源流をたどると1891年にまでさかのぼれるという、現存する世界最古のモーターサイクルブランドが「ロイヤルエンフィールド」です。英国で生まれ、1955年にはインドでの生産を開始。そのエンフィールドインディアが現在のロイヤルエンフィールドの母体といえます。昨年度は同社史上最大の生産台数を記録するなど絶好調のロイヤルエンフィールドの2023年の大注目株、「スーパーメテオ650」の試乗レポートをお届けします!
試乗日は「標高の高い御殿場なのに」と思うほど、暑く、あまりライディングに向いているとはいいにくい気候でしたが、ロイヤルエンフィールドの新型車と聞いて行かないわけにいきません。モノ編集部は東京から高速道路で現地に向かいます。
今日の狙いは「スーパーメテオ650」。キャッチコピーは“正統派クルーザーを作る!”とあります。クルーザーとはコーナーを果敢に攻めるというよりは、どこまでも気持ちよく流す長距離ツーリングバイクといえます。そのクルーザーの正統派を作る、と言うのです。
実車を見ての第一印象は、ロイヤルエンフィールドらしく、実にクラシックなバイクであるといったものでした。
さっそく跨りエンジンを掛けると、何ともいえない、クラシックなサウンドが耳をくすぐります。それは国産オートバイの低音豊かな厚いサウンドとは異なり、なかなか上手くお伝えできないのですが、カタカタとエンジン、ピストンとギアが精密に回っているようなメカニカルなサウンドなのです。
ボディは大柄で650㏄にしては手ごたえがあり、650という数字以上のビッグバイクに跨っている感触をもちました。
ロー&ロングのクルーザーモデルらしく足つき性は非常によく、身長165㎝ほどでも不安はまったくありません。ただし大柄のボディゆえ、降りての押し引きの際には、じゃっかん、腕力を必要と感じてしまいました。
走り出しはスムーズ。サイズ感のあるボディですが、走りは軽快そのものです。
実は走り始めからしばらくの間、この独特なエンジン音をあまり心地よくなく感じていました。しかし一般道を30分ほど走り、さらに高速道路を走行しているうちに、「これって、ロイヤルエンフィールドらしさが出ていて、かなり良いかも!」と思うようになってしまいました。不思議です。じわじわと好きになってくる。これが、このバイクの深い魅力のひとつかも知れません。
乗り心地はとても楽で、どこまでも走ってゆけそうです。さすが正統派クルーザー!
シフトギアの位置を少し遠く感じましたが、170㎝以上の方であればそんな風に感じることはないでしょう。私は短足ですので(笑)
1時間も走ると、もう自由自在……とはさすがにいきませんが、かなり慣れてきて、「やっぱりロングクルージングには最高だ!」と思うほどの,ゆったり感と満足感が得られました。要するに気に入ってきたのです。
ピカピカのニューモデルゆえ、他のツーリングライダー達が「どこのバイク?」と振り向く様子は、優越感にひたれるものです。中でも、ハーレーダビッドソンに乗っている方々の視線が熱かったような……?
試乗してもっとも感じたことは、スタイリング、機能、エンジン、走り等、すべてがクラシックかつテイスティにデザインされているバイクだということです。
また、方向性はクラシックでも、ライトはLEDですし、フロントフォークは倒立タイプ、スマホアプリと連携して目的地までの方向と距離を示す簡易型ナビも標準装備という、2023年の現代ライダーに嬉しい機能を備える一面もあります。
ともかく、国産オートバイとは一味も二味も違う単車、それが「スーパーメテオ650」です、というのが正直な感想です。
モノに対する強いこだわりをおもちで、人とは違うモノを所有したい方、さりげなく目立ちたい方、自分らしいスタイルを主張したい方にはもってこいの一台ではないでしょうか。
たとえが古くて恐縮しますが、さながら『大脱走』のスティーブ・マックイーン気分になれる「もっとも新しいクラシックバイク」、それがスーパーメテオ650です。シリーズにはより長距離移動を主眼にパーツを選択した「ツアラー」も用意され、ラインナップは計5種類となります。
ツアラーならではの装備。ウインドスクリーンとシートバック。
是非皆さんも一度、試乗の機会をおもちになってみてください。たぶん、好きになっちゃいますよ!