カウンターフーズの次世代エースを狙う、ローソンの「もちもちチーズまる」。人気のもちもち感が生まれた背景は? 商品開発を担当したローソン商品コンセプト開発部・内田恵美さんに直撃する「もちもちチーズまる」開発秘話・中編。
mono:独特のもちもち食感はスムーズに実現できたのですか?
内田:実は「からあげクン」と同じラインで製造しています。それで見た目も「からあげクン」に似ていますが、同じラインに載せる時に今のようなやわらい生地ダネでやる、というのが最も苦労した点です。やわらかいものを一回カタチにして、その上に衣をつけるので、その辺りのやわらかさ調整ですね。ある程度丸いカタチになるようラインに流すわけですが、やわらかすぎると、もちもち食感が表現できなかったりとか。反対に成形しすぎると固くなってしまったり。素材の配合を少しイジるだけですべてが変わってしまうので、ほかの商品に比べてラインでの調整がむずかしかったのが今回の「もちもちチーズまる」です。
mono:ではキモは中ダネの調整ですか?
内田:もちろん、中ダネの調整もそうですが、あとはラインに流すスピードもですね。1か所だけ調整すればいいというわけではありません。例えば中ダネがやわらかすぎてベシャッとラインに落ちてしまうと、カタチが変形してしまい、目指していた食感が変わってしまいます。口で噛む時の幅のことまで考えて作っていますので。よくデザート系ではもちもち食感はありますが、カウンターフーズではなかなかない経験なので、とくにこだわりましたね。
mono:噛むたびに食感が変わるって!?
内田:今回は「明太マヨ味」と「燻製ベーコン味」の2品を出していますが、明太マヨはキューブ状の明太マヨソースを中ダネに入れています。店舗で一度油でフライしてから提供するので、食べる部位によって明太マヨソースが入っていたり入っていなかったり、ジューシーさの感じ方が変わります。噛んでいくと明太の辛みが強く感じられるようになるわけです。燻製ベーコンでは細かくしたベーコンを中ダネに入れていますが、口の中でベーコンに当たったり、当たらなかったりで食感、風味が大きく変わってきます。明太マヨではジューシーさを、燻製ベーコンでは固形感をそれぞれ感じていただこうと、この2つの味を開発しました。
mono:この2つの味に決めたのはなぜですか?
内田:チーズとどういう組み合わせのものが支持されるか、事前にお客様アンケートをとり、一番支持が多かったのがチーズと明太の組み合わせ。2番目と3番目がチーズとハム、ベーコンでした。ハムも良いのですが、より食感を感じていただけるベーコンの支持が比較的高かったので、ベーコンに決めました。ただ、単純にベーコンチーズにするとヒネリがないかと、燻製をプラスしています。もともとベーコンは燻製にしていますが、チーズのもちもちした生地の部分に少し燻液を入れることで香りをプラス。より燻製感を表現しています。現状、2つの味は同じくらい売れていてそこまで差はありませんが、傾向としては女性が明太マヨ、男性には燻製ベーコンがやや人気がありますね。燻製ベーコンはやはり、ビールと合うとかおつまみに丁度いいという声もいただいています。
mono:どちらの味の方が作るのが大変でしたか?
内田:やはり明太マヨでしょうか。今回は結構、辛みを強めに効かせていますが、どれくらいの辛みが最適か慎重に検討しました。人によって大きく好みが変わる部分ですので。今回はオフィスでの仕事の合間の小腹満たしなど、ハッキリとターゲットを絞っているので、より辛みを効かせたクセになる味を目指しました。そうはいっても、2つの味ともお子様が食べにくいというのはいかがなものかと、ベーコンの方はお子様でも食べられるよう、辛みを入れないようにしてバランスをとりました。 後編へ続く
ローソン・商品コンセプト開発部
内田恵美さん
これまでにFF、サラダ、サンドイッチ、ワンハンドスナック、日用品、化粧品と幅広いカテゴリで商品開発を担当してきた、ローソンのモノづくりを知り尽くす大ベテラン。
もちもちチーズまる
価格216円(4個入り)、明太マヨ/燻製ベーコンの2種類
https://www.lawson.co.jp/lab/tsuushin/art/1423126_4659.html