織本知之のデジカメ紳士録
健在! 光学ファインダーのリニア感。
【ペンタックス/KF】


モノ・マガジン誌の長期連載「織本知之の電子写真機恋愛」がいよいよモノWEBに登場! 最新機種から懐かしのレトロ機種まで、掲載当時の熱量真空パックでお届け。誰もが立ち寄れる「デジタル一眼レフ、ミラーレス一眼情報の道の駅」だぞ!

写真と文/織本知之

PENATX KF

ペンタックス/KF

こんなトコロに戀をする!

このレンズに戀しちゃう

見てよこの「HD PENTAX-DA 15㎜F4ED AL Limited」の恰好良さ。イチガンぶらさげてます! って感じで撮影に向かう足も軽やかになるってもんです。もちろん描写も素晴らしく画質は作例で見て頂きたいのですが、ここではいかにこのレンズを取り付けたKFを構えると気分が上がるのかについて語りたいと思います。レンズ鏡筒部分に収納できるシャープなシルエットのメタル花形フードもスタイル良し!

このレンズに戀しちゃう2

15ミリが攻めの超広角であれば、この「HD PENTAX-DA 70㎜F2.4 Limited」は望遠レンズの引きの美がございます。どうぞご覧くださいこのソリッドな美しさ。レンズってのはこうでなくてはなりません。この35ミリ判で107㎜に相当する画角も被写体との距離感が絶妙。完全に個人的な好みで申し上げてますが、このレンズ美は全カメラ好きの善男善女に伝えたし。

ここが光るよシャッターボタン

なぜ光らせた? という疑問をお持ちの方もおられると思いますが、この一部が光るというギミックに非常に魅力を感じる層もいるのです。近未来フィーチャーなテイストでカッコイイではありませんか。なお、動画モードでは色が変わって赤く光ります。しかも二段階に光量を調整できます。このほか、背面液晶を天体写真撮影時用に赤色画面にすることもできるという色々味わい深い機能盛りだくさん。

こんな寫眞に戀をする

HD PENTAX-DA 15㎜F4ED AL Limited

かねてよりペンタックスレンズの優秀さは逆光でこそ発揮できると考えておりました。そこでHD コーティング、円形絞りのシャープな超広角レンズでチャレンジしたのがただの逆光風景じゃあございません。太陽本体と水面の反射というダブル逆光に勝負を挑んでまいりました。カスタムイメージは「雅」。それではご覧ください15㎜F4リミテッド渾身の一枚。いつかどこかの写真漫画のセリフではありませんが「逆光こそ勝利」。

【撮影DATA】
シャッター速度:1/50秒/絞り:f22/撮影感度:ISO400/カスタムイメージ:雅(MIYABI)

HD PENTAX-DA 70㎜F2.4 Limited

“HDコーティング”という高性能マルチコーティングは反射が少なく透過率が高いため、逆光など光線状態の厳しい撮影条件下でゴーストやフレアーの発生を抑え、コントラストが高くクリアな描写を可能としているというペンタックスのレンズテクノロジー。この描写の気持ち良さと安心感は実際に撮影してみないと感じにくいかもしれません。が、一度味わうと忘れ難き感触であります。もちろん順光時の描写も最高クラス。

【撮影DATA】
シャッター速度:1/5000秒/絞り:f2.4/撮影感度:ISO200/カスタムイメージ:九秋(KYUSHU)

ペンタックスKFを使ってみた!

昨年暮れ、フィルムカメラプロジェクトを表明したペンタックス。これは長年培ってきたフィルムカメラ開発のノウハウを活かし、ベテランの技術者と若い世代の技術者が一丸となって技術を承継すると同時に、新たな視点を加えたフィルムカメラ開発の検討を開始するそうであります。

「フィルムカメラ不安よな、ペンタックス動きます!」な男気か、それとも「秋の夕暮れ 銀塩カメラ 散るぞ侘びしき(清少納言テイスト)」なのはペンタックスとして忍びなし……なのかはわかりませんが、俺たちのペンタックスならなにかやってくれるに違いありません! 期待!

さてこのように伝統を重んじ風雅風流を愛するペンタックスからの新型デジタルカメラがPENTAX KFでございます。

このKマウントAPS-Cサイズのセンサーを備えた小ぶりな一眼レフは視野率100%のガラスペンタプリズムを採用した光学ファインダーを搭載しています。このへんのこだわりが長年のカメラファンとしては嬉しいのであります。たしかにミラーレスの電子ファインダーはデジカメの進歩でタイムラグも精細さも格段に向上してますが、やはり空気感とテクノロジーはトレードオフとなっているのではないでしょうか? 光学ファインダーのリニアでクリアな感覚を眼にすると改めてそう感じるのでございます(感じ方には個人差が激しいです)。

そして有効画素数2424万画素のローパスフィルターレスのCMOSセンサーは撮影感度ISO100からISO102400を実現し、PRIME MⅡ画像エンジンとノイズを制御するアクセラレーターユニットはすべての感度域で階調と質感に優れた描写を可能にしました。ボディ内手ぶれ補正のSRユニットは4.5段の補正効果とGPSユニットとの組み合わせでアストロトレーサーとなり簡単に天体撮影にチャレンジすることができるのであります。

さらには微小駆動したセンサーが4枚を連続撮影し1画素ごとにRGBすべての色情報を得て超高精細画像を生成するリアル・レゾリューション・システムという画質向上機能もますます円熟。このようにじっくり撮影での高描写機能と併せ、約6コマ/秒の高速連写も可能とした動体撮影機能も充実。1/6000秒の高速シャッターに最高40枚のバッファ、的確に被写体を捉える11点マルチAFシステムではコントラストAFと像面位相差AFの双方のメリットを活かすハイブリッドAFが確実なフォーカスを約束しております。

この撮影性能を包むのが100点ものシーリング部材でガードした頑丈な防塵防滴ボディ。マイナス10℃もの耐寒性能で機構・回路をがっちりガードしたこのカメラ、ハードなアウトドアに連れ出されるのを今か今かと待ち構えておる次第です

ペンタックスらしい画像の仕上がりを担うカスタムイメージには代表的な雅(MIYABI)をはじめとした14種類のほかに、特定のレンズにて使用できるSpecial Editionとして九秋(KYUSHU)、夏天(KATEN)、冬野(FUYUNO)というスペシャルなモードも! 組み合わせるレンズによって限定されるのもペンタックスらしくてステキです。

残す未発表カスタムイメージは「春」。みなさんもどんな名前のカスタムイメージが登場するのか予想してみるのも楽しいですね(たぶん季語)。

さて、カメラボディの魅力のいとおかしさは伝わったと存じますが、この魅力を最大に引き出すのがペンタックスのレンズ。中でもリミテッドシリーズを語らずにPENTAXの魅力を伝えきることは出来ないでありましょう。デジタル画質への最適化を目指し、リミテッドシリーズの設計コンセプトを引き継いだ新しいリミテッドレンズから二本のLimitedレンズをご紹介。まずはHD PENTAX-DA 15㎜ F4 ED AL Limitedですが、コンパクトで塊感のあるこのレンズは鏡筒、フード、キャップにアルミ削り出しの素材を使用した高級感のある外観が特長。

さらに新世代のマルチコーティング「HD コーティング」を採用し、逆光などの悪条件下でもフレアーやゴーストの発生を低減し、クリアでコントラストの高い描写を実現した35ミリ判換算で焦点距離23㎜相当の超広角レンズ。0.18mの最短撮影距離も合わせて味わい深い表現力が魅力のレンズ。

もう一本はリミテッドレンズシリーズのコンセプトを踏襲し、デジタル画質への最適化も果たしたHD PENTAX-DA 70㎜ F2.4 Limited。やわらかい円形のボケを持ち、35ミリ判換算で107㎜相当の画角のポートレートレンズとして大活躍しそうなLimitedレンズ。こちらも最新のマルチコーティング「HD コーティング」により、荒くれた光線下でもジェントルな描写が楽しめるオトナなレンズでありました。

この楽しみが多いペンタックスKFとリミテッドレンズ。写真を楽しむ余裕をもった大人にぜひおすすめしたい組み合わせでありました。

※本企画の情報、コメントはすべて、機種発売当時のものです。ご了解ください。

  • フォトグラファー。1972年千葉県出身。1999年平凡社動物写真アニマ賞の最年少にして最後の受賞者、撮影テーマは「ニホンザル」。以降、カメラ誌、情報誌、タウン誌、ミリタリー誌など幅広く撮影・執筆。私鉄協会誌「みんてつ」表紙などを長年担当。monoマガジンではこれまで150機種300本を超えるデジタルカメラ、交換レンズをレポート中。甘党下戸。You Tubeの「サバ三ちゃんねる」@sabasan 鋭意更新中!

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