀(さとう もとき)さん
広報のみならず、開発の初期から製品に携わる開発チームのメンバーでもある。自社の製品を熟知したザ・職人。次の新商品、どんな逸品を送り込んでくるのか!!