「ガチャ」「サー」の魅力と魔力。東芝エルイートレーディングの新生「AUREX」のカセット三兄弟がアツすぎる!


オーディオ好きならもちろんご存じのはず、東芝エルイートレーディングのオーディオブランド「オーレックス」が今年誕生50年を迎えリブランディングを果たしました。「Aurex」から「AUREX」へとロゴ表記も一新。さらに投入された新製品がこれまたトガっているのです!

文/モノ・マガジン編集長 写真/青木健格、東芝エルイートレーディング

カセットテープまで盛り上がってしまった。

レコード人気はすでに一過性のブームをこえ個性あるメディアのひとつとして定着しましたが、昨今、カセットをリリースする人気アーティストが増え、コンパクトなメディアとしてのカセットに注目が集まっています。

さて、オーレックスというオーディオブランドをご存じでしょうか? これは東芝が生み出したブランドで、誕生は1973年。今年は50周年に当たり、これを機にリブランディングが行われました。

新生ロゴがこちら。左のタテの6本バーは、音や心の波動を表現したピクトグラム。「ゆくゆくはこのピクトグラムだけで「AUREX」であることを伝えたい」といいます。

ブランドのスローガンは「心、躍る。」とされ、かつてのオーレックスに親しみのない若年層との共感を目指したものです。このリブランディング後の第一弾製品群3機種が7月下旬に発売されました。商品カテゴリーとしては「カセット付きワイヤレススピーカー」「ワイヤレスカセットプレーヤー」です。

カセットサウンドをワイヤレスイヤフォンでも聴けちゃうんです。この違和感にモヤモヤしませんか(笑)

「いまオーディオといえばスマホとBTスピーカーが中心です。しかしそこにはソニー、ボーズ、JBLといった強豪が犇めいています。いまオーレックスブランドで参入するならここではない。ラジカセで得た経験を活かしたカセット付きワイヤレススピーカーでいこう、となりました」

そう語るのはオーレックスチームを率いる東芝エルイートレーディングの小西昌也さんです。

東芝エルイートレーディングでオーレックスのブランドマーケティングを担う小西昌也部長(左)と、同オーディオ商品企画グループ長の後藤浩幸さん。ご両名の笑顔の効果で、いまAX-W10Cが10台売れました(笑)

実は東芝エルイートレーディングはラジカセで圧倒的なシェアを誇っています。ラジカセ事業のスタートは約20年前ですが、以来、主としてカラオケや習い事の練習用として活用されてきました。ユーザーはシニア層が中心です。

ラジカセ現行品の一例、オーレックス「TY-AK21」。カセットテープやCDなどの音源をハイレゾ相当の音質で再現するアップコンバート機能、BTの送受信機能を搭載したハイエンドラジカセです。

「生テープはマクセルさんが作り続けていますが、練習の録音用途が主なためもっとも売れるのは10分テープだそうです」

と、同チームの後藤浩幸さん。ちなみに小西さんはビデオカメラやデジカメ、モバイルプレーヤーの「ギガビート」など、後藤さんはレグザやDVDプレーヤーなどを過去に担当されていたそう。

ラジカセ作りの経験とカセット再評価、さらにBTスピーカーという個性をトッピングされた新製品は3モデル、5品番でお目見えです。3機種とも録再可能ですが、据え置き型の2機種はスピーカー搭載・バッテリー内蔵のBTスピーカーで、両者の相違点は、AX-R10がモノラル、AX-T10がステレオであることです。

据え置き型の2機種。左がAX-T10。右がAX-R10。価格はオープンながらいずれも実勢で1万3000円前後。ある時はカセットプレーヤー/レコーダーとして、またある時はBTスピーカーとして使えます。

そして発売後から「圧倒的に売れています!」(小西さん)と語るのがカセットプレーヤーのAX-W10です。

フロントリッド(フタ部分)がホワイトのAX-W10。オープン価格ながら実勢は7700円前後の模様です。電源は単三電池2本かUSB給電となります。
そしてこちらが透明リッドを採用したヒットモデル「AX-W10C」。カセットのレーベル面が見える楽しさは、新しい発見です。

1980年代、東芝は「Walky」ブランドでカセットプレーヤーを展開していました。したがってAX-W10にはおよそ30年ぶりとなるWalky復活の意味合いもあります。

「新型ウイルス以降、おうち時間が増えた影響もありオーディオなど黒モノ家電も部屋になじむインテリア性が求められる傾向にあります。そうした背景も配慮した上で、若年層のデザイン感度にも響くようシンプルを極めたホワイト主体のデザインとしました」
と後藤さん。

ステレオ再生の「AX-T10」。背面には低音を増強するパッシブラジエーターを搭載し、見た目よりふくよかなサウンドを奏でます。前面スピーカー周囲のLEDランプは消灯することもできます。

そういえばラジカセと言えば「再生」「音量」「録音」など大き目の日本語表記が定番ですが、本製品では薄めのグレー文字とピクトグラムで直観的な操作を狙っています。店頭価格の手頃さも好調の要因でしょうが、なによりそのアナログな手触りに「胸きゅん♥」となった人が多いのではないでしょうか。

デザイン段階では「■などピクトグラムだけでいいのでは?」という意見もあったが、最終的にPLAYなど英語を薄いグレーで併記することに落ち着きました。

再生、早送り、録音など操作時の「ガチャ」という音と手ごたえ。カセットが回転している様子など、ディス・イズ・アナログ! これがいいのです。

ECで探せば海外製カセットプレーヤーは散見されますが、スペックやデザインなどの点で「惜しい!」製品が多いようです。しかしオーレックスの新星たちは、「現在のカセットプレーヤーの存在理由」を検証して生まれたものです。透明なリッドなど、まさにイマドキのハイデザインといえましょう。

「透明リッドの強度を担保するリブをどのように入れるか、それだけで何十回も試作したんですよ」と後藤さんが語ることからもわかるように、これらはかの東芝がしっかり丁寧に作った令和5年の新製品であることがわかります。

透明リッドの強度を担保するために施されたタテヨコのリブデザイン。

サー、という薄いヒスノイズから立ち上がる中低域に膨らみのあるカセットサウンドを存分に楽しみたい! サブスクやMP3のノイズレスでキレイ、フラットなサウンドとは異なる音楽の表現がそこにあります。

もとより、どのメーカーのワイヤレスイヤフォン/ワイヤードイヤフォンを組み合わせるかでサウンドのテイストも変わりますから、そこは、ユーザー個々が「好みのカセットサウンドを探求する」余地となります。

エアチェックやマイベストなど、実家に眠っていませんか? 嬉し恥ずかし青春時代のテープを聞くも善し、現役アーティストの新品カセットを探してカセットサウンドの現在進行形を識るもまた善し。

通勤通学でカセットリスニングはじめませんか! たぶんナウイですよ(笑)

東芝エルイートレーディングサポートセンター
(電話)0120-28-0488

  • 元・モノ・マガジン&モノ・マガジンWEB編集長。 1970年生まれ。日本おもちゃ大賞審査員。バイク遍歴とかオーディオ遍歴とか書いてくと大変なことになるので割愛。昭和の団地好き。好きなバンドはイエローマジックオーケストラとグラスバレー。好きな映画は『1999年の夏休み』。WEB同様、モノ・マガジン編集部が日々更新しているFacebook記事も、シェア、いいね!をお願いします。@monomagazine1982 でみつけてね!

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