「自動車文化を愉しもう」
オートモビルカウンシル2023

自動車文化の伝道

クルマそのモノだけでなく、クルマの文化に触れられるイベント、「オートモビルカウンシル2023」が千葉県・幕張メッセで開催されました。大人になったら、いい趣味のひとつでも持ちたいなぁ、と思いつつ気づけばアラフィフの筆者、会場に足を運ぶとまさに「いい趣味」のひとつともいえるモノばかりでした。

このイベントは自動車単体だけでなく、それに付随する多くを感じ取ってもらうことをコンセプトにしています。クルマは技術面だけでなく、時代背景や作り手が想像するオーナー像など様々な要素が詰まっています。そんな文化をまとめて愉しめるのです。

オートモビルカウンシルは2016年が初開催で、今年が8回目。ある種モーターショーと思っても差し支えはありませんが、展示されているクルマの半分以上はなんと購入可能。そんな日本版レトロモビルをレポートします。

メーカーも注目のイベントに

最近はメーカー自体がレストア部門を立ち上げるなどヒストリックモデルの継承にも力を入れています。今年は9つのメーカーがイベントの趣旨に共感して出展。日産ブースではwebや専門誌でも話題になった、女優の伊藤かずえさんのシーマを展示……なんとご本人も登場!!

壇上でのトークセッションではレストア中の話や手元に帰って来た時の涙話などクルマ好きは深く共感できる内容でした。「レストア後は走っていて異音がしない」というくだりは思わずにやけていた方も。もちろん筆者もそのひとりでしたが。

またイベント初期からブースを構えるマツダはブランドの魂ともいえるロータリーエンジン搭載のコスモAP(APはアンチポリューションの略で低公害車の意)やレストアされたファミリアベースのコンセプトカーMX-81の姿も。

察しのいい読者のみなさま、ロータリーとMXとなればチマタを騒がせるのはは日本初公開となったMX-30のe-SKYACTIV R-EVです! 同車はロータリーエンジンを発電機とするプラグインハイブリッドモデル。間接的かもしれませんがマツダのロータリーエンジンが公道に帰ってくるのです。

オートモビルカウンシルはクルマへの造詣が深いファンが多く、そのファン向けに新車を発表するメーカーも。イタリアの老舗マセラティが発表したのは、スーパースポーツ、MC20のオープンモデル、MC20 チェロ。これは完璧なスパイダーを目指したモデルでクーペにひけを取らないパフォーマンスが特長。

テーマも充実

さて、オートモビルカウンシルの特長のひとつとして開催ごとに主催者のテーマに沿った車両展示があります。今回はポルシェとフェラーリ。いずれのブランドも趣味車の王道でもあり、ドイツの、イタリアの文化のひとつとして多くのユーザーやファンに親しまれているブランドです。

まずポルシェですが今回の企画は911の60周年を記念したモノです。生産開始から現在に至るまで基本レイアウトの変更なく作り続けられるクルマ。もちろんシルエットも歴代モデルに共通する一目で911とわかるデザインです。会場には初期型モデルから最強進化版ともいえるカレラGTが揃い踏みでした。

一方、趣味車の双璧をなすイタリアの名門フェラーリ。こちらはブランド、いえF1チームの創設者であるエンツォ・フェラーリの生誕125周年を記念した展示内容に。288GTOからその進化版のF40、F50とスペシャルなモデルが並ぶ景色はファン垂涎のモノ。筆者は危うく違う世界に行きそうなインパクトでした。

ヘリテイジカー専門店も

さあ会場の雰囲気に負けて(?)クルマが欲しくなった貴方にはそういったヒストリックモデルを専門に扱うスペシャルショップのブースも多くあります。特にヒストリックモデルを「乗って」楽しむ場合は心強い味方になってくれます。そう、武田信玄の名言ではないですが「人は城ウンヌン」なのです。さすがモノ・マガジン。歴史の勉強から人生勉強までできるモノなのです。

オトナの趣味人も

オトナの嗜む趣味として芸術、音楽、ファッションが代表格。会場にはそんなオトナを満足させるブースも数多くありました。筆者もアラフィフゆえ、ひとつくらい「いいオトナ」として趣味を楽しみたいのですが、逆に「いいオトナ」なんだからと諭される方が多ございます。そんなオトナでも楽しめるイベントでございました。はっきりとわかるのは見ていてワクワク感があるから。いやあ、クルマって本当に楽しいですね(水野晴郎調に)。

オートモビルカウンシル

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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