おはようございます。オーディオ好きの編集長です。みなさん、毎日いい音楽聴いてますか!?
3月2日発売の「シン・日本の傑作品~モノ・マガジン3-16情報号」の94-95ページで、ティアックがいにしえの自社製オープンリールデッキの修理を継続している、という情報を記事化したわけですが、その取材の際、ティアックの方々から「試聴機をお貸出しいたしますので、ぜひご自宅で聴きながら、執筆されてください」とご提案いただきました。
「え、こんな貴重な個体をお借りするわけには……」(もし壊したりしたらエラいことだ!)
「いえいえ、ぜひ、やはりテープを通して、操作して、音を聴いて書いてください!」
というわけで期間限定で我が家にやって来たティアックA-7030GSL。これは1972年発売の当時のティアック最高峰モデルで、販売価格は23万5000円。調べると当時の大卒初任給がおおよそ5万円なので、その4~5倍という超高級品であった。
オーディオファン憧れの10号リール使用可能、2トラック、2チャンネルのワンウェイ形式、つまり、録音・再生において音質最優先とした機種であったことがわかる。
そんなこんなで自宅に持ち込んだわけだが、まず痛感させられたのは、その重さ、実に28㎏! おそろしく重いし、精密機器だしで、ヨメとふたりでオソルオソル設置しました。
むろんテープもお借りした。内容はFMエアチェック音源、小椋佳のコンサート。MCも込みの丸ごと録音だ。
ティアックで教わった通りテープを左から右へクネクネと通して空リールに巻きつけ、PLAYボタンを押すと10インチ(約25センチ)の巨大なリールがグルグルと回り始めた。
カセットテープでお馴染みの薄いヒスノイズの中から、観衆の拍手、ホールの空気、小椋佳の歌声・演奏が立ち上がる。まず感じるのは、音の厚み、奥行だ。昨今の精細なハイレゾとはまったく異なる、どこか実体感のあるサウンドが音楽を紡ぐ。これはすごい! オーディオ好きなら目を(耳を?)丸くすること間違いない。
ようするに、グッとくる音なのだ。ティアックの方は「中毒性のある音」とおっしゃっていたが、まったくその通り。
ティアックでは1995年8月までオープンリールテープデッキを製造していたが、やはり熱狂的なファンがいただろうことは想像に難くない。なお、業務用としてはなんと2008年9月まで製造が続けられた。
ただし、「これ、いいよ!」とここで書いても状態の良い個体はほぼないだろうし、テープだって貴重。しかしティアック製品なら修理できる可能性がある上、実はテープは新品が入手できる。欧州ではいまだに業務用ニーズが強く、生テープの生産が続けられているのだ。なおこの生テープ、ティアックストア (http://store.teac.co.jp)
でも販売中だ。
さてそろそろティアックにA‐7030GSLを返却しなくてはならない。機器を操作する唯一無二の喜び、魅惑のサウンドとはサヨナラだ。
レコードだ、カセットテープだと、アナログ再評価高まる昨今である。オーディオ趣味の奥の院ことオープンリールテープデッキ。皆さんもいつかは……と心に誓ってはいかがでしょうか?