モノ・マガジン誌の長期連載「織本知之の電子写真機恋愛」がいよいよモノWEBに登場! 最新機種から懐かしのレトロ機種まで、掲載当時の熱量真空パックでお届け。誰もが立ち寄れる「デジタル一眼レフ、ミラーレス一眼情報の道の駅」だぞ!
写真と文/織本知之
Nikon Zf
ニコン/Zf
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こんなトコロに戀をする!
やる気の出てくる景色です。諸君のように若いうちは感じにくいかもしれませんが、初老にさしかかるとですねヤル気、元気、雰囲気このどれかひとつを感じるだけでそれはもう充分な価値があることを知るのです。キットレンズのNIKKOR Z 40㎜ f/2(SE)はポリマーマウントながらこの重厚感。そしてシャープな切れ味と美しいボケ味で素晴らしいコストパフォーマンスの1本です。
このダイヤルをカリカリと回す感触。反対側にはISO感度ダイヤル、こちら側を見るとシャッター速度の数値、露出補正値、小窓からはレンズF値とボディ全体から現在のカメラの状態を感じる操作性が往年の銀塩ライクなんですよ。ただし、そのことがいつも傑作につながるとは限りませんが、いたく満足することだけは請け合います。
誰が何と言おうとダブルスロットは正義です。デジカメで撮影してかれこれ20年になりますが、ダブルスロットの両方がオジャンになったことは一度もありません。転ばぬ先の杖的にダブルスロットでバックアップしておくのがなにより安心安全。CFエクスプレスカードも素晴らしいのでしょう。でもねコンビニとかでやたらに売ってねえんですよアレ。その点SD&マイクロSDならばユーザーフレンドリー。
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こんな寫眞に戀をする
ふだんスナップをやたらに撮ることはしないタイプ……と自分では思い込んでいましたが、ZfとZ40㎜の組み合わせでスナップの楽しいこと! 今回このZfからはカメラ提げてあっちへフラフラこっちにブラブラすることの充実感を教わりました。レトロな見た目とは裏腹に最先端のポテンシャルをもってレリーズに反応するZfの気持ちよさとこれまた気持ちの良い描写力のZ 40㎜ f/2。カメラとレンズの醸すこの雰囲気。見る撮る写す、このぜんぶが最高!(撮影にはサンプル機を使用)
【撮影DATA】
シャッター速度:1/6400秒/絞り:f3.5/撮影感度:ISO100/ピクチャーコントロール:オート
こちらはZfにZ 70-180㎜ f/2.8で撮影していたときに、「もう少し距離感を圧縮したいな」と考えDXフォーマットで撮影しました。レンズ焦点距離を約270ミリ換算、約1050万画素へ拡大したカットであります。覚えておかなかったら2年くらいして見返したとき「そうそう、キレキレの300ミリで撮ったんだ! うん!」ときっぱり忘れて勘違いしそうなくらいのシャープさがあります。また従来のF2.8クラスのズームに比べてどえらく軽いのでフットワークと肩の凝りが全然違ったことを明記しておきます。
(撮影にはサンプル機を使用)
【撮影DATA】
シャッター速度:1/3200秒/絞り:f4/撮影感度:ISO100/ピクチャーコントロール:ソンバー
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ニコンZfを使ってみた!
昭和生まれフィルム育ち、腰悪そうな奴はみな同世代なワシらには青春時代を思い出すカメラというのが何台かございます。
それは先輩のキヤノンだったり、父親愛用のオリンパス、もしくは友達の自慢のペンタックスなどなど様々な名機がそれぞれの心に蘇ると思いますが、わたしの場合はなんといってもNikon F3。職業カメラマンとしてはじめての相棒で、あちこち擦り切れたボディから真鍮の地金が見えるまで使いたおした忘れられないカメラなのであります。
そんなわたしの遠い良きF3時代の思い出を蘇らせるデジカメが登場しました! こちらNikonフルサイズミラーレスから最新機種のZf!
最初に断言しちゃいますが、いずれそのうち買いますあたし。ぶっちゃけ、見た目がドンピシャ好みだったらちょっとやそっとのアラなぞは問題にならないのはカメラもアレのほうも一緒なんですが、どうかご安心ください。コチラもプロです、クールでフラットかつドライにレポートに徹します。
「さあZfちゃんレンズつけましょうねー。デュフフ!」
……失礼しました。さて、この往年の銀塩写真機を思い起こさせるレトロテイストな最新Zfなのでありますが、御覧の通りかつての名機FM2もしくはFE2をオマージュしたヘリテイジなデザイン。これが実にカッコイイ! ヘリテイジデザインのデジ一眼といえばかつてのDfもカッコ良かったのですが、Zfはよりフィルム時代のカメラのボディシルエットと雰囲気を再現している感じがします。
ISO感度ダイヤルやシャッターダイヤルの感触などはぜひ見て触って体感して欲しい質感です。搭載するフルサイズFXフォーマットのセンサーは有効画素を2450万素として撮影感度はISO100から64000の常用撮影感度。Z9やZ8同様のこのパワフルな最新画像エンジンEXPEED 7により素晴らしい被写体検出能力も発揮。ターゲットの不規則な動きをシャープに捉え続ける3D-トラッキングで動く被写体をスムーズに追い続けることができるのであります。
また世界初の機能としてフォーカスポイント付近のブレを抑えることが可能な「フォーカスポイントVR」を採用。画面のどこに被写体を配置してもシャープに撮影できる新機能とZ シリーズ最強の8段分手ブレ補正効果が頼もしい!
連続撮影もなかなかの実力を備え、ハイスピードフレームキャプチャーでは約30コマ/秒とスポーツや動物など動体撮影もなんなくこなすポテンシャルを持っているのでございます。
また、定評のあるピクチャーコントロールも「モノクローム」に加え「フラットモノクローム」「ディープトーンモノクローム」と選択することができ、動画・写真・モノクロを一軸のレバーで切り替えることができることからもモノクロームがとても重視されているのがわかるオペレーション。
このようにボディデザインに惚れて選ぶのも良し、オールドレンズの母艦としてチョイスするのも良し、最新機能を頼りに撮影の相棒に選んでもまた良しなZfにはどんなレンズがおススメでしょう?
わたくし、キットレンズのNIKKOR Z 40㎜ f/2(SE)をまずは推したいと考えております。ボディに装着したときの雰囲気の良さ、実写したときのシャープさ、描写の立体感、ボケの素直なずいぶんとコストパフォーマンスに優れた優秀レンズと感じました。大口径解放F1.2とか大きく美しい玉ボケとか大きく特徴的な性能はないですが、こう撮りたいなとイメージしたらその通りに描写する安心感のあるレンズでございます。
次の1本は広角ズームに行くか、望遠ズームにするか迷うところですが今回はNIKKOR Z 70-180㎜ f/2.8はいかがでしょうか。大きく重いプロ用機材の代名詞「ナナジュウニヒャクのニッパチ」クラスながらテレ側を180ミリに抑えることでレンズ質量を約795g、全長もコンパクトな151ミリに仕上がりました。
ちなみにナナジュウニヒャククラスはどこの製品でもだいたい倍近い重さと5割増しの長さでまあ大変。 これほどコンパクトにまとまり描写も同クラス、なおかつテレコンバーターの使用もおまかせ! な設計ならばおススメしない理由がみあたりません。良いレンズですこれは。
新製品カメラレポートなのか、買おうとしているカメラ語りなのかあいまいになってしまったところもありますが、今回はZfに対する愛さえ伝わればと思います。まる!
※本企画の情報、コメントはすべて、機種発売当時のものです。ご了解ください。