2024年の幕開けと共に悲劇は起きてしまいました。それが1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」です。震度5強から最大で震度7にもなる強い揺れが石川県能登半島をはじめ北陸地方全域を襲い、それに伴う津波も発生しました。
この災害に対し、防衛省自衛隊は災害派遣を開始しました。1月2日10時40分には、中部方面総監を指揮官とする統合任務部隊JTFを編成しました。
このような災害時には、素早く対応できるように、平素より防衛省自衛隊では災害即応体制を整えています。それが「FAST-Force」です。
もともと有事が発生した時に備え、以前より全国各地の駐屯地や基地に、初動対処部隊を待機させていました。通常の編成上にある災害対処部隊ではありませんが、「人命救助システム」など、救助用の資機材等を装備し、救助活動等を行うことが出来ました。
2013年9月1日より、この初動対処部隊は、「First=発災時の初動において」、「Action=迅速に被害収集、人命救助及び」、「Support=自治体等への支援を」、「Force=実施する部隊」を略して「FAST-Force」と呼びます。FASTには、“速い”“迅速”と言う意味もあり、なかなか考えられた当て字となっているのが特長です。
震度5弱の地震が発生した時は、速やかに情報収集等自主配置することができる態勢を保持しています。
陸上自衛隊では、全国の部隊で約3900名、車両等約1100両、航空機約40機が待機しており、発災から1時間以内に出動することが可能です。
海上自衛隊では、全国に5つある地方総監部にてそれぞれ1隻を災害対応艦艇として指定しています。出動がかかれば、数十分の準備ですぐに出港できます。各航空部隊も各基地に約20名の隊員が待機しており、15分から2時間以内に各種航空機を離陸させることができます。
航空自衛隊では、基本的に24時間365日、敵国軍機が日本領空へと近づいてくる事を警戒した「対領空侵犯措置」体制をとっており、すべての戦闘機基地において、発進命令後5分以内に2機の戦闘機が離陸できる体制を保持しています。震度5強以上の地震が発生した場合には、これらの航空機を災害派遣前の自主派遣へと「任務転用」し、上空からの情報収集活動を行います。
その離陸までの所要時間は15分から2時間と決められています。今回も戦闘機が偵察を行いました。上空からパイロットが目視で被災地を確認し、火災が起きていれば、それを報告します。
F-35Aが活用できれば、被災地上空を撮影することも可能となります。この他、戦闘機に限らず、救難や緊急搬送のために、全国で10機から20機程度の航空機が待機しています。
こうして、災害派遣要請の出る前から準備をし、一刻を争う事態であれば、自主派遣という形で被災地を目指します。災害派遣が命令されれば、救助部隊を逐次派遣していきます。
まずは、倒壊家屋や土砂崩れによる要救助者を捜索し、救助していきます。これに続いて、食事やお風呂などの生活支援部隊が派遣されていきます。
これが自衛隊の災害派遣の流れとなります。