織本知之のデジカメ紳士録 世界を笑顔に【富士フイルム/X100Ⅵ】


モノ・マガジン誌の長期連載「織本知之の電子写真機恋愛」がいよいよモノWEBに登場! 最新機種から懐かしのレトロ機種まで、掲載当時の熱量真空パックでお届け。誰もが立ち寄れる「デジタル一眼レフ、ミラーレス一眼情報の道の駅」だぞ!

写真と文/織本知之

FUJIFILM X100Ⅵ

富士フイルム/FUJIFILM X100Ⅵ

こんなトコロに戀をする!

世界が笑顔になっちゃうこのスタイル

初代から受け継ぐデザイン。このスタイルに最新機能を盛り込んで、時代の要求に応えました。X100シリーズ最新作には要望の高かった手ブレ補正に最新世代の画像エンジン、被写体認識AF、20種のフィルムシミュレーション、さらにフラッグシップと同じセンサーを搭載しました。

口元がほころぶのを隠せませんね

クリック感が気持ちの良い質感のシャッタースピードダイヤルは最高1/4000まで操作。それ以上の速度は電子ダイヤルにての設定。小窓のISO感度ダイヤルは最高ISO51200。クラシックカメラ然としたデザインですがムービー撮影機能もなかなかの実力。6.2K30Pや4K60Pに対応してます。撮って良し、眺めて良し、撫でれば尚良しの全方向から愛せるカメラなのでございます。

OVFとEVF。あなたはどっちのファインダー

OVFとEVFふたつの視野をレバーで切り替え可能な「アドバンスト・ハイブリッドビューファインダー」。EVF時にはマスクがせり上がり約369万ドットの電子ビューファインダーに。OVFモード時にはファインダー右下に「エレクトロニック・レンジファインダー(ERF)」を表示してライブビュー、AFポイントの拡大表示、ポストビューを確認できるモードが実用性高し。

こんな寫眞に戀をする

約4020万画素の高画素機ゆえのアドバンテージでデジタルテレコン使用が気軽に楽しめるX100Ⅵ。35ミリ時のワイド目の描写はスナップの感性にぴったりですが、換算50ミリ時の一歩引き目の素直なパースも大好きという方もさぞ多かろうと存じます。ぜひデジタルテレコンで50ミリの画角もお試しください。画面真ん中の美味しいところを使って20メガの描写力。大人気で品薄が予想されるX100Ⅵ、撮れば撮るほどその人気を納得。

【撮影DATA】
シャッター速度:1/170秒
絞り:f11
撮影感度:ISO125
フィルムシミュレーション:Velvia/ビビッド

搭載のフジノン23㎜レンズ(換算35ミリ)は非球面レンズを2枚使用した6群8枚構成の絞り解放F2.0。堅実ではっきりとしていながらも優しく、広い包容力をもつ、付き合うならこういう性格の……と、レンズにも嫁探しにもあてはまりそうな評価感想でございますが、これがなかなか良いトコロを突いているんではないかと。ボケも素直でわかりやすいのも円満の秘訣。新しいフィルムシミュレーション「REALA ACE」もハキハキ元気な描写が好ましいのです。

【撮影DATA】
シャッター速度:1/1000秒
絞り:f8
撮影感度:ISO640
フィルムシミュレーション:REALA ACE

X100Ⅵを使ってみた!

発表の瞬間、会場からどよめきが湧いた富士フイルムX100Ⅵ。まさにその日、わたくしも各国から集まる発表の場に居合わせるという幸運に恵まれ、その幸せを噛みしめておりました。ヨーロッパ、北米勢の大興奮ぶりに「おまえらのチームがゴールでもキメたのか?」と大画面モニターを見直しましたがサッカーは写っておらず、端正なX100Ⅵの姿がモニターに。スポーツバーじゃねえぞユーロからお越しのお客様。一方、アジアオセアニアとくに日本勢は姿勢を正しつつ、X100シリーズの新機種に期待を込めて「ウム!」と静かにうなずく関係者多数といったあんばいでありました。

このように世界を笑顔にしたX100Ⅵのブラッシュアップされましたポイントの数々をご紹介いたします。まずはシリーズ初めてのボディ内手ブレ補正を搭載しました。5軸補正のその効果はシャッター速度に換算して最大6.0段分の補正力。低速シャッターにばんばん手持ちチャレンジできますね。記録センサーはフラッグシップX-H2やX-T5と同じ裏面照射型約4020万画素イメージセンサーを搭載しました。この約4020万画素もの緻密な画像を最新世代の画像処理エンジン「X-Processor 5」でコントロールし、ディープラーニングを用いた被写体検出AFで人物の瞳はもちろん、ペット、飛行機、鳥、クルマにバイク、さらにトレインまでAI検出します。レンズ交換をしないコンパクト機種では最強のフォーカス性能なのではないでしょうか。

そして電子シャッター時には最高1/180000秒のシャッター速度に挑戦できます。また連写速度も凄まじく、×1.29にクロップされますが電子シャッター時には20コマ/秒の連写とプリ連写が行えます。換算35ミリの単焦点レンズを搭載したどちらかというとじっくり画を作りこみ、静かにさりげなく傑作を撮ってゆくタイプのカメラに思えるX100Ⅵではありますが、その気になれば超高速シャッターも怒涛の超連写も出来るのだぞという自信は撮影時の心の余裕にもつながります。

余裕といえば約4020万画素の余裕大画素を活かしたデジタルテレコンもおススメ機能。35ミリを基準として50ミリ、75ミリの画角もクロップで楽しむことができます。「うーん、でもそれトリミングでしょ」と心配することなかれ、なにせ半分にしてもまだ2000万画素あります。相当拡大してみてもその違いがわかるかどうか……。4000万画素クラスになるとそこまで余裕があるのです。画像の粗さではなく、パースの違いで「50ミリっぽいな」とか「これは35ミリだな。うん」と区別してください。70ミリはさすがに「中望遠っぽい」ので間違えません。難しく考えず、それくらい違いを感じないX100Ⅵってスゴイんだと思っていただければOKです。

さて、その4020万画素画像をキレ味鋭く描写する23㎜レンズは、シャープで気持ち良いコントラストの単焦点高性能レンズ。開放値はF2、最短撮影距離は約10㎝、モチーフにぐっと近づいたマクロ撮影もお手の物です。

NDフィルターや小型のスーパーiフラッシュなど撮影テクニックに欠かせない機能も充実。写真の仕上がりイメージは定評ある富士フイルムの「フィルムシミュレーション」にお任せあれ。安心のPROVIA/スタンダードからメリハリのVelvia/ビビッド、自然な仕上がりが欲しいならASTIA/ソフトなど、 シーンに応じたイメージで撮影者の意図を表現できるこの機能に新たにREALA ACEが加わりました。忠実な色再現ながらメリハリを感じる諧調にきっとアナタの感性は大満足。

さらにX100といえばアドバンスト・ハイブリッドビューファインダー。デジタルなEVFと、リニア感がイメージを研ぎ澄ますOVF。 このふたつのビューをレバーひとつで自在に切り替えられます。OVFモード時にはファインダー右下にライブビュー、AFポイントの拡大表示、ポストビューを表示できる「エレクトロニック・レンジファインダー(ERF)」も表示。とことん感性を刺激する機能が、スタイルが、アナタの心を掴んで離さないデジタルカメラです。

※本企画の情報、コメントはすべて、機種発売当時のものです。ご了解ください。

  • フォトグラファー。1972年千葉県出身。1999年平凡社動物写真アニマ賞の最年少にして最後の受賞者、撮影テーマは「ニホンザル」。以降、カメラ誌、情報誌、タウン誌、ミリタリー誌など幅広く撮影・執筆。私鉄協会誌「みんてつ」表紙などを長年担当。monoマガジンではこれまで150機種300本を超えるデジタルカメラ、交換レンズをレポート中。甘党下戸。You Tubeの「サバ三ちゃんねる」@sabasan 鋭意更新中!

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