『快傑ライオン丸』『風雲ライオン丸』『鉄人タイガーセブン』『電人ザボーガー』。昨年実施されたクラウドファンディングによりデジタル化された「ピー・プロダクション」4作品のポジフィルムを、様々な形で商品化するオンラインストア「ピープロアーカイブストア」が4月6日(土)より始動する。今回は、ピープロ作品&アーカイブストアの魅力を、応援隊長に就任した声優にして特濃の特撮ファンでもある関智一さんに存分に語っていただいた!(後編)
聞き手・文 タカハシヒョウリ 写真/鶴田智昭(WPP)
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ピープロアーカイブストアとは?
ピープロキャラを自ら立体化!渦巻くピープロ愛
-- ちなみに関さんと言えば、ソフビの原型も多数担当してらっしゃいますが、ピープロ作品のキャラクターも立体化していますね。
関 ピープロ作品では、タイガーセブンとザボーガーを作りましたね。本当は風雲ライオン丸も作って納品をしていたんですが、なんかちょっと色々な都合で発売に至らなかったんです。
元々ザボーガーが好きだったので、 ただの趣味で勝手にザボーガーを作ってたんですよ。それを『モデルグラフィックス』っていう模型雑誌に取り上げてもらったら、MAX渡辺さん(ガレージキットメーカー「マックスファクトリー」代表)からソフビで発売しませんかっていうお話をいただいて。
そのザボーガーが完成したのはソフビが発売されるちょっと前なので、23、4歳ぐらいだったんですけど、 実は作り始めたのは小学校4年の時なんです。
ーーえぇ!?熟成期間15年近いっていうことですか?
関 そうなんですよ。小4の時に作って中途半端になってたやつを、『モデルグラフィックス』での連載(1995年より連載開始)がきっかけになってもう一回ちゃんと完成させようと思って。
当時は、あんまりリアルに作るっていうよりも、ちょっと自分のアレンジを加えて作っていたので、僕が作ったザボーガーは背中にコンソールが残ってたりするんです。ヘリキャット、マウスカー、シーシャーク等が発進するためのボタンや、そこから送られてくる映像を見るモニターがマシーンザボーガーにはあるんですが、そういうのも残したままで。指も独自の解釈で、アップ用の指っぽい雰囲気で作ってるんです。
-- 「俺ザボーガー」的なイメージですかね。
関 そうそう、俺ザボーガーですね。その後、ストロングザボーガーも作りました。他にも、『ザボーガー』は色々作ってワンフェスに出展したんですよ。
ザボーガーを起動するキーも作りました。あれってヘッドホンのプラグにギザギザのパーツが付けられてるんですけど、古いスタジオに行ってちゃんと同じプラグを探してきて、それを型取って自分でギザギザのやつも付けて、大門博士の手紙と一緒にワンフェスで売りましたね。あとザボーガーが合体するための装置も作りましたよ。磁石でくっつけられるようにして。なんかそういう誰も作らなそうな物も作って、ワンフェスで売ってましたね。
--いや、本当に凄いですね、「本物」ですね……!
ピープロアーカイブストア開店! そして、関さん秘蔵のお宝が……
-- 今回デジタル化されたピープロ作品のフィルムを商品化展開する「ピープロアーカイブストア」が4月6日(土)にオープンするということで、関さんから見た商品の魅力もお聞かせください。
関 さっきも言いましたけど、フィルム自体の画質がすごく良いので、それをさらにクリーニングして、色調も調整して、大きく引き延ばした写真を家に飾れる。しかも今は放送していないヒーローで、こんなに良い物を世に出してくれるっていうのは、ちょっと常軌を逸してますよ(笑)。これもやっぱり商売ではありながらも、愛があるからこそだと思うので、愛してきて良かったなって思いますね。本当に全部飾りたいですもん。
--当時のファンも、50年経ってこういう展開が来るとは、予測もしてなかったでしょうね。
関 そうなんですよ。だって、普通は廃れていく一方なわけじゃないですか。それが再発見されて、応援してくれた人を中心に皆さんにもお裾分けしようっていうことなので、本当にありがたいですよね。
-- 関さん的にお気に入りのアイテムがありましたら。
関 自分が厳選した写真でフォトブックを作れるっていうのは、やっぱり目玉ですよね。結局、ファンとしては写真をでっかく見たいっていうのが一番だと思うんですよ。
通常の書籍だと、出来るだけ多くの写真を見せたくていっぱい入れるから、どうしたって一つ一つの写真が小さくなってしまうじゃないですか。
それをこれだけのデカさで載せることが出来るっていうのはすごいですよ。だって自分でお金さえ払って何冊も作れば、全部手元に置けるという事じゃないですか。ほんとありがたいです。
この写真なんか、めっちゃカッコよくないですか?最初に見た時からこの写真にシビれてるんですよね。
-- 今後もピープロアーカイブストアで新展開があるかもしれませんが、関さん的に期待したい事などありましたらお聞かせください。
関 やっぱり、この写真を皆さんが見られるようなタイミングを多くしてもらえたら僕としては嬉しいって思います。「ピープロ写真展」みたいな展示会があっても良いと思いますね。ちょっと買えないという方も、会場で見ることができるよみたいなのがあったら良いですね。そんなイベントがあったら、もう一日中いられますよね。一日じゃ足りないかなっていう感じですけど。
--ピープロ作品はマスク類などの造形資料も残っていますし、そういう展示と合わせたイベントがあったら凄く良いですね。
関 そうそう。実は今日は、ある物を持ってきたんです。
関 これは、『風雲ライオン丸』のライオン丸の刀とブラックジャガーの短刀です。
-- えぇ!?これ、撮影用の本物ですか?どういう経緯で今ここにあるんでしょうか。
関 実はこれ、ネットオークションに出品されていたのを、僕が落札したんですよ。ライオン丸の刀とかそういう名前では出てなくて、時代劇で使った刀がまとめて30本ぐらい一気に出品されてたんです。僕は舞台もやるのでなんとなくその出品を見てたら、「あれ?これライオン丸の刀じゃないか…?」ってなりまして。
--めちゃくちゃすごい発見ですね……! その慧眼にも驚かされます。
関 このブラックジャガーの短刀の飾りで分かったんです。ジャガーの顔が付いているこんな刀、なかなか無いじゃないですか。今日はちょっと持って来てないんですけど、『快傑ライオン丸』の沙織と小助の刀や、タイガージョーの「銀砂地の太刀」などもあります。「銀砂地の太刀」を元にライオン丸の「金砂地の太刀」のレプリカを作ってもらおうと思って、今は刀職人さんにお預けしてるんです。それは完全に自分の趣味なんですけど。
金属のところは、物凄く汚れちゃってたので全部丁寧に磨いて、自分でレストアしました。柄巻き(つかまき)の部分はボロボロになってちぎれちゃってたので、その部分も取ってはあるんですけど、これは新しく柄巻き師の方に巻き直してもらったんです。どこまでレストアするかっていうのも、ちょっと悩むんですよね。この鞘とか塗り直しちゃったら絶対ダメだなって思って、ボロボロだった柄巻きだけ直すのに止めてあるんですけど。
--完全に修復師の目線ですね。「ピープロ写真展」が実現の際には、ぜひこちらの刀も展示していただきたいです。今日は、関さんのピープロ愛に本当に感動いたしました。ありがとうございました!
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プロフィール
関智一(右)
声優、俳優。1972年生まれ。東京出身。94年『機動武闘伝Gガンダム』の主人公ドモン・カッシュ役を担当し、以降数多くのアニメ、特撮作品に出演。05年よりリニューアルされた『ドラえもん』にてスネ夫役を担当。業界屈指の特撮ファン、コレクターとしても知られる。
インタビュアー・構成
タカハシヒョウリ(左)
ミュージシャン・作家。ロックバンド「オワリカラ」、特撮リスペクトバンド「科楽特奏隊」のボーカル・ギター、また作詞作曲家として活動する。その様々なカルチャーへの偏愛と造詣から執筆、番組・イベント出演など多数。テレビで初めて見たガンダム
は『機動武闘伝Gガンダム』。
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