昭和ゴジラシリーズで、ゴジラ屈指の強敵として今も人気のヘドラ、ガイガンを演じ、1984年『ゴジラ』から1995年『ゴジラVSデストロイア』まで7作品でゴジラを演じ抜き、パワフルでパッション迸る名場面の数々で、70年に渡るゴジラ史の中でも稀な黄金時代を支えた薩摩剣八郎さん。2023年12月16日に突然の訃報が伝えられて、幅広い世代のゴジラファンが衝撃を受けた。不動のお正月映画として大ヒットしていた最盛期のゴジラは薩摩ゴジラだった。観客動員数の合計は2330万人にも達する。圧倒的な迫力の薩摩ゴジラは、ゴジラ育ちの多くの人々の心に残り、未来の新たなファンも魅了していくだろう。稀代のスーツアクターの功績を、素顔のスナップと、弊誌『モノ・マガジン』の記事で振り返る。
文/モノ・マガジン編集部
示現流剣術で鍛錬を積む武道家でもあり、名文家でもあった。活き活きした語り口の作品エピソードとユーモアに溢れる著書は、いずれも必読だ。
PROFILE
薩摩剣八郎
さつま・けんぱちろう
1947年5月27日鹿児島県生まれ。川崎製鉄勤務を経て、日活映画の俳優となる。三船プロダクションで時代劇に出演。1971年、『ゴジラ対へドラ』でヘドラ役で出演。当時の芸名は中山剣吾。翌年1972年の『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』と『ゴジラ対メガロ』(1973年)ではガイガン役。1984年の『ゴジラ』で初めてゴジラを演じて、1995年の『ゴジラVSデストロイア』まで、7作品のパワフルな演技とアクションで、薩摩ゴジラと呼ばれる独自のゴジラ表現を創り上げた。1994年の『ヤマトタケル』でヤマタノオロチを演じている。1985年の北朝鮮映画『プルガサリ 伝説の大怪獣』では、日本の特撮スタッフと共に、北朝鮮に渡って主役のプルガサリを演じた。テレビでは『サンダーマスク』(1972年)主役ヒーローのサンダーマスクや、『風雲ライオン丸』(1973年)のタイガージョーを演じている。『ウルトラマンA』(1972年)では、第13話「死刑!ウルトラ5兄弟」と第14話「銀河に散った5つの星」で、客演のウルトラ兄弟を演じている。2023年12月16日、間質性肺炎で死去。76歳。