個人的な話で恐縮ですが小生、愛靴スニーカーは数年来のスピングルムーヴ党です。きっかけは以前、幣誌『モノ・マガジン』でスピングルムーヴ大特集をやったときに、何人かのスピングルオーナーに取材させていただいたこと。
政治家からクルマメーカー勤務の方、イラストレーターなどいろんな職業の方にインタビューをしたのですが、みなさんに共通していたのが、「とにかく履いていて気持ちイイ」「踵にシューズがピタッと吸いついてくるみたい」「スニーカーなのに歩くとコツコツと音がするのに気分がアガる」でした。
それほどいいモノならばぜひ! というわけで取材後に1足目を購入し、現在3足所有しています。とくに気に入っているのが、やはり吸いつく踵。
これ、踵部分にカウンターと呼ばれる固定力の高い芯材を使うことで、踵をブレにくくしているわけなのですが、とにかく、踵がズレないので歩いていて軽快。包み込まれるような独特のホールド感は一度体験しておいて、損はないと思います。
それと、これも件のオーナー取材でみなさんおっしゃっていたことですが、デザイン的に大人好みのシンプルで端正なスニーカーを求めたら、必然的にスピングルムーヴにたどり着くわけなのですよ。
ユーザーのひとりとして大満足のスピングルムーヴですが、個人的にひとつだけ不満がありました。過度なクッション性を持たないこと自体は気に入っているのですが、つま先部から踵部までインソールがフラットな設計であるために、やや後ろ重心気味の小生は長く歩いていると、ときおり踵が痛くなってしまうことがあったのです。
そこで、踵部のみのインソールを別途プラスして履いてみたら悩みは解消しました。要は、個人的にはもうちょっとだけ踵にクッションがほしかったわけですね。
ニーズを反映して天然ラテックス製カップインソールを開発!
今春、ウルトラセブンコラボモデルの取材で広島・府中にある本社工場を訪れたときに、さらっとそんな話を雑談してみたら、「実はそういうご意見に対応して、踵部に厚みを持たせたカップインソールを採用したモデルも昨年冬からやっているんですよ!」。
さすがは小ロット多品種のハンドメイドスニーカーにこだわり続けているスピングルムーヴさん。ユーザーの声にもきめ細やかに対応しているというわけです。
だいぶ前置きが長くなりましたが、そんなわけで今夏リリースされた「SPM-1034」は大人向けの待望モデルと断言できます。オンオフ問わず出番が増えるシンプルでクラシカルなデザインに、件の天然ラテックス製カップインソールを搭載。
土踏まずを考慮し足のアーチを適正に保つ設計による高いフィット感に加え、踵部分に厚みを持たせることでクッション性を高め、歩行時の疲労を軽減してくれます。
さらに、天然ラバーソールと同等の柔らかさと高い弾力性を持つ自社開発の「RUBEAR®︎NRソール」を組み合わせた、軽快で弾むような歩行感も歩いているだけでイチイチ気分があります。
そう、この気持ちの高揚感こそがスピングムーヴの最大の価値ではないか。個人的には思っています。アッパーにはカンガルーレザーと牛革を組み合わせていますが、このカンガルーレザーの感触もぜひ、一度体験すべき。サッカーのスパイクなどにも使用されている革素材ですが、とにかくやわらかくて履けば履くほど自分の足に馴染んでくれます。
そのほか、スピングルムーヴのこだわりのひとつであるバルカナイズ製法にも触れておきますが、これはゴム底材に硫黄を加えたシューズを窯に入れて加熱・圧力をかけて底付けを行う製法。
型崩れが少なく、底が剥がれにくいメリットがありますが、これも小生がリアル体感済みです。仕事柄、取材現場で頻繁に立ったりしゃがんだりすることが多く、スニーカーを結構派手に屈曲させるハードな使い方をしているわけなのですが、いまだソール剥がれなし。
もちろん、使用条件や個人差、個体差(これがあるのもハンドメイドならでは!)によるところもありますが、とにかく頑丈な印象。「SPM-1034」は使いやすいシンプルデザインであることも含め、長く活躍してくれることウケアイです。
SPINGLE MOVE「SPM-1034」
カラー: | ブラック、ホワイト、グレイ |
サイズ: | M(25.5cm)、L(26.5cm)、LL(27.5cm)、XL(28.5cm) |
価格: | 2万7500円 |