ランニングやウエイトトレーニングに最適な、約10年愛用している足袋シューズ ファッションモデル山下晃和の偏愛モノ図鑑92

きねや足袋 無敵 MUTEKI 足袋ランニングシューズ

もうすぐ春がやってきて新生活に向けて体力づくりをする人も増えていると思う。また、ベテランのビジネスマンも健康寿命を伸ばしたいという思いからランニングやトレーニングに励む人が周りに多くなっている。そんな健康に向き合う人にオススメなのが、老舗のきねや足袋が造るMUTEKIというシューズ。私もかれこれ10年くらい愛用しているこちらの偏愛っぷりを語りたい!

私は、きねや足袋のMUTEKIを愛している。なぜこれほどまでに惚れ込んだのか?

きねや足袋は、1929年創業だが、旧名の行田(ぎょうだ)足袋は、今から300年以上前の江戸時代にまで遡る。埼玉県北部にある行田市は、県境をまたぐと群馬県。当時は忍藩(おしはんと呼ぶ、現在の行田)と呼ばれていて、その周辺で木綿の栽培が盛んだったことから、松平のお殿様が足袋作りを奨励した。その地名から行田足袋と呼ばれていたのだと思う。

今のようにソーシャルメディアもネットも無いので、その当時、江戸から中山道で吹上宿までの行き来が盛んになったことで拡まった。ちなみに、足袋が二股に分かれたのは、下駄や草履に合わせて二股に分かれさせたという説と武士が戦の際により力を踏ん張りやすくする為に二股に分かれさせたという説があるよう。明暦の大火(1657年)以降、それまで革の足袋が主流だったが価格が高騰した為、綿の足袋が主流になっていく。

1965年には きねや足袋株式会社に改名し、全国に行商して足合わせをしたり、地下足袋もつくったりを開始。1995年にはベトナムの大都市であるホーチミンに協力工場を稼働させた。そして、2013年には、こちらのランニング用足袋「MUTEKI(ムテキ)」を発表。つまり、僕はその当時からこちらのシューズを愛用していることになる。

ルックスは奇抜だが、機能はシンプル。余計なクッションが無いからいい。

こちらのMUTEKIは、前述の老舗足袋メーカーが輩出したランニング用シューズだ。2017年には、ドラマ化された「陸王」(池井戸潤さんの小説)で一躍有名になったのも記憶に新しい。こちらは糊を使わずに、天然ゴムのアウトソールを手縫いした非常にシンプルなシューズ。近年、厚底化していくランニングシューズとは真逆の薄いアウトソール。厚さはわずか5mm。そのため地面衝撃をそのまま食らってしまう。ところが、この裸足で走っているような感覚は、人間が本来裸足で生活をしていた記憶を呼び覚ますようなセンサーが働くのである。

足の裏にはアスファルトやコンクリート路面で滑りにいくような切れ目が入っていて安心。

限りなく素足感覚に近づけることで、本来の走り方を取り戻す

従来のランニングシューズは、アウトソールの間が衝撃吸収素材になっている物ばかり。こちらは他メーカーの足袋型シューズやつま先の割れたデザインのシューズとは異なっていて、限りなく素足感覚に近づけているとうたっている通り、地面にそのままカカトから入っていくと痛い。しかしながら、マラソンのトップ選手はカカトを設置せずにフォアフットという走法になるため、つま先を着地させ、足音をさせずに静かに足運びする動作が勝手に身についていく。結果、足裏が持つ無数のセンサーが呼び覚まされ、ランニングフォームも改善していった。

しばらく走っていくと、ソールの削れ具合や地面をとらえる際の足の感覚により、自分自身の体重移動を把握することで、無理のない範囲で走り方の改善をするともホームページには書いてある。

ジムでのトレーニングにも使用しているがすこぶる調子がいい

じつは、外でのランニングだけでなく、ウエイトトレーニングの時も使用している。薄っぺらく仕舞えるので、バックパックに入れても嵩張らず、携行性にすぐれ、そして軽い。

ランニングシューズだと微妙に前傾しているため、スクワットやランジなどの踏み込む動作の時につま先側にズレる感覚があるのと、継続してトレーニングをしていくと裸足になった時の快適さを忘れてしまう(本来ジム内ではシューズを履くのがマナーのため)。

ところが、こちらのMUTEKIは裸足感覚でトレーニングができるので、本来置くべき母子球への重心が捉えやすく、結果的に怪我のリスクを減らすことができる。

足裏も気持ちがいい。

また、ランニングの時も、ジムでのウエイトトレーニングの時も裸足でそのまま履けるのもいい。たまに足袋型のソックスを履くこともあるが、足袋はもともと裸足で履くものなので、内側素材も汗を吸収し、とても快適。

もし、外も中も汚れてきた場合はそのままシューズごと丸洗いできる。インソールは特に入っていないのでゴシゴシ洗える。その後は、洗濯物と同じように太陽のもとに干せばいい。つまり、メンテナンスも楽だ。

足の汗が気になる人は前述の通り足袋型ソックスか五本指ソックスを履けば解消される。

足の親指が分かれていて、自由に動かせる。

また、足袋型のお家芸とも言える、足の指が動かせるところもいい。地面を蹴る力を伝えるときはアウトソールの厚い履き物よりも薄い物のほうがよく、さらに足の親指がぐっと踏み込めるほうがいい。特にパワーラックで行うフリーのスクワットはなおさら。人間の足の指が今もなお5本なのはそれぞれ別々に動くから。人差し指から小指は同じ動きをするが親指だけは違う動きができるのは、意識すればすぐお分かりだと思う。

アッパーの柔らかさもいい。これだけ屈曲しても痛みがない。

また、足の指を曲げる動作のフロントランジやブルガリアンスクワットなどの時もアッパーが非常に柔らかいので足が動かしやすい。もちろん、裸足になるほうが動けるが、プライベートジム以外はシューズを履くのがルールとなっているし、そもそも重量のあるダンベルなどを足に落としたり、ふいにぶつけたりするとさすがに痛い。

中沢貴之社長は「足袋は着物を着る時に履くものと考えられているが、他の楽しみ方もあるということを多くの人に知ってもらいたい」とのことで、こういったスポーツ向けの足袋や新しい染色など積極的に取り組んでいる。

ランニングシューズとは違う感覚があるので、慣れるまでは短い距離に設定しよう。

ひとつだけ注意点がある。裸足系のランニングシューズ、地下足袋などを履いたことが無い方は、室内で試し履きやウォーキングをして、履き心地に慣れてからランニングしたほうがいい。フワフワの厚底ランニングシューズや従来の衝撃吸収材があるシューズを履いて走っている方がほとんどだと思うので、慣れないうちから長距離を走ったり、急ピッチで使用したりすると怪我や故障の原因となる可能性がある。まずは歩き出して慣れていこう。

そのうち、足裏感覚を掴めるような心地よい走りのフォームに変わっていく。そうなったら本番のマラソン大会でレース用シューズに履き替えれば百人力だ。

きねや 無敵


価格:5500円
仕様 
【サイズ】25.0cm-30.0cm
【素材】(表)ナイロン100% (裏)綿100% (底)天然ゴム100%
ベトナム製
【重さ】片足170g〜210g
【他のカラー】黒、グレー

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  • 本業はファッションモデル(タイクーンエージェンシー)。自転車、バイク、クルマで旅をしながら旅の素晴らしさや旅に最適なアイテムを紹介するトラベルライターとしても活動。地方自治体サイクルマップやWEBで連載ページを持つ。 趣味は、旅行、キャンプ、草野球、オフロードバイク、自転車全般(ロードバイク、MTB、ランドナー、小径車)、トライアスロン、トレイルランニング、登山、パックラフト、サーフィン、スニーカー収集、NEWERAキャップ収集、ウエイトトレーニング、読書、インドカレーの食べ歩き、MLB観戦など。  スポーツトレーナーの資格はNASM-PES、小型船舶一級免許、小型特殊船舶免許、大型自動二輪免許、JCTA認定自転車ツアーガイドなどを持つ資格マニアという一面も。かつて、海外30か国以上を自転車で旅したこともある放浪癖あり。好きなファブリックはキューベン、好きな金属はスカンジウム、好きな筋肉は三角筋。20代の頃は某アウトドアショップでバイトをしていた経験も。
  • http://akikazoo.net

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