35年の沈黙を破って復活した千年コメッツ特集記事。第2回目は彼らが残したアルバムのレビューをお届けしよう(全3回の第2回目)。


前回記事では35年の沈黙を破って復活したバンド、千年コメッツのデビューから解散までの歩みを担当ディレクターに取材したが、続く本稿では、彼らが残した3枚のオリジナルアルバムに、中心人物である高鍋千年のソロアルバムを加えた4枚のアルバムを紹介しよう!

文/モノ・マガジン編集部

【デビューアルバム】

布袋寅泰、いまみちともたか等豪華ゲストを迎え制作された1st。バンド名表記に「ROMANTIC REVOLUTION AWAKES BEAT RENEISSANCE」との力強い宣言を併記。コンセプト志向のバンドで重要な作詞は『マイ・レボリューション』で知られる川村真澄、松本一起らが担当。霧の中から響くかのような高鍋のアカペラで幕を開け、骨太のリズム隊、高速シークエンスとギターカッティングからサビにつながる1stシングルの⑤、シゲのBがヌメヌメと這う⑥、静謐さ、多幸感、いまみちともたかのGが楽しめる⑩など。

【セカンドアルバム】

前作から一転、ほぼメンバーのみで収録された2nd。歌詞は川村真澄を中心に5名の女性作詞家が担当。名作映画タイトル②、⑨でも判るように、欧州モダン、ロマン、神秘性などバンドのコンセプトは本作で濃厚。ただしより日常的な歌世界の⑤、⑥など親しみやすさは新境地(⑤はオルガンソロが最高!)。チャッピーのリムショットから始まる傑作③、古楽集団ダンスリーと共演しまさにノスタルジーを呼び起こさせる⑨など。「コメッツで1枚」と言うならこれがオススメ。

【ラストアルバム】

キーボードが脱退し高鍋自身4曲の作詞を手掛けるなど変化のあった3rd。プロデューサーは元サディスティック・ミカ・バンドの今井裕。ミックスはU2が所有するダブリンのWindmill Lane。キャッチーかつバラエティ豊かな作品で、詞の世界もより平易なものに。チエのカッティングが最高にカッコいい⑤、イントロ、中間ソロ部などまるでキング・クリムゾンのような⑦、「Last Song , Sad Song」との歌詞が終焉を予感させる⑩など。ちなみに千年コメッツ作品はすべてLP、CD、カセットでリリースされていた。

【ソロアルバム】

「こんなに美しい星でぼくたちは迷子になってしまった」というメッセージと共にセルフプロデュースで完成されたソロ作。機械化人間を思わせるジャケットイメージ通り打ち込み主体かつドラムはすべてマシンだが、ここにのる歌詞世界は悲しみや願い、涙、別れそして希望といったもので、高鍋流の青春ソングとも読める。左右にパンするドラムが曲を支配する名刺代わりの①からインストの②、揺れる少年の不安をつむぐ③までは組曲のよう。アコギ、ハモニカ、クラリネットにのせて歌い上げる⑫で、コメッツはその物語を閉じた。

INFORMATION
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千年コメッツデビュー時の第1回「ディレクターインタビュー記事」も併せてお楽しみください。

全3回の第3回目「担当ディレクター吉田晴彦さんへのQ&A」も公開中

  • 元・モノ・マガジン&モノ・マガジンWEB編集長。 1970年生まれ。日本おもちゃ大賞審査員。バイク遍歴とかオーディオ遍歴とか書いてくと大変なことになるので割愛。昭和の団地好き。好きなバンドはイエローマジックオーケストラとグラスバレー。好きな映画は『1999年の夏休み』。WEB同様、モノ・マガジン編集部が日々更新しているFacebook記事も、シェア、いいね!をお願いします。@monomagazine1982 でみつけてね!

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