日本一速い男・星野一義インタビュー「日産スカイラインとのただならぬ関係」(全2回。前編)


国産GTの代表格として60年以上にわたって君臨する日産のスカイライン。そのスカイラインと強い絆で結ばれた人物が日本を代表するレーシングドライバーの星野一義氏だが、そんな星野さんにスカイラインとのただならぬ関係を尋ねてみた。

写真/熊谷義久 文/長谷川 敦、モノ・マガジン編集部

PROFILE
ホシノインパル/星野一義さん
1947年生まれ。10代でモトクロスレースにデビューして全日本王座を獲得すると、1970年に日産自動車と契約して4輪レースへ転向。ハコ車やフォーミュラカーで輝かしい成績を残し、“日本一速い男”と呼ばれるようになる。1980年に自身の自動車用品ブランド『ホシノインパル』を設立。現在はレーシングチーム総監督&インパル経営者として多忙な日々を送っている。

「スカイラインとは59年の付き合いです」

「昔からクルマに関してはスポーツカーより4ドアセダンが好きで、最初の愛車も4ドアのゴーヨンビー(54B)でした。どうしても欲しくて、親父をダマして手に入れました(笑)。そしたら、もう最高でエンジンは気持ち良く回るし、当時では珍しいフロアシフトでの変速も楽しかった。とにかく、54Bにはいい思い出しかないんです。
 そこからスカイラインとの付き合いが始まりましたが、レースで乗れたのはずっと後になってから。僕が入った当時の日産チームには名だたる先輩たちが所属していて、スカイラインは彼らのためのものでした。だから、僕はFFのチェリーでがんばるしかなかった」

 そう語る星野さんとスカイラインのコンビが世間に強烈な印象を残すことになったのは、1990年のR32型スカイラインGT-Rだった。スカイラインシリーズ初の4WDシステムを採用したR32GT-Rは、星野さんのドライブでデビュー戦から驚異的な速さを披露し、6戦5勝でその年のシリーズチャンピオンに輝いた。

「クルマに乗る前は長谷見さん(日産ワークスドライバーの長谷見昌弘氏)と『オンロードなのに4駆なんていらないですよね。ラリーじゃないんだから』と言っていたんだけど、いざ走らせてみるととんでもなく速くて、約600馬力を4つのタイヤでカンペキに活かしきってしまう。『エンジニアさんは、僕たちより頭が良かった』と反省しました(笑)」

 こうして星野+カルソニックスカイラインは、R32後継のR33、R34もあわせて人気と実績を兼ね備えた存在になる。しかし、そのGT-Rは2007年のR35型でスカイラインから独立。以後は完全に別のクルマになった。そして、スカイラインはV35型へと進化するが、それまでのスカイラインシリーズのアイコンだった丸型テールライトの廃止(後に復活)など、新たな路線を歩み始めた。ところが、V35型はスポーティ感が弱まったことなど、既存のスカイラインファンからの不評もあった。

 ホシノインパルでもV35型用のアフターパーツなどを販売していたが、正直、それ以前のスカイライン用パーツに比べると売り上げは下降線を辿ったのだという。

 しかし、2013年登場のV37型スカイラインではそうした印象を払拭し、4ドアセダンでありながらパワフルかつスポーティという、かつての“羊の皮を着た狼”路線に回帰し、高出力仕様の400Rも追加された。そして、2023年には日産のモータースポーツブランドであるニスモ(NISMO)から特別仕様モデルの『スカイラインNISMO』がリリースされ、星野さんが同車のアンバサダーに就任した――ということで、インタビュー後編では星野さんにスカイラインNISMOの魅力がどこにあるのかを語ってもらおう。

最初に買ったクルマもスカイラインだった

星野さんが自動車免許取得後に初購入したクルマはスカイライン2000GT(S54B-2型)。直列6気筒型エンジンを3連ウェーバー製キャブレターで武装した2リッターエンジンは、このモデルが発売された1965年当時では圧倒的な125馬力を叩き出し、カタログでは“羊の皮を着た狼”と謳われていた。

青いスカイラインが稲妻のように駆け抜ける!

日本ラヂヱーターの名で創業した自動車部品メーカーは、星野一義のスポンサーとしてモータースポーツに参入。その後、カルソニック(現在はマレリ)に改称されると、星野さんが発案したという青一色のボディカラーをまとったスカイラインがレースシーンを席捲! カルソニックブルーのスカイラインGT-Rは、間違いなく1990年代の国内レース界に輝くスターとなった。写真提供/ホシノインパル

スカイラインNISMOには初めてクルマを手に入れたときのワクワク感とドキドキ感がある!

2023年8月8日に開催されたスカイラインNISMO発表披露会には、アンバサダーの星野さんと開発を担当した日産モータースポーツ&カスタマイズ・チーフビークルエンジニアの長谷川 聡さんが登壇し、その魅力を語りあった。最後に星野さんに対するスカイラインNISMO第一号車贈呈式も行われた。

グランドツーリングカーを象徴する“GT”のエンブレムは1965年登場のS54型スカイライン2000GTから引き継がれる伝統あるもの。NISMOのフロントフェンダー後部にも燦然と光る。

東京都世田谷区のホシノインパルショールームに展示されているスカイラインNISMOのセンターコンソールには、第一号車の証となるシリアルナンバー“0001/1000”を刻印したメタルエンブレムも装着されていた。

公式ホームページもチェック!
NISSANスカイラインNISMO

後編はコチラ


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  • 元・モノ・マガジン&モノ・マガジンWEB編集長。 1970年生まれ。日本おもちゃ大賞審査員。バイク遍歴とかオーディオ遍歴とか書いてくと大変なことになるので割愛。昭和の団地好き。好きなバンドはイエローマジックオーケストラとグラスバレー。好きな映画は『1999年の夏休み』。WEB同様、モノ・マガジン編集部が日々更新しているFacebook記事も、シェア、いいね!をお願いします。@monomagazine1982 でみつけてね!

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